11、シエル
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
さて、店をオープンする要となる店長兼料理人は見つかった。
しかし彼1人で店をやっていけるはずもなく、スタッフを見つけなければならない。
「どうしたんだい?難しい顔して。また店の事?」
シエルが私の顔を覗き込んだ。
私はシエルと恒例になりつつあるピクニックに来ている。
ブランケットを広げ、私の作った昼食を食べている。
ちなみに今日のメニューはチーズハンバーガーだ。
シエルは今では21歳の青年だ。
サラサラのプラチナブロンドのショートヘアが良く似合う。
背が高く、服の上からでもわかる引き締まった実用的な筋肉質な体は、長年見慣れた私でも間近で見るとドキドキする。
綺麗なグリーンの瞳で見つめられると幼馴染の私でも目が離せないのだから、街の女性達がシエルをアイドルのように扱っているのも当然だ。
ずいぶんカッコよく成長したね。
おまけにシエルはこの若さでソロのA級冒険者だ。
実力も申し分ない。
本人は、S級にならないと師匠に認められないと言っているが、私としては十分すぎると思う。
シエルが師匠と仰ぐガブリエルはそもそも人間でないのだから同じ強さを追求するのは無理があるのではないか。
まあ、本人が頑張っているのだから余計な事は言わないでおこう。
それより話は戻るが店のスタッフの話だ。
「そうなの。ホールは1人決まってて、マークの奥さんのリンがやってくれるんだけど、あと厨房に2人、ホールにもう1人は欲しいのよね」
ジェイコブの上の息子のマークはなんと5年前に結婚して息子も2人いる。
奥さんのリンはマークと同じ年で、成人してすぐに結婚したのだ。
すごく優しくてしっかりした頼れるお姉さんだ。
「張り紙とかで募集をかけたのかい?」
確かにシエルが言うようにロイド商会に張り紙などで募集をかければあっと言う間に集まるだろうが、できれば自分で探したい。
「そうすればすぐ集まるとは思うけど、私やガブリエルの事もあるからなるべく信頼できる人を自分で探したくて」
「そうだな…ガブ師匠は特殊だし、ソフィアは狙われやすい体質だからな。どこかの貴族の密偵なんかが入り込んできたらと思うと…絶対に仕留めてやる」
シエル…勝手な想像で殺気がヤバいよ。
シエルはガブリエルが大天使ということを知っている。
私が前世の記憶持ちという事は言っていないが、薄々何か気づいているのかもしれない。
「この街ではガブリエルとシエルが守ってくれている事が知られてるから手を出すヤツいないと思うけどね」
シエルは私に向き直った。
「ソフィア、最近は誘拐されないからといって油断は大敵だ。世の中何があるかわからないぞ。俺は、絶対にソフィアを失いたくないんだ」
じっと見つめられるとなんだか落ち着かない。
「大袈裟だよ。私は丈夫だし、もうそうそう誘拐なんてないでしょ」
「魔人に攫われかけた事だってあるんだぞ。用心に越した事はない」
そう言われると何も言い返せないな。
「そうですよ、ソフィア様。あの時は肝が冷えました」
ガブリエルがいつものように突然やってきた。
「ガブリエル。もう用事は終わったの?」
ガブリエルは時々父にお使いを頼まれているようだ。
転移できるのは便利だな。
「はい、終わりましたよ。シエル、貴方もソフィアさまを守れるように鍛錬を怠らないように」
「はい、師匠」
それを見ていたわたしはボソリと呟いた。
「ソロでA級冒険者なら充分でしょ」
読んでいただきましてありがとうございました。
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