21、街の噂
いよいよ今年も終わりですね。
今年一年読んでいただいた皆様のおかげで書き続けてくることができました。
ありがとうございます。
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「私が聞いた話では、夜女性が1人で歩いていると、ヒタヒタって後ろから誰かがついてくる足音がするんだけど、振り向いたら誰もいないらしいの」
「へ〜、それで」
私は今、レストラン木漏れ日のテーブルに座っている。
レストラン木漏れ日は無事にオープンを迎えた。
初めはスタッフも慣れなくて私とガブリエルも店を手伝っていたが、今は増えつつあるお客さんもにも対応している。
今ではスタッフだけで充分やっていけている。
今はランチタイムが終わって休憩時間だ。
遅めの昼食をとったあとたわいもない話をしていたのだが、最近街で噂になっている話になった。
リンが真剣な顔で語るのを、私は面白そうに、ロジーは少しビクビクしながら聞いていた。
「それで気のせいかなって歩き出すと、また後ろから足音がきこえる。怖くなって急いで走り出すと急に耳元でこんばんわって囁き声が聞こえ、声の方を見るんだけど、そこで意識がなくなるらしいのよ」
「え?気を失っちゃうって事ですか?」
ロジーが不安げだ。
「それがよくわからないんだ。話によれば、イケメンを見た気がするって人や、誰かと話した気がするって人もいるらしいの。でも皆気がついたら同じ道に1人で立っているらしいの」
なんだそれは。
「結局何もないってこと?」
それなら事件ではないな。
「それが、乱暴された様子なんかは全くないんだけど、女の子は皆、首に2つの小さな丸い傷が並んでついてるんだって」
「並んだ2つの小さな丸い傷…それって、バンパイアって事ですか?」
ロジーが震える声で言う。
「そう、街はバンパイアが出たんじゃないかって噂になってるの」
バンパイアといえば、前世では物語や映画なんかにも時々出てきたな。
日の光や銀の杭に弱いって本当だろうか?
他にもニンニクとか。
「今時バンパイアなんていないだろう?もう百年以上前に絶滅したって聞いたぜ」
とソルがリンに言った。
あ、百年以上前には実際にいたんだ。
「バンパイアは長寿種らしいから、まだ生きてても不思議じゃないでしょ」
そこへ、レミーさんがやってきた。
「なんにせよ、危ない事には変わりないな。夜遅くに女の子は出歩かない方がいいね」
「そうね、それが一番安全ね」
ふうむ、バンパイアか、それともバンパイアに見せかけた人為的な事件か…気になる。
「ソフィア様、危ないから夜出歩いてはダメですよ」
ガブリエルも厨房から出てきて注意してくる。
「うん、わかってはいるんだけど…気になる」
「好奇心旺盛なのはいいけど、危ない事に首を突っ込むのはやめといた方がいいと思うけどな、姉貴によると冒険者協会にも調査の依頼がきたらしいからもうすぐ解決するだろ」
ランド君が言う事ももっともだ。
もっともなんだけど…。
「ね、ガブリエル。ガブリエルがいたらバンパイアもへっちゃらでしょ?」
「え?もちろんですとも。私はバンパイアなんかに遅れをとるわけがない」
そう言うと思った。
「じゃあさ、ガブリエルが一緒なら、夜の街を出歩いても大丈夫でしょ?」
「もちろん大丈夫…とでも言うと思いました?ダメ、危ない事は絶対ダメ!」
ダメかあ。
上手くいったと思ったのに。
なんとか一目見れる方法はないかな。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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来年も皆様にとって良い年になりますように。




