34、手紙
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
アヴァリスは思っていたよりもすんなりと私の周りに馴染んでいった。
何故かソフィアだから…と言われていたのは気になるが本人の楽天的な性格も良かったのだろう。
特に弟のニックとは気が合うようで、よく一緒にいるのを見かける。
どちらかというとニックがお兄ちゃんの役割をし、アヴァリスに何やら教えていることが多い。
例えばロイド商会のことや街の他のお店について、お金について、本来は私が教えるべきことをわかりやすく丁寧に教えてくれる。
持つべきものは優秀な弟だ。
街も事件から徐々に落ち着きを取り戻し、レストラン木漏れ日も通常営業に戻った。
スタッフにもアヴァリスを紹介したが、すんなり受け入れてくれた。
もちろん、ロイド商会や木漏れ日スタッフには新しい従者兼ボディガードと説明してある。
もちろん魔人ということは秘密だ。
「またイケメンを増やして。一体どんだけ集めるつもり」
とリンに言われてしまった。
チートなイケメンはもうこれ以上いらないのだが。
そんな日々の中、私宛に1通の手紙が届いた。
ランベール王国の伯爵令嬢であるクロエからの手紙だ。
幼い時、一緒に誘拐された過去をもつクロエとは、その後仲良くなり、ずっと手紙のやり取りをしてお互いの近況を言い合っている。
今日は届いた手紙によると、婚約者との結婚の日取りが一年後に決まったということだ。
クロエは貴族らしく、かなり前から婚約者が決まっていて、お相手はランベール王国の次期侯爵様らしい。
そこで私にぜひ結婚披露宴パーティーに出席して欲しいとという内容だった。
「クロエのウエディングドレス姿、綺麗だろうなあ」
黒髪に紫の瞳の美人さんなクロエには、どんなドレスも似合うだろう。
貴族だけの結婚式には出られないだろうが、結婚披露パーティーには是非出席したい。
「よし、行こう」
行くと決めたからには行動あるのみ。
まず服装だ。
「貴族でない他国の友人の私は、どんな服装で行けばいいんだろう」
そうだ!洋服の事はプロに聞けばいい。
バレンシア商会のマーガレットさんだ。
マーガレットさんは他国の貴族でさえもなかなかオーダーさせてもらえない人気デザイナーだが、時々急にモルドールにきて、私とシエル、ガブリエルの採寸をしてくれる。
そして季節ごとに洋服を送ってくれるのだ。
マーガレットさんは忙しいだろうから、工房のスタッフさんにでも相談してドレスを買えればいいな。
さっそく父と母に手紙の事、クロエの結婚式の事を相談した。
とりあえずは結婚披露パーティーの出席の返事をクロエに送り、バーリに向かうことにした。
「俺も行く!絶対行く!従魔はマスターと一緒にいるもんだ!」
最初アヴァリスはまだ慣れていないので留守番してもらおうと思ったのだが、絶対に行くと言って譲らない。
この状態で置いておくのも不安なので、しようがないから連れて行くことになった。
「アヴァリス。絶対に私とガブリエルのいう事を聞いて勝手な行動をしないって約束できる?」
「もちろん、約束するよ。俺は忠実な従魔だからな」
一抹の不安はあるがとりあえずバーリの街に行ってみよう。
バーリの街まで、ガブリエルたちは転移魔法で一瞬なのだが、私は使えないので馬車の旅になる。
しかし私も進歩していないわけではない。
イーツ君との共同開発によって生み出された画期的な馬車。
馬がいなくても魔石の力で走る、魔道車だ。
数年前に我がロイド商会から発売され以降徐々に普及し始めている。
今の馬車は改良に改良を重ねた6代目だ。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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