26、冒険者ギルド
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「忙しい中呼び出しに応じてくれて感謝する」
綺麗なギルド職員のお姉さんに案内されて2階の部屋に入ると、そこにはシルバーの髪をハーフアップに無造作に結んだ、背が高い細マッチョ系イケオジがタバコを咥えて書類を眺めていた。
「ギルマス!またタバコ吸いながら書類を見てるんですか。いい加減にしてください!この前も大事な書類を燃やしちゃったでしょう?」
ギルドのお姉さんがギルドマスターに向かって言った。
「おいおい、タバコくらい大目に見てくれよ。ただでさえストレスが多い仕事やってんだ。タバコなしじゃやってらんねえよ」
ギルドマスターはソファに座ってテーブルに書類を置いた。
「まあ、お前らも座ってくれ。おい、お茶入れてくれるか?」
ギルドのお姉さんは、
「すぐお持ちしますね」
といい、ドアを出る前にギルマスを軽く睨んで行った。
私とガブリエルが並んで座り、シエルはギルマスの隣に座った。
「まったく、口うるさくなったもんだ」
はーあ、とため息をひとつついて、ギルマスは話し出した。
「俺はモルドールの冒険者ギルドマスターをやってるゴードンだ」
ギルマスは私達に握手の手を差し出した。
「初めまして、ロイド商会のソフィアです」
「初めまして、ガブリエルと申します」
私達も握手を返す。
「お前らの事は色々聞いている。さて、早速本題に入りたいんだがいいか?」
色々ってなんだ?と思うが今は聞く時ではない。
「どうぞ」
と話を促す。
「シエルから聞いているとは思うが、昨日お前らが捕らえてきた犯人が今朝になって死体で発見された。ここまではいいか?」
「はい、聞いています」
「犯人は毒物を摂取して死んだ。今朝の段階では隠し持っていた毒を飲んだと思われていたんだが、怪しい男を目撃したと言う職員が現れてな。外部からの侵入も考えられるんだ」
「そんな!どうやって侵入したと言うんです」
シエルもその事は知らなかったようだ。
「シエルがそう思うのは最もだ。ウチのギルドは警備が厳しい事で有名だ。勾留所には窓ひとつないし、見張りは犯人が見える所と拘置所の入り口の2個所に分かれてそれぞれ複数人で見張っていた」
ギルマスは書類の裏に図を書いて説明し出した。
「普通に考えると誰にも見られずに毒を飲ませる事は不可能ですね。自殺ならともかく」
ガブリエルがギルマスの書いた図を見ながら言った。
「でも怪しい男を見た人がいたんですよね?」
私の質問にギルマスは答えた。
「ああ、それだ。怪しい人影は拘置所の入り口を横切ったのだが中には入らなかったらしい。それも1人が追いかけたんだが、角を曲がったところで忽然と消えてしまったと言う事だ」
「では、その人影は関係ないのでは?」
「見張りの職員もそう思ったから最初は報告をしなかったんだが、怪しい男が通った直後、奥にいる見張り職員に報告に行くと、犯人が息絶えていたんだ」
どういう事?
「どういう状況かよくわからないのですが?」
ガブリエルもよくわからないようだ。
「つまり奥の見張りが見ている目の前で、突然犯人が苦しみ出して倒れて死んだんだ。これから取り調べようと思った矢先にだ。そのタイミングで怪しい人影が目撃された。これで事件がなくなればいいが、続けば他にも犯人がいる事になる」
なるほど。
「そこで何か事件解決のヒントになればとお前らに昨日の状況を聞く為に呼んだというわけだ」
なるほど。
ちょうどお茶が運ばれてきた。
そこでお茶を飲みながら、私達は昨日の出来事、男の様子を思い出す限り細かく伝えた。
「あのお方に血が必要か…。どうやらまだ他に裏で糸引いているやつがいるみたいだな」
その怪しい人影というのも気になる。
また何か進展があったら教えてもらう事にして、私達は冒険者ギルドを後にしながら話をした。
「ガブリエルなら見張りに気づかれずに毒を飲ませたりできるの?」
と私が聞くと、
「できるかできないかで言うと、できますね。外で見張りの気を引いて、空間魔法で転移すればすぐです」
「でもそれをできる人はそうそういないでしょ」
「そうですね。本物のバンパイアならコウモリとなって侵入できると思います。あとは魔人とか。人間でも空間魔法が使えるものならできるかもしれません」
「やっぱり血が必要なお方っていうのはバンパイアなのか。それとも…。いや考えたくないな」
シエルが呟いた。
もう一つの可能性は考えたくないが。
読んでいただきましてありがとうございました。
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