20 またレベル1!?
二十話 またレベル1!?
「おはようクロエー」
私が死神の大鎌のランク上げをして帰ってしばらく……健康的に起床したエティが扉を叩いて扉を開く。
「え、クロエ鍵かけてない……ってあれ、起きてたの?」
エティが驚いた様子で私をみる。
「まぁね!」
「ていうかなんなのその大きな鎌! そんなの持ってたっけ!?」
私の足下に置いていた大鎌に気づいたエティが指をさしながら私に尋ねる。
「ふふ……実は昨日の夜にタワッシーとウサちゃんに頼んで魔物のボスを倒してきてもらったのだ!!」
私は腰に手を当ててドヤ顔を決め、死神の大鎌の大体の性能をエティに説明する。
「え、ダメージないの!?」
「うんっ! あとこれランクっていうのがあって、成長するタイプの武器みたい」
「へぇー聞いたことないなぁ。 でも武器にもレベルっぽいものがあるって面白いね」
「そうそう! だから今日もレベル上げに行くでしょ? その時に倒す魔物から魔力もらおっかなーって」
「いいじゃない! じゃあ早速行こうか!」
「うん!」
こうして私たちは宿屋を出発。
昨日手に入れた討伐報酬を雑貨屋で売り、売ったお金でエティの弓矢を大量購入……その後昨日と同じ絶好の討伐ポイントへと足を運んだのだった。
「あ、そうそう。 昨日夜中魔物から魔力を奪ってたんだけどね……」
「うん」
「その時に昨日キノコのせいで濡れたパンツ、知らない間に乾いてたよ。 ほら」
「ーー……わかったからこんな日中に捲らないの」
◆◇◆◇
タワッシーたちがおびき寄せた魔物をウサちゃんがこれでもかと言うくらいに煽って囮に。
その隙をついて私は茂みから飛び出して大鎌を振るう。
「これでもくらええええ!!!」
死神の大鎌の刃が魔物を掠る。
『ブルアアアアア!!!』
その瞬間に私の大鎌の能力が2つ同時に発動。
魔物の魔力を吸い取ると同時に対象を麻痺状態に。 全身動かすことができなくなった魔物がその場で倒れこむ。
「今だよエティー!」
私は茂みの奥に隠れていたエティに合図。
するとすぐに矢が飛んできて魔物を貫通、消滅させる。
「いいねクロエ! 魔物が痺れて動けないから的にしやすいよ! この調子でやっちゃおう!」
「おー!!」
こうして私たちはこの方法を使って魔物をバシバシと討伐。
経験値も多く入り、かつこの死神の大鎌にも大量の魔力が溜まっていく。
どうやら本当にこの周辺の魔物は高レベル帯が多いらしく、私が夜中に倒し回っていた魔物たちの時とは吸収する魔力量が比べ物にならない。
ものの2時間ほどでレベルもいくつか上がり、その後大鎌のランクが3から4……4から5に。
●第4段階に必要な魔力の吸収を完了しました。 どちらにバージョンアップしますか?
・死神の加護
・魔力爆発
「ーー……爆発はちょっと縁起悪いかも」
私は【死神の加護】を選択して武器の詳細を確認する。
●【死神の大鎌】触れた敵に中ダメージ。 相手に魔力の刃を当てることで、装備を破壊し麻痺状態にさせながら魔力を多めに吸収する。 代償として装備した者のレベルは1に。 装備したものに特別なスキルを付与する。 次回ランクアップには限界突破が必要。【※】
・【現在のランク】5
・【能力】魔力超吸収・麻痺属性・武具破壊・死神の加護
「ーー……え?」
説明文の意味がよくわからなかった私は自分のステータス画面を確認する。
するとーー……
●クロエ
【レベル】1
【装備】スウィートドレス・メルヘンラビット・死神の大鎌・奇跡のパンツ
【数値】攻:4 防:44 魔攻:4444 魔防:4444
【スキル】奇跡・自動回復・魔物召喚・協力合体・死神の行進
「ーー……ん?」
疲れてるのかな……。
私は目を擦りながらもう一度確認。
魔攻と魔防が4444? え?
何かのバグだと思った私はスキル【死神の行進】をタップする。
●【死神の行進】ステータスがランダムで強制変化。 全て4しかつかない数値となる。
「ーー……」
あまりにも突然のことで固まっていると遠くからタワッシーたちの声。
また新たな魔物を連れてきたようだ。
「もしかしてこれ、魔物に勝てるやつじゃない?」
そう感じながらも茂みに隠れ、魔物がおびき寄せられるのを待つ。
『ピギャアアア!』
タワッシーが目標地点に到着、ウサちゃんがおびき出された魔物を煽り出す。
魔物は怒り爆発。 ウサちゃんを睨みつけて地面を強く踏みしめる。
「よしっ!」
私は今までと同様魔物に死神の大鎌の刃を当てる。
するとーー……
ブシャアアアアア!!!
まさにスキルのオンパレード。
魔力を吸い取り麻痺状態にしながらも武具破壊で覆われていた毛皮が剥がれて大鎌の攻撃で一刀両断。
エティの矢を待つまでもなく魔物が肉塊と化する。
「ーー……え?」
私の心の声が口から漏れる。
「え?」
それは茂みの方からも。
どうやらエティも何が起こったのかわからなかったご様子。
「クロエ……今のクロエがやったの?」
茂みの中から立ち上がったエティが私に話しかける。
「うん……なんか私がやったみたい」
私とエティはしばらくの間お互いの顔を見つめ合い、そしてその後同時にーー……
「「ええええええええええええ!?!?!?」
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