40、お針子③
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「それじゃあリボンの生地を見に行こう」
食事が終わってからいく先はもちろんロイド商会バーリ支店だ。
ロイド商会のバーリ支店は様々な生地や糸を取り扱っている。
「着いたよ、ルーシー」
「ここはロイド商会じゃ…。こんな高そうなとこで生地を買うの?」
ルーシーは初めてロイド商会に来るらしい。
「バーリ支店は敷居が高そうに見えるけど、お得なものも置いてあるんだよ」
私が言うと、奥から支店長が出てきた。
「ソフィアお嬢さん、お帰りなさい。お友達ですか?」
「そうなの、ルーシーってお針子やってる友達なんだ」
「そうですか。いらっしゃいルーシーさん、ゆっくりしてってくださいね。奥にお茶を用意させますね」
支店長はそう言って仕事に戻って行った。
「ソフィアちゃん。お嬢さんって…ロイド商会の知り合いなの?」
「実はロイド商会会長の娘なんだ。生地と糸を一緒に選んでくれるかな」
ルーシーはポカンと口をあけて立ちすくんだ。
「まあ、そんなことより生地を選ぼうよ」
「そんなことより…?」
なんとかルーシーを誤魔化して、私達は生地と糸を選んだ。
薄い透けるような白色布地に、金色の糸で刺繍をしてもらうことになった。
「こんな薄い生地に刺繍できるものなの?」
頼んでおいてなんだが心配だ。
「大丈夫、刺繍は得意って言ったでしょ」
「じゃあお願いするよ。それと刺繍は落ち着いた場所でやって欲しいからロイド商会の部屋を今日から無料で貸し出すよ」
私がそういうと、
「え?それはすごく嬉しい申し出だけど、帰って夕飯を作らないと先輩や店長に怒られちゃう…」
よほど怖いのか…心配げだ。
「ねえ、ルーシー。私はロイド商会の娘なわけ」
「うん、びっくりしたけど、そうなんだね」
「ルーシーさえやる気があるなら、新しい職場を推薦できるんだ」
「えっ?」
「せっかくのルーシーのお針子の才能を埋もれさせるのは勿体無いもん」
「本当に?お針子として仕事ができるの?」
「もちろん、ルーシーの頑張り次第だけどね。そのリボンをまず作ってみてよ。前の店には私から言っておくから。どうする?その店辞める?続ける?」
ルーシーはキッと前を向いた。
「辞めます!でもソフィアちゃん任せになんてしないで、ちゃんと自分で言ってくる」
おお、見た目よりすごく強い子だ。
「いいねえ!じゃあ今から辞めてくる?それでそのまま荷物まとめてとりあえずロイド商会においでよ。支店長にはしばらく部屋を借りるって言っておくからさ」
「ええ!決心が鈍らないうちに行くわ!」
「うんうん、私もついていくね」
ついでに先輩お針子達がどんな人達が顔を見てやろう。
「俺も行く!」
「私ももちろんお供します」
「うんうん、みんなで行こうね」
私はにっこりと微笑んだ。
ルーシーが少し心配そうにこちらを見た。
「あのう…私1人でも大丈夫だよ?」
「まあまあ、なるべく口出ししないようにするから。ねっ!」
「それならいいけど…」
あれ?信用ないかも。
読んでいただきましてありがとうございました。
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