24 擬態!
二十四話 擬態!
「はぁ……結局誰も信じてくれなかったね」
村の宿屋に戻った私たちは大きくため息をつく。
そう……私たちは村に戻ってすぐ、ヘルムート樹海の中に以前この国を支配していた魔王軍が潜んでいたことを村のみんなに知らせたのだが結果誰も信じてくれず。
なのでこうして宿屋・私の部屋の中で2人で落ち込んでいるのだ。
「でも仕方ないよクロエ。 私だってあれ見てなかったら絶対信じないもん」
エティが自分のステータス画面を眺めながら力なく呟く。
「まぁそうだけどさ……でもこのままってのも危険じゃない? いつ動き出すかも分からないしさ」
もうあんな惨劇は味わいたくない。
もう大切な人や場所を失うなんて我慢ならない。
「うん。 じゃあ魔王軍が動き出すまでに私もクロエも対抗できる力を身につけないと……だよね」
エティがまっすぐ私を見て手を差し出す。
「でもどうしよっか。 とりあえずはレベル上げ?」
「そうだねー。 クロエはとりあえずレベル取り戻して装備できるもの増やしたり、その死神の大鎌のランクを上げたらいいんじゃないかな」
エティが私の武器を指差しながら答える。
「あー……エティ、そのことなんだけど……」
「ん?」
私はステータス画面を開いて装備欄の死神の大鎌をタップ。
詳細を開いてエティに見せる。
「え、その武器がどうしたのクロエ……って、ええええええ!!?!?!?」
エティが驚きのあまりベッドから転げ落ち、手を震わせながら武器詳細画面を指差す。
「な、ななな……どうしたのそれ!」
「わかんない。 ちょっと心当たりがあるっちゃあるんだけど……」
そこに書かれていたもの。
それはーー……
●【死神の大鎌】触れた敵に絶大ダメージ。 装備者の魔力をより増大させ相手に魔力の刃を当てることで、装備を破壊し麻痺状態にさせながら魔力を多めに吸収する。 見た目で警戒されないようイメージ通りの形に1度だけ変更可能。
・【現在のランク】10
・【能力】魔力超吸収・強制麻痺・武具破壊・死神の加護・死神の微笑み・擬態
・擬態する武器のイメージをしてください。
「確かあの謎の女の人の攻撃がこの鎌に触れたんだけどね、その時に一気に10まで上がったんだ」
「えええええ、その能力【魔力超吸収】が働いたってことなのかな」
「わかんない。 でもこれで見た目変えれるっぽいんだけどどうしたらいいかな」
私は死神の大鎌を眺めながら首をかしげる。
「どうだろ。 どうせなら可愛いものにしたら? せっかくクロエのその衣装可愛いんだし」
「あーこれね。 うん確かに可愛いし気に入ってるけど……そんな感じのが似合うかな。 イチゴ……とか?」
ピカァッ!!!
私が脳内でイメージした途端、死神の大鎌が突然眩く光りだす。
「えええええ、クロエなんかしたの!?」
「してないよおおお!!! え、もしかして今なんとなくイメージした見た目に反応した系!?」
死神の大鎌は光を放ちながらその姿を変えていく。
「ねぇクロエ、ちなみにどんなのイメージしたの?」
「え? イチゴ……だけど」
私がそう答えると同時に光が治まり形を変えた死神の大鎌が私の手に。
「ーー……え」
「うわぁ、想像してたのと一緒だ!」
それは緑色の長い取っ手の先にイチゴのようなものが付いている杖。
私がそれを眺めているとステータス画面が開かれる。
●能力【擬態】により擬態完了しました。 それにより根本の能力は変わりませんが若干仕様が変わります。
「え、それはどういう……?」
私は装備欄を確認。
すると武器の名前自体が変わっている。
●クロエ
【レベル】1
【装備】スウィートドレス・メルヘンラビット・ミルキーポップ・奇跡のパンツ
【数値】攻:4 防:44 魔攻:4444 魔防:4444
【スキル】奇跡・自動回復・魔物召喚・協力合体・死神の行進
●【ミルキーポップ】どんな魔法も高火力で撃てる莫大な魔力を秘めた杖。 装備者の魔力をより増大させ相手に魔力の刃を当てることで、装備を融解させ麻痺状態にさせながら魔力を多めに吸収する。
・【現在のランク】10
・【能力】魔力超吸収・強制麻痺・武具融解・死神の加護・死神の微笑み
「え、ちょうどよかったじゃない」
ステータスを見たエティが私に笑みを向けながら手を握る。
「なんで?」
「だってほら、前の大鎌だったら嫌でも接近戦になってたけどさ、これなら魔法で遠距離から撃てるんだよ!? めちゃめちゃ安全になったじゃん」
「あー、本当だ」
それもどんな魔法でも高火力で撃てる……かぁ。 魅力しかないよね。
「ねぇエティ、私ちょっと試してきていいかな」
わたそはミルキーポップを持ちながらエティに尋ねる。
「もちろん! 私もどんな魔法が出るのか楽しみだし!」
こうして私とエティは再び村はずれの茂みの中へ。
出てきた猿型の魔物に向けてミルキーポップを構える。
「いくよエティ、見ててね!」
「うん! 頑張れクロエ!!」
私は魔物に狙いを定めて魔力を込める。
「ねぇエティ」
「ん?」
「魔法って……どうやって使うの?」
「ーー……へ?」
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