45、プレゼント④
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「こんにちは…」
ドアを一歩入ったそこはありとあらゆる道具があるような店だった。
右手には鍋やバケツややかんなどの日用品、左手には年代物の本や革製品、奥には鹿の角っぽい物まで見える。
「おいおい、これはまた失敗だろ」
アヴァリスが呆れた様子で呟いた。
「まだ矢印は奥に続いてますよ、まず確認しましょう」
ガブリエルはまだ諦めてないようだ。
「すいませーん、どなたかいらっしゃいますか」
私が声を大きくすると、奥から男性の声がした。
「ああ、今行くから待っててくれ」
すると奥から少し気難しそうな小柄なお爺さんが現れた。
「なんだ、あんた達?貴族か?」
「いえ、貴族ではないですよ。この国のものです」
他国の貴族がこの国にやってきて、偉そうに振る舞う事が度々あるので、この私の住んでいるサランと言う国ではあまり貴族には良い印象を持たれていない。
中にはクロエみたいな良い貴族もいるのだが、残念だ。
「それならいい。貴族は偉そうに無理ばかり言うからな。で、なんのようだ」
店主のお爺さんが言った。
「コイツも十分偉そうだけどな」
アヴァリスが呟いたので、私は背後にいるアヴァリスにこっそりパンチをお見舞いした。
「あの、こちらに紫色の宝石か、宝石が入った原石のようなものがありませんか?あれば見せていただきたいのですが」
まあ、なさそうだが一応だ。
「あるぞ」
あるんだ!
「えっ、あるんですか?」
思わず驚きが、声に出てしまった。
「なんだ?わかってて来たんじゃないのか?」
「いえいえ、わかってて来たんですよ…」
目が泳ぐがしょうがない。
「まあ、いい。ちょっと待ってろ。今持ってくる」
店主はまた奥に消えて行った。
「どう言う状況でしょう…偽物…では探し物機能は反応しないはずですよね」
ガブリエルがコソコソ言った。
「まあこんな店にあるものはどうせ大したもんじゃないだろうけど、せっかくだし見ていこうよ」
アヴァリスはすでに諦めている。
「うーん、とりあえず何が出てもステータスでどんな物か見られるもんね」
私が言う。
「我々からぼったくるつもりなら、あの店主を懲らしめてやりましょう」
「おっ、俺も懲らしめるぜ」
何か話が変な方向に…。
ほどなく店主が戻って来た。
「紫の宝石だったな。ほらこれだ」
店主が手のひらサイズの箱をカウンターの上に置き、パカリと蓋を開けた。
これは…。
大きさも輝きも申し分ない。
カットしてない状態だが、それはうちの商会で自分好みにカットして細工ができることを考えると逆に都合がいい。
「そこで、じっくり見ていいぜ」
お言葉に甘えてじっくり鑑定させていただこう。
「ステータス」
私は小さく呟いた。
パープルダイヤモンド、品質S、カラーが濃い為希少性あり。
「パープルダイヤモンド…」
私が呟くと店主のお爺さんが嬉しそうにカウンターの向こうから身を乗り出した。
「おお!嬢ちゃんわかるのか!かなりな目利きだな。他の奴らに見せても価値がわからねえバカばっかりでよ。こんないいもんが売れ残っちまってよ」
聞けばこの店は宝石の隠れた取引店らしい。
正規の取引所ではないが、この世界にはこうして裏ルートも沢山あるのだ。
ロイド商会もそこは色々あるので目を瞑っている。
「ええ、この石はかなり品質がいいですね。色も希少です。ぜひ売っていただきたい」
「そうかそうか。コイツの価値がわかる嬢ちゃんに買ってもらえるなら、こっちもうれしいぜ」
問題は金額だな。
「で、おいくらですか」
ゴクリ。
「大銀貨5枚でどうだ」
日本円で50万くらいか。
この透明度、この大きさ、この色合い、かなり安いな。
「…」
「わかったわかった、大銀貨3枚だ。これ以上はまけられないぞ」
何にも言ってないけど、下がった!
「わかりました。それでお願いします」
なんか得したな。
「ガブリエル、払ってくれる?」
「かしこまりました、ソフィア様」
ガブリエルに支払いを頼むと、店主が驚いて言った。
「ソフィアだと!アンタロイド商会の娘か。どうりでその若さで目利きなはずだ」
「ええ、ロイド商会の娘です。探していた宝石が見つかりました。ありがとうございます」
「こっちもいい取引をさせてもらったよ。また何かあったらいつでも言ってくれ」
穴場のなかなかいい店を開拓した。
あとはウチの職人に細工を頼もう。
今日はとても運がいい。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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