19、間話〜暗い世界にて
前作に少し出ていたキャラです。わかる方もわからない方もそのうちまた登場する予定なので、よろしくお願いします。誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
そこは辺りに瘴気が立ち込めた場所…。
草も花も生えず、見渡す限り砂と赤黒い岩がほとんどを占めている。
その一角に同じ赤黒い岩でできた、殺風景な城があった。
その城に近づいてみると、城の周りには魔物と言われる異形の化け物の死体が無数に折り重なっている。
城の中は静まり返っている。
城の中の通路には、上位種だろうか…鎧のようなものを着て武器を持った魔物…オークやリザードマン、コボルトなどが倒れて息絶えている。
「はーあ、つまんない」
黒髪に赤い目をしたこの世の者とは思えないほど美しい青年が、城の最上階の部屋の開け放たれた出窓に座り外の景色を見ていた。
彼の座る窓の下には、無惨に斬り落とされた巨人族の頭が目を見開いた状態で転がっている。
部屋の中央には巨大な斧を振りかぶって立ったままの頭の無い巨人の体があった。
「暇つぶしに魔界の貴族を殺しに来たけど全然相手にならないじゃん。つまんねー」
ああ、今でも夢に見るあの幼い少女のなんと輝きに満ちていたことか。
「魔人に目潰しとか今思い出してもウケるんだけど」
クックっと思わず笑いが込み上げる。
と、同時に後悔が彼に襲いかかる。
どうしてあの時、自ら手を離してしまったのか。
「生きてさえいれば、また会えたのに」
死してなお。あんなに自分を惹きつけてやまない存在は今までいなかった。
きっとまたすぐに同じような存在に出会えるだろうと思っていたのだ。
しかしあんなに胸踊ることは2度となかった…。
もし彼女のような存在に再び出会えることがあるとしたら、自分の持つ何もかもを捨ててもいい。
そして今日も彼は焦がれるのだった。
読んでいただきましてありがとうございました。
昼に投稿予定でしたが夜になってしまいました、ごめんなさい。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
よければ評価ブックマークもお願いします。




