25 なんか強い人!
二十五話 なんか強い人!
「あぁ……なめてたよ」
結局魔法は使うことができず後ほどエティに聞いたところ……魔法というものはその武器専用のものが備わっているか、もしくは基本魔法書店で買うものとのこと。
なので私が使えないということはこのミルキーポップには専用魔法が存在していないらしい。
「はぁ……結局使えない武器になっちゃった」
私は大きくため息をついて肩を落とす。
まだ見た目こそ怖かったけど死神の大鎌の方が良かったよ。
「まぁまぁ、元気だしなよクロエ。 武器の中には装備してる人のレベルが上がるとロックが外れて習得できるようになる魔法もあるっていうしさ」
エティが私のミルキーポップに視線を向けながら背中をポンポン叩く。
「え、そうなの?」
「うん。 だから魔法を使いたかったらレベルを上げるか魔法書店に行くかだね」
「魔法書店……」
エティによれば、炎の初級魔法【火炎弾】、氷の初期魔法【氷結弾】が主なものらしく、だいたい売値価格が1つにつき500ディア程度らしい。
できれば買いに行きたいんだけど残念ながらこの村には魔法書店は存在していない。
マギルにはあるらしいんだけど、向かってる途中で巻き込まれて死ぬのだけは本当に勘弁なんだよなぁ。
「んーー」
そうやって私が腕を組みながら悩んでいる時だった。
『俺、参上じゃい!』
「うわぁ!!」
突然リュックの中からウサちゃんが飛び出してくる。
「えっと……ウサちゃん? どうしたの急に」
『その武器役に立たないんだったら俺をまた使うんじゃい!』
「え」
『えってなんじゃい! 俺のステッキが壁に立てかけられたままで可哀想なんじゃい!』
ウサちゃんがステッキを股に挟みながら私のところに持ってくる。
「なにその持ってくる方法」
『こうしないと俺の身長じゃ引っかかるんじゃい。 それに……』
「それに?」
『結構こうしてると……当たって気持ちいいんじゃい』
◆◇◆◇
ーー……ということでミルキーポップを持っていても今のままでは意味のないこと、そしてウサちゃんの猛プッシュもあり私はメルヘンラビットを装備。
しかしスキル【死神の行進】は消えず……【魔攻・魔防】は相変わらず4444のままっぽい。
『ステータスが変わらないのならメルヘンステッキで充分じゃい』
ウサちゃんが私のステータス画面を覗きながらドヤ顔を決める。
「いやいや、ミルキーポップは能力あったけどこれないじゃない。 相手を麻痺にもできないし……」
『それはあれじゃい』
「なに?」
『愛嬌じゃい』
「ーー……意味がわからないよ」
私はウサちゃんを見つめながらため息をつく。
うん、このままではダメだよね。
「よし決めた!」
私は大きく宣言し勢いよく立ち上がる。
「ちょ、どうしたのクロエ!」
「今戦争中で危ないけど……マギルに行って魔法書買う! そしてもし武器屋にゴールデン武器売ってたらそれも買っちゃう!」
「おぉ……」
『じゃい……』
エティとウサちゃんは私に向かって静かに拍手。
「そうと決まればもう私行ってくる!」
「ちょ、ちょっと待ってよクロエ! もうすぐ夜だよ!? 明日になってからでも……」
「ううん、善は急げだよエティ! だから行ってきます!」
『俺も行くんじゃい!』
ウサちゃんは私の持つメルヘンラビットの先端にスポット入る。
『ーー……』
「え、ウサちゃんどうしたの?」
『やっぱり……入るのそっちがいいんじゃい』
ウサちゃんが恋しそうに私のスカートを指差す。
「あ、パンツ?」
『じゃい』
「はぁ……仕方ないなぁ。 私は横から見たときにちょっともっこりするからアレなんだけど……まぁいいよ、おいで」
『じゃーーい!!』
私はパンツを広げてウサちゃんをイン!
夜間の行動となるためいつ危険なことに巻き込まれるか分からない私は念の為パンパン☆
「待ってよエティ、私も行くー!!」
ウサちゃんを2体に増やしてエティとともマギルに向かって出発したのであった。
その道中ーー……
エティと雑談しながら道を歩いていると複数の男たちに囲まれる。
「ーー……え」
彼らの顔を見渡すとみんなニヤニヤ。
おそらくは山賊……。
「ねぇクロエ、どうする?」
エティが小声で私に尋ねる。
「んん……ここは私がタワッシー呼んでどうにかしてもらうよ」
「わかった、お願い」
私がタワッシーを呼び出すと男たちはニヤニヤしながら武器を構える。
「野郎ども! 先に捕まえたやつからお楽しみでどうだ!?」
「「「ひゃっはああああああ!!!」」」
汚い声が周囲に木霊する。
「うわあ気持ち悪い。 タワッシーたち、早速やっつけちゃって!」
『『ピギャアアアア!!』』
タワッシーたちが山賊たちに攻撃にかかろうとする……その時だった。
「あらあら、こんなに月が綺麗な夜に喧嘩ですか?」
声のした方を見てみるとそこには赤いジャケットに黒のスカートを履いた金髪ミニツインテールの女の子。
「なんだてめえは!!」
山賊の1人が女の子を恫喝する。
「まぁ怖いですわね。 それにしてもあなた方は山賊ですか」
女の子が静かに山賊たちを見渡す。
「そうだ! だったらなんじゃあ!!」
「私、山賊には少々恨みがございましてね。 ここでちょっとだけ晴らさせていただきますわ」
女の子は腰に下げた剣を華麗に構えてうっすらと笑う。
「構うな! あの女共々やれええ!!!!」
山賊たちが一斉に私たちに襲いかかる。
「危ない! タワッシー!!」
「いえ、その必要はないですわ」
「え」
それは一瞬。
次の瞬間には女の子は山賊たちの懐に潜り込み華麗な剣捌きで山賊たちを地に伏せていく。
「つ……強いね」
エティが小さく呟く。
「うん、この人一体……」
『この人知ってるんじゃい!!!!』
突然スカートが捲れてパンツの中からウサちゃんが女の子を指差す。
「ちょ、ちょっとウサちゃん!?」
『姉さん! 俺じゃ……俺じゃい!!!』
ウサちゃんが女の子に向かって必死に手を振る。
「あら、あなた……」
女の子はウサちゃんを無視して視線を私に向ける。
「え、私?」
「ふふ、おパンツの中に入れてるなんて……痴女ですのね」
「痴女じゃないよ!!!」
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