48、旅立ちの前に①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
モルドールに戻って2週間、マーガレットさんからドレスが送られて来た。
仮縫いでも素敵だったが、実際出来上がってみると段違いに素晴らしい。
そしてなぜかドレスがもう一着入っていたのだ。
淡いグリーンのグラデーションになっているドレスで、こちらも肩がないデザインだ。
胸部分はギャザーが大きくとってあり大きな貝殻のようなデザインで、ウエストは少し濃いめのグリーンのリボンが付いている。
何か手紙がついているようだ。
ソフィアちゃん、この度はお買い上げありがとう。もう一つのドレスは、もしも他の夜会に出るとか、オペラや観劇に行くなど急な予定が入った時用のドレス。もちろんプレゼントよ。是非このドレスでランベール王国を騒がせてちょうだい。
マーガレットより。
追伸、ルーシーがこの前作ったのと同じリボンをソフィアちゃんにも贈りたいと言うのでドレスに同梱しておくわね。
私はもう一つのドレスも広げた。
「わぁー。どっちもすっごくすてき」
母がうっとりと言った。
「リボンも刺繍がすごく繊細で素敵。いいわねえ、こんなドレスを着られるなんて。楽しみね」
私はドレスを胸に当てて、ニックに尋ねた。
「どーお?お姉ちゃん似合う?」
ニックは少し赤くなりながらそっぽを向いた。
「無駄に顔だけはいいんだから似合うに決まってんだろ」
ニック…ツンデレさん。
「すごくお似合いですよ、ソフィア様」
「どっちもめちゃくちゃかわいいぞ、ソフィア」
2人はストレートだ。
母を見ると、母が父に自分もドレスが欲しいとおねだりをしていた。
何処に行くんだろう。
ロイド商会夫人ともなると、公式の場に出ることもあるのかも。
ブローチもマーガレットさんからデザインのアドバイスをもらい、我が商会の腕のいい職人が作ってくれているところだ。
平和だ…。
特に急な予定もないので、今日はレストラン木漏れ日に様子を見に行こうと思う。
シエルも今日は予定が空いていると言っていたので誘ってみよう。
シエルが一緒でモルドールにいる時は、ガブリエルとアヴァリスは自由行動だ。
ガブリエルは父の仕事を手伝ったりしているが、アヴァリスは何をしているのか知らない。
「俺はソフィアの従魔だからな。どこにいたってすぐ駆けつけられるから、何かあったら呼ぶんだぞ」
シエルは高ランク冒険者だから、何かあることなんてさすがにないと思うが。
シエルと待ち合わせして木漏れ日に向かうと、開店待ちの列で何やら言い争っている声が聞こえた。
「だから、皆並んでるんだから先に通すことなんてできないんですよ」
その声は店長のレミーさんだ。
「わからんやつだな私はランベールの貴族だと言ってるだろうが。貴族が並ぶわけないだろう」
でたよ、貴族だから優遇されて当たり前というやつ。
こんなやつがいるからこの国でランベールの貴族が敬遠されるのだ。
中にはクロエみたいな常識ある人が多いのに。
その男は女性を傍に伴って、人目を気にせず怒鳴り散らしている。
「私の父はランベール王国の子爵なのだぞ!お前では話にならん、責任者を呼べ!」
え?こいつ、見たことある…。
そうだ、あれはカルトスの湖でガブリエルとボートに乗った時だ。
あの時もボートを貸切にしたいとか何とか我儘を言っていたな。
その後どうしたっけ…、いや今は、レミーさんを救わねば。
列に並んでいる他のお客さん達もうんざりした様子で見守っている。
「シエル!行こう」
「ああ」
私はレミーさんの元に駆け寄った。
「どうしました?」
「あっ、オーナー。こちらのお客様が、並ばずにお食事したいと言われまして」
「私は貴族だ。庶民と共に並ぶわけがない」
腹立つな…。
そうだ!カルトスではガブリエルが暗示をかけて追い払ったんだ。
しまった、よりによってガブリエルがいない時にまたコイツに出会うとは。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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