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39、お針子②

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

川原に座っていた私はすっくと立ち上がった。


「許せん!」


「あ、ありがとう。でも川の中からブローチを見つけるなんて不可能に近いよね…わかってるんだけど諦めきれなくて」


私はルーシーの手を握った。


ちょっと覗かせてもらうね。


「ステータス」


うん、想像通り。


裁縫ランクA、器用S、家事B。


家事スキルまで上がっているがこれで問題ない。


私は次に川の中を覗き込んで言った。


「ステータス、ルーシーのブローチどこ?」


すると川の中ほどに下を向いた矢印が浮かび上がった。


「ガブリエル!あそこにルーシーのブローチがあるの。とってくれる?」


ガブリエルが私のすぐ隣に現れた。


「はい、ソフィア様。こちらに」


ガブリエルの手のひらの上には銀細工が周りに施されたカメオのブローチが現れた。


「何?何が起こってるの?」


私はガブリエルの手からブローチをとって戸惑うルーシーに見せた。


「ルーシーのブローチ、これで合ってるかな?」


ルーシーは震える手手ブローチを受け取り、静かに涙を流しながら胸に握りしめた。


「これ、これよ。私の大切なブローチ。もう諦めるしかないって思ったのに。本当にありがとう…」


「良かった…。こんなに素敵な思い出のブローチを捨てるなんて」


ルーシーの価値もわからないようなとこに彼女を置いておくなんて勿体無い。


「と、言ってもな…」


私の服はほとんどマーガレットさんに作ってもらっているし、私が洋服のショップを作るのも何か違う気がする。


「どうしよっかな…」


悩んでいると、アヴァリスが痺れを切らした。


「ねえ?もう話は終わったの?俺腹減ったんだけど」


確かにここで悩んでいてもしょうがない。


「そうだね、ご飯食べに行こっか。もちろんルーシーもね」


場所は変わって私達4人は探していたレストランにいた。


「こんなところに移転してたなんて…。わからないはずだわ」


「そうなんですよ、2年ほど前に店が火事になっちゃって、それでその機会にもっと広い店に引っ越そうってなったらしくて」


探していたお店は地元のルーシーに聞けば一発で辿り着いた。


移転してたなんて、まさか思ってもいなかった。


「ホントこの店結構うまいね」


分厚いステーキを切り分け口に運びながらアヴァリスが言った。


豪快な食べ方なのに何故か品があるから不思議だ。


「ソフィア様、私がもっと早く移転の可能性に気がつくべきでした。申し訳ございません」


「いや、そんな事知らなかったんだし。それでルーシーにも会えたんだしね」


同じく分厚いステーキを食べながら恐縮するガブリエルに、私もパスタを食べながら言った。


「私もいただいて良かったんですか?ソフィアさんってもしかして貴族様…?」


ルーシーが心配そうに聞いた。


「あ、違う違う。平民だよ。だから敬語もいらないよ」


「そう、良かった。こんな美形の従者が2人もいるし、身なりも高そうだからもしかしてお忍びの貴族かと思ったよ」


イケメン2人連れているのは、なりゆきだ。


「私は商人の娘なんだ。だから人を見る目がある方だと思う」


ルーシーのお針子にしては荒れた手を見る。


「それでね、私の見る限り、ルーシーにはお針子の才能があると思う」


ルーシーは嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとう。なんか最近自信無くしちゃってたからそう言われると嬉しいな」


「それでお願いがあるんだけど。私、友達に贈る結婚祝いのプレゼントを探してて。ブローチをあげたいなと思っているの。良かったらルーシーにブローチと一緒に渡す刺繍の入ったリボンを作ってもらいたいんだ。生地はこっちで用意するから。どうかな?」


「もちろん、させてもらうよ。私刺繍は得意なんだ。どんなデザインがいいかな」


私は思っているデザインを伝えた。


「こんな感じかな?」


ルーシーは待っていた手帳にサラサラとデザインを書いてくれた。


「そう!そんな感じ!すごく素敵」


久しぶりの女子トークもとても楽しい。




読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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