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47、仮縫い

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

ルーシーが部屋を出て行って、私は仮縫いの為の個室に通された。


マーガレットさんとスタッフ達が私にドレスを着せて、ウエスト部分を摘んだり、スカートの膨らみを調節したりしている。


胸元を詰められた事は気にしない事にした。


大きく作りすぎたのだろう。


バレンシア商会の皆は仕事は早いが、女性が集まるとやっぱりおしゃべりが始まるようだ。


口を動かしても、手も動かし続けているのはプロだ。


「それにしてもルーシーの刺繍は凄かったわ。ソフィアちゃん、いい子を連れて来てくれてありがとう」


ニコニコと上機嫌のマーガレットさんだ。


ルーシーはこの街に来てからの一年、お針子の仕事をさせてもらえなかった事を伝えると、マーガレットさんもスタッフさんもとても怒っていた。


「せっかくの才能を無駄にするところだったわ。ウチは自慢じゃないけど、給料もいいし、休みもちゃんと取れるわよ」


バレンシア商会は仕事が早いので、スタッフの皆さんに無理させていないかと少し心配していたと言うと、マーガレットさん達は笑った。


「ウチは人数も多いし、皆仕事が早いのよ。いつも余裕を持って納期を伝えているから全然大丈夫よ」


さすがバレンシア商会だ。


私のドレスはブルーにしてもらった。


「鏡を見ていいわよ」


マーガレットさんの声に鏡を持って来てもらう。


「わあ、素敵!」


ドレスの上部分は大きなリボンになっていてウエストから下は艶やかな生地の2枚のスカートが優しく波打っている。


「いいでしょう。上品で華やかで、それでいて貴族以上に目立ちすぎない。ま、ソフィアちゃんが着たら何でも目立っちゃうだろうけど」


色も私の好きなブルーだ。


「マーガレットさん、とっても素敵です」


「そりゃあソフィアちゃんのドレスなんて張り切るに決まってるでしょ。我がバレンシア商会の看板みたいなもんなんだもの。これでしっかりランベール王国でウチの服宣伝して頂戴ね」


「はい、もちろんです。まあ、バレンシア商会はもうランベール王国でも有名みたいですけど」


マーガレットさんはそれを聞いて嬉しそうだ。


「そっかな〜、ソフィアちゃんもそう思う?」


その時、ドアが遠慮がちにノックされた。


「ソフィア様、もう仮縫いは終わりましたか?私とアヴァリスのフォーマルを見てもらうようにとウィルさんが申しておりまして」


「今試着してるけど、入って来ていいよ」


ドアが開くと、礼装に身を包んだ2人が現れた。


背中の長い黒のジャケットにグレーのベスト、黒のパンツだ。


ちなみにガブリエルは蝶ネクタイ。


アヴァリスは短めのネクタイだ。


「わあー!2人とも似合ってるよ。ね、皆さん」


マーガレットさんとスタッフさん達に同意を求めると、


「お静かに。今心のカメラで写真を撮り続けているところです」


と、たしなめられた。


「何?何の時間?」


アヴァリスも不思議そうだ。


ガブリエルは慣れているのか静かに終わるのを待っている。


「ありがとうございました。大変良いものをいただきました」


満足してくれたなら良かった。


「ソフィア様、とてもお美しいです」


「うん、ソフィア、すっごく似合ってるよ」


2人とも褒めてくれて嬉しい。


「2人もとってもよく似合って、かっこいいよ。これでクロエのパーティーは大丈夫そうだね」


「はい、楽しみですね」


仕上げが出来上がったらモルドールに送ってもらう事にして私達はロイド商会の宿に戻る事にした。


ルーシーは今日は一緒に宿に帰って、明日からバレンシア商会の寮で暮らす事になった。


「すぐにでも入れるって言ってくれたけど、荷物も置いて来ちゃったしね」


「私も、明日モルドールに帰るから今日は一緒に食事をしたいな」


木漏れ日の方も心配だ。


その日はルーシーと語り合って、これからは手紙のやり取りをしようと決めた。


「また、モルドールに来る時は会いに来てね」


「もちろん。ソフィアもまたバーリに来た時は会いに来てね」


「うん、そうする」


ルーシーはきっとすごいお針子になるだろう。



読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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