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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十四章:脈動
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14-26学友

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


「アリーリヤさんの宿舎へ行きましょう!!」



 私は思わずそう叫んでしまった。

 そりゃぁ、新学期からこっちそれ程仲が良いわけではないけど同じクラスメート。

 そのアリーリヤさんが容疑者だなんて信じられない。


 でも確か一般学生では筆頭でこの学園に入って来たって聞いたし……


 私たちはすぐにソルミナ教授を含め宿舎へと向かうのだった。



 * * *



 どガーンっ!!



「何っ?」

 

 宿舎へ向かう廊下を渡っていたら宿舎から大きな音がした。

 驚き窓からそちらを見ると、もうもうと煙が立ち上っていた。



「お姉ちゃん、あれっ!!」



 ルラに言われ見ると誰かが宿舎の屋根に飛び乗っていた。

 そしてそこへまた人影が飛び上がる。


「ユカ父さん!?」


 私たちエルフは目が良い。

 夜目も効くけど遠くもよく見える。


「え? なに、学園長がいるの!?」


 思わずその姿を見てそう言う私に遠くが見えないヤリスは驚き聞いてくる。


「確かに、あれはユカじゃない!? それに、あっちは……」


 ソルミナ教授も窓際に来てそれを見て驚きの声を上げる。



「アリーリヤさん!!」



 勿論私も驚いている。

 正直自分の眼を疑っていた。


 宿舎の屋根の上には煙を背景にアリーリヤさんとユカ父さんが対峙していたからだった。



「何、どう言う事よ? 学園長と誰があの上にいるって言うの!?」


「アリーリヤさんです、あそこに立っているのはアリーリヤさんなんですよ!」


 ヤリスの質問に私は半ば叫ぶように答えていた。

 だって信じられない。

 アリーリヤさんのあの手に持つ物は間違いなく連結型魔晶石核!!



「お姉ちゃん、アリーリヤさんの手の中のあれ、連結型魔晶石核だよね?」


「なんですってですわ! それでは彼女が犯人なのですの!?」



 ルラのその言葉にアニシス様も声を上げる。

 当然だ。

 あれだけ苦労して作り上げた連結型魔晶石核を盗み出したのはあのアリーリヤさんだ。

 私はその事にショックを受けると同時にユカ父さんに対してもショックを受けていた。



「ユカ父さんが……ケガしている……」


「えッ!? うわっ、本当だ!! あのユカが手傷を負っているだなんて!!」


 ソルミナ教授もそれを見てまた驚く。

 だってあのユカ父さんがケガしているだなんて信じられない。

 


「お姉ちゃん、あたし先行くね!! あたしは走るのも『最強』!!」


「あっ、ちょっとルラっ!!」



 ルラはチートスキル、「最強」を使って疾風の如く駆け出す。

 私が何か言おうとした時には既に曲がり角を先に曲がっていて姿が見えなくなる。



「私たちも急ぎましょう!!」


 私はそう言ってルラの後を追って駆け出すのだった。 

  


 * * *



「はぁはぁ、ルラとユカ父さんは!?」



 慌てて宿舎まで駆けて来て上を見る。

 ここからだと屋根の上は見えないけど、宿舎の壁が爆発するかのように破壊されていてそこから火の手が上がっていた。


 既に警備の人たちもやって来て学生を退避させたり、水魔法を使って消化に入っている。


 と、そんな中にルラに肩を借りてユカ父さんが現れた。



「ユカ父さん! ルラっ!!」


  

 私はユカ父さんとルラの方へ駆けてゆく。


「大丈夫!? ユカ父さん傷は!!」


「すみません、不覚を取りました。傷は大丈夫です、すでに止血はしました」


 そう言ってルラに支えられながら近くの花壇の淵に腰を下ろす。


 

「ユカ、あなたほどの人間が一体……」


「油断しました、彼女がまさかあれほどのマジックアイテムを隠し持っていたとは……」


 ソルミナ教授が癒しの精霊魔法を使ってユカ父さんの手当てを始める。

 この魔法は【回復魔法】とは違って外部から魔力を込めて回復をさせるから、当人の負担は低い。


 

「お姉ちゃん……」



 ユカ父さんの傷口が徐々に治って行くのを見て一安心をする。

 そんな私にルラはが声を掛けて来た。



「そうだルラ! アリーリヤさんは? やっぱりアリーリヤさんが犯人だったの!?」


「お姉ちゃん…… アリーリヤさんは、アリーリヤさんはジュメルだったんだよ……」



「!?」



 ルラのその言葉に私は想定外に驚かされる。

 アリーリヤさんがジュメル?

 あの面倒な連中と関わっていた??



「ルラの言う事は事実です。彼女はジュメルでした。まさかここまで容易にジュメルの手先をこの学園に入れてしまっていたとは……」


「学園長、そうすると連結魔晶石核はジュメルの手に渡ったと言う事ですの?」


 私がショックでしばしフリーズしていると、ユカ父さんはルラの言葉を肯定してアニシス様はその事実を確認する。


「いえ、幸いにこれ一つだけは取り戻す事が出来ました。しかしもう一つは持ち去られてしまった……」


 そう言ってユカ父さんはマントの中からあの連結型魔晶石核を一つ引っ張り出す。

 それをアニシス様に手渡してから言う。


「目的は分かりません、しかし転移の魔晶石で逃げられてしまいました」


「それでも、一つだけでも取り戻せたのは不幸中の幸いですわ……」


 アニシス様はそう言ってその連結型魔晶石核を大事そうに抱きしめる。

 しかし問題はアリーリヤさんの方だ。

 彼女がジュメルだなんて!!



「これではっきりしましたわ、あの魔物もこの騒動も全てジュメルが絡んでいますわ!」


「なっ!?」



   

 私が動揺する中、アニシス様はそうハッキリと言い放つのだった。



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


<業務連絡>

*申し訳ございませんが、海外出張が確定となりました。

2023年9月15日から24日まで上海に行く事となってしまいました。

こちらなろう様は中国からのアクセスが出来ませんので、その間更新はお休みさせていただきます。

不便な国ですよね~中国って……

こんな物語を読んでいただいている読者様には申し訳ございませんが、どうぞご理解の上よろしくお願い致します。

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