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36、バレンシア商会②

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

「おい、いつまでソフィアを抱きしめてるんだ」


マーガレットさんに初めて会うアヴァリスが、心配して声をかけてきた。


「久しぶりにソフィアちゃんに会えたんだもの、少しくらい堪能させて頂戴よ」


マーガレットさんはそう言って顔をあげ、アヴァリスを見て固まった。


「いい…新しい…また違うタイプのイケメン…」


アヴァリスに顔を向けたまま、マーガレットさんはウィルさんに向かって手を伸ばした。


「ウィル!早く!紙とペン持ってきて」


「はい!会長!すぐお待ちします」


ウィルさんはすごい速さで、ペンと大量の紙を持ってきた。


「キタキタキタ〜!」


マーガレットさんは店舗の床に四つん這いになると、すごい勢いでデザイン画を描き始めた。


「前にも見た光景ですね」


ガブリエルが私に言った。


「そうだね〜。外じゃなくてよかったね」


と私が返すと、ウィルさんは、


「こうなる事はすごく稀なんですよ。ソフィアさん達には感謝してます。男性向けの新しいラインナップが出来上がりそうです。さあ、2階でお聞きしますね」


と2階に案内してくれた。


アヴァリスがドン引きしている。


「あの人はあのままで大丈夫なのか…」


「ああ、彼女は気が済んだら2階にくるでしょう。そのままにしておいてください」


チラチラと気にしながらアヴァリスもついてきた。


応接室に入ると、すぐにスタッフさんがお茶を出してくれた。


「お騒がせして申し訳ありません。で、そちらの方はどなたですか?」


ウィルさんはアヴァリスを手のひらで指して訊ねた。


「ああ、彼は私の新しいボディガード兼従者のアヴァリスです」


「よろしく!さっそく面白いもん見せてくれてありがとう」


アヴァリスがよくわからない挨拶をした。


「こちらこそよろしくお願いします。後ほど彼の採寸もさせていただいてよろしいでしょうか?彼の洋服も是非我が商会から贈らせていただきたい」


「え?何?どういう事?」


戸惑うアヴァリスに、私はバレンシア商会の事とマーガレットさんの事を簡単に説明した。


「へ〜、服を作ってくれるんだ。それは嬉しいな」


「こちらこそ、彼にも是非着ていただきたい」


そしてウィルさんは改めて私に向き直って言った。


「それで、ソフィアさんは今日はどういったご用件でしたでしょうか?」


そうだ、それだ。


その為にバーリまでやってきたのだ。


私はランベール王国の次期侯爵の結婚披露パーティーに誘われたらこと、花嫁が友達のモントン伯爵令嬢のクロエだということ、何を着ていけばいいかわからず困ってる事を話した。


「話は聞かせてもらったわ」


バンとドアが開いて、マーガレットさんが入ってきた。


「会長、気が済みましたか?」


「とりあえずはね。後でまたじっくり描くわ」


すごいな、さすが有名デザイナー。


マーガレットさんはウエストを絞った明るい色のチェックのジャケットにセットのスカートでスタイル抜群だ。


緩めにアップにした髪がよく似合っている。


「そういう事ならもちろん私に任せて頂戴。何よりも優先してソフィアちゃんのドレスを作るわ」


「え?いいんですか?お忙しいのに」


見繕ってもらえればそれでいいと思っていたのに、ラッキーだ。


「私がソフィアちゃんのドレスを既製品なんかで済ませるわけないでしょ。何よりも優先して作るわ。ああ、着せたいものが多すぎて決めきれない…。いっそ5着くらい作ろうか…」


「あの…1着で十分です」

読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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