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悪役令嬢は可愛いものがお好き  作者: 梓弓
第一章

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ギルバートさんは商会の長をしているため、各地にある商会に所属している店を見て回っているそうです。


話を聞いていると、私がよく知っているお店の名前も何軒か出てきました。


私が知らなかっただけで、ギルバートさんの経営するお店に行っていた事が分かりました。


「実は意外にギルバートさんのお店に行っていたみたいですね。」


「その様ですね。ローゼット家のお方に利用していただけるなんて、とてもありがたいことです。」


「ギル殿は大袈裟だなぁ。」


ギルバートさんはとても嬉しそうに笑顔で言い、祖父はそれに苦笑しています。


「ところでギル殿。また新しいアンティーク品を買ったのだが。」


「ふふ。ローゼット殿は相変わらずですね。」


「はは。それはお互い様じゃないか?聞いたよ。商会の本部にまたアンティークの家具が増えたとか。」


「……良くご存じで。」


ギルバートさんは苦笑しています。


「まあそれはともかく、せっかく我が家に来たのだから見て行くかい?」


「はい。ぜひ見せて下さい。」


「じゃあ、早速案内するよ。」


「お願いします。……では、ひとまず失礼しますね。」


ギルバートさんはこちらの方を向いて会釈すると、祖父とともにアンティークを見に行ってしまいました。


「……さ、ギルバートさんに挨拶も済んだ事だし、そろそろ帰り支度を始めた方が良いかもしれないわねぇ。」


と、祖母が言ってきました。


私達は昼食をこちらで頂いた後、自宅に帰る事になっています。


「そうですね。荷物をまとめてきます。」


「お土産も忘れないようにしなくちゃいけませんね!」


「ふふ、そうね。お父様やお母様達に喜んで貰う為にもね。」



そして荷物がまとめ終わった頃、ちょうど昼食の時間になりました。


メイドさんに連れられて食堂に着いた時にはもう、私とフィリア以外のみんなは席についていました。

ちなみにギルバートさんも昼食に招いたそうです。


「よし、全員揃ったな。ではいただこうか。ギル殿も遠慮せずに食べてくれ。」


「はい。……でも昼食までご馳走になるなんて、なんだか申し訳ないです。」


「はは。そう固くなるなよ。」


祖父の言葉に、ギルバートさんは恐縮しています。


「さ、シオンもフィリアも。帰りにお腹が空かないように、しっかり食べるんだよ。」


「はい。」


「はーい。」


祖父はこちらを向いてニコニコしながら私達に言ってきました。


「あ、お二人は今日お帰りになるのですか?」


ギルバートさんは食事をしている手を止め、聞いてきました。


「はい。昼食を頂いたら。」


「そうですか……。申し訳ありません。せっかくの家族団欒にお邪魔してしまったのですね。」


私の返事にギルバートさんは眉を下げて言いました。


「ぎ、ギルバートさん。気にしないで下さい。」


「そうだよ。寧ろ、ちょうど君をこの子達に紹介できたんだから、良かったのだよ。」


「そう、ですか?それなら良いのですが……」


私があわててフォローしようとしたとき、祖父が上手く納めてくれました。


その後はまた和やかな雰囲気に戻り、今回の滞在で最後の食事は過ぎていったのでした。


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