57、カルトス②
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
その人は角を曲がった私達を追いかけ、しばらく様子をうかがって自身も角を曲がった。
「あれ?一体どこに…?」
キョロキョロしているその女性の後ろにアヴァリスが急に現れる。
「お姉さん、俺たちに何の用?」
女性がアヴァリスの方を向いた途端、今度はガブリエルが女性の後ろから声をかける。
「後をコソコソつけるなんて感心しませんねえ」
女性は狼狽えた。
「わっ、わっ。イケメンに挟まれちゃった」
語尾にハートが付いている。
「一応私もいるんですけど…」
私、存在感無きに等しい。
その女性はマントのフードをとると、次にそのマントも脱ぎ捨てた。
サラリとブルネットの艶やかなロングヘアが流れ落ちた。
彼女の服はほとんどビキニと言っていいほど露出が激しいもので、ウエストに巻かれたベルトに剣が刺さっていた。
しかし驚くべきはそのスタイルの豊満さだ。
胸が今にもこぼれ落ちそうだ。
彼女はポーズを決めると、ガブリエルとアヴァリスに向かって言った。
「私はリンダ。この若さと美貌でE級冒険者よ」
バーンと音がしそうなドヤ顔だ。
「それが何か?」
「さっさと要件を言えよ。殺すぞ」
2人には彼女のボディの威力は効いてないようだ。
「あ、えっと。私魔物の森にシエル様が向かったって聞いて、私も調査に加わろうと思ってやってきたんだけど…さっき食堂で解決したって言ってるのが聞こえて…」
急にしどろもどろになったな。
「ああ、魔物の森の件なら解決様です。無駄足ですね」
「えっ…そんな。じゃあシエル様はどこに?」
「そんなの俺たちが知るわけねえだろ」
2人の塩対応ぶりにちょっとかわいそうになってきた。
「あの…シエルならギルドに報告に行くと言っていましたけど。今もいるかはわからないですけど」
私はガブリエルの背中からヒョイと顔を覗かせて彼女に言った。
「シエル!シエル様を呼び捨て!あんた一体シエル様とどういう関係なの?」
わっ!急に強気になってきた。
私の前にガブリエルとアヴァリスが立ち塞がった。
「ソフィア様に危害を加えるつもりなら許しませんよ」
「お前、殺されたいのか?」
いや、そのくらいで殺さないで。
「何なのよ。イケメン2人も連れてるくせにシエル様まで呼び捨てとか。もういいわ、自分で探すから」
彼女は脱ぎ捨てたマントを取ると、どこかに歩いて行った。
「何だったの…」
私が呆然としていると、ガブリエルが言った。
「シエルにはああいう熱狂的なファンが多いそうで、本人もとても困っています」
「そうなんだ。結構美人だったけど」
私が言う。
「シエルは可愛らしいタイプが、好きみたいですね。性格は可愛いだけじゃダメみたいですが」
「へーそうなんだ。初めて聞いたような」
「シエルもまだまだですね…」
ガブリエルが呟いた。
「あんなヤツが何人も寄ってくるとかマジでうぜーな」
「そうなの?胸も大きかったし、男性は喜ぶんじゃないの?あの若さでE級も大したもんだし」
「E級ってソフィアの方が強いんじゃん?胸もそりゃヤルだけなら大きいにこした事はないけど、あんなウザイタイプに付きまとわれたら最悪だわ」
「…」
アヴァリスよ…、世の中の女性を敵に回すぞ。
そして私、E級冒険者より強いってことある?
ないよね?
なんか疲れたな…、宿に帰ろう。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
評価ブックマークもお願いします。




