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35、バレンシア商会

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

最初の魔道車はすぐに止まってしまったり、コントロールが効かなくなったりとなかなか苦労したが、4代目頃から製品として売り出せるまでになった。


魔道車にはかなり大きめの魔石がいるためかなり高価な贅沢品で1台で家1軒建つと言われている。


はっきり行って一般市民に普及はしないだろうが、それでもいいのだ。


魔道車には夢がある。


6代目ともなると快適性をかなり重視している。


揺れをかなり軽減できているし、走行距離も伸びた。


ハンドル操作も初期に比べるとかなりスムーズだ。


さらに魔石が大きいほど魔力の容量が大きくなる。


つまり一回の魔力の補充で長く走れるという事だ。


魔石の魔力が尽きると止まってしまうので、魔力を補充する必要があるが、私もガブリエルも魔力は存分にある為自分達で使う分には無限に補充できる。


いつでもガソリンを補給できる感じだ。


私とイーツ君は魔道車のさらなる開発は続くのだ。


バーリまでの旅は、アヴァリスが運転する事になった。


「なるほど…これがアクセル、これがブレーキ。これがハンドルで右に行く時は右に回す。左は反対…」


大丈夫か?


ガブリエルと郊外で練習してきたらしいが、少し不安だ。


「いざという時は、私が魔法で停止させますから、ご安心ください」


ガブリエルがそういうなら信じよう。


頼むから事故だけはやめてね。


「では行くよ!しゅっぱーつ!」


アヴァリスの元気な掛け声と共に、魔道車は急発進した。


私の体が浮いてすかさずガブリエルが抱き止める。


「ガブリエル、ありがとう」


「どういたしまして」


誰でももっと滑らかに発車できるように、さらなる改良を加えねば。


「2人とも大丈夫?」


まあ、私もガブリエルもアヴァリスも少々の事故では怪我一つしないだろうが、ぶつかったら相手は確実にやばい。


その後の道中では、牛の放牧に突っ込みかけ、他の商人の馬車をすごい勢いで追い抜かし馬を驚かせひっくり返し、さらには崖に落ちかけた。


その都度ガブリエルが魔法でギリギリ止めた。


商人さんの馬車をひっくり返した時の、宙に浮かんだ商人さんと馬達の恐怖と驚きの顔が忘れられない。


ガブリエルが無事着地させたが、その後馬はちゃんと走っただろうか。


少し?アヴァリスの運転にハラハラさせられたが、魔導車によって普通の馬車の半分ほどの日数でバーリに着くことができた。


ガブリエルは断固として運転を代わろうとしなかった。


「ソフィア様と座る事は譲りません」


だそうだ。


魔道車をバーリのロイド商会に預けて、私達はさっそくバレンシア商会に向かった。


「こんにちは〜」


「ああ、ソフィアさんではないですか?わざわざバーリまできていただけるとは、嬉しい限りです」


バレンシア商会の会長秘書をしているウィルさんが、お店で迎えてくれた。


「ウィルさん、こんにちは。いつも洋服を送っていただいてありがとうございます。ひょっとして、ウィルさんがお店にいるって事はマーガレットさんもお店にいますか?」


おしゃれなベスト付きのスーツをビシッと着こなしたウィルさんは姿勢が良くいつも素敵だ。


「ソフィアさんは運がいいですね。会長は今日たまたま予定がキャンセルになって本店に来ているんです。すぐにお呼びしますね」


ウィルさんが近くのスタッフにマーガレットさんを呼びに行かせる。


「あ、マーガレットさんがお忙しいなら、ほかのスタッフの方でも大丈夫ですよ」


わたしが慌ててそう言ったが、ウィルさんは、


「ソフィアさんより優先させるものなど何もありませんよ。ソフィアさんと会った後は、デザインが進んで進んでしょうがないくらいです」


「そう言ってくれるとありがたいです」


「それにソフィアさんが着てくれる我が商会の洋服はすごく売り上げがいいんです。もちろんガブリエルさんもですが、やはり一番はソフィアさんですね」


「え?そんな事あるんですか?」


タダでいつも服をもらってばかりだから、少しでもお返しできていたら嬉しい。


ウィルと話をしていると、バタバタと走ってくる足音が近づいてきた。


「ソフィアちゃんが来ているんですって!」


「あ、マーガレットさん、こんにちは。お忙しいのにすみません…」


そこまで言ったらマーガレットさんに抱きしめられた。


「今日もかわいいっ!」


うーん、いい匂い。







読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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