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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十四章:脈動
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14-25屋根裏部屋

故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。

しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?

さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?

そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


 私たちは急いで研究室棟に来ていた。



「外出禁止でも当事者だから現場検証の為こちらに来れたのは僥倖ね」


「そうですわね、警備の人たちもすんなり通してくれて助かりますわ」


「ちょとめんどくさいけどね」


 何度か警備の人たちに止められたけど、当事者であることを伝えソルミナ教授が同伴していたのですんなりと通してもらえた。

 アニシス様やヤリスはソルミナ教授のその言葉に頷きながら後ろについて行く。

 そして私たちは程無く研究室棟に到着した。



「エリリアは屋根裏部屋にいるはずだから最上階に向かうわよ!」


 ソルミナ教授のその言葉に私たちは全員階段を上る。

 そして最上階へと着くと、そこは資料室がほとんどの階だった。



「ここからさらに上へは確か……」


 ソルミナ教授はそう言いながら廊下の一番奥まで行く。

 そして壁まで来たら上を見る。


「確かここよね、屋根の補修等で使う点検口」


 ソルミナ教授が見上げているので同じく天上を見ると細長い四角い入り口があった。

 天井裏へと行く点検口。

 ソルミナ教授は近くの点検口の蓋を開く為の専用の棒を取って来る。


 そして点検口の引っ掛け口にその棒の先端をひっかけて開こうとするが……


「開かない? あれ、これって鍵なんかないはずよね??」


 そう言いながらもう一度強く引っ張ってみるもびくともしない。


「錆びついているって感じでもなさそうだし、手伝いましょうか?」


「そうね、引っ張るの手伝ってもらえるかしら」


 棒を引っ張るソルミナ教授にそう言って私もその棒に手をかける。

 そしてソルミナ教授と一緒に引っ張ってみるも、全然動きはしなかった。


「お姉ちゃん、あたしが『最強』使って引っ張ってみようか?」


「うーん、ルラがやると全部壊しそうだわね……」



「いや、全くそのとうりだから止めてもらえるかな?」



 ルラの提案にちょっと考えながら答えるとその声は聞こえて来た。

 そして点検口が勝手に開いて来て床に着き、階段になった。



「まったく、人の部屋に入るのにノックくらいしたらどうだい?」


「エリリア! やっぱりこんな所にいたのね!!」


 階段を下りてきたのは私たちより少し年齢が低そうな感じの大きな眼鏡をした少女だった。

 そう、知識の女神オクマスト様の分身で知恵の塔の番人でもあるエリリアさんその人だ。


「しかしよくここが分かったね? 僕の能力で認識阻害させていたんだけどね」


「そんな事より! エリリア、犯人誰だか知ってるでしょ!?」


 あきれた表情でそう言っているエリリアさんにソルミナ教授はいきなり核心を突く。

 それを聞いたエリリアさんは軽くため息を吐いてから言う。



「残念だけど、それは僕にも分からない。何せあの時部屋が勝手に開いて勝手にあの箱が開けられ、新型の連結型魔晶石が出されたと思ったらその場で消えた。多分透明になる魔法か何かを使われたんだろうね。いくら僕の千里眼の水晶でも見えない相手を捕らえる事は出来ない。さっきユカにもそう言ったんだけどなぁ」


「学園長に?」


「え、ユカ父さんに??」


「ほえ~」



 エリリアさんにそう言われ、ソルミナ教授も私もちょっと驚く。

 ルラも呆けた顔しているけど分かっているのだろうか?


 既にユカ父さんはこの話を知っていると言う事だ。

 じゃあ何故すぐにそれを教えてくれないのだろう??



「もっとも、この学園内で生徒が魔法を使うのは『戒めの腕輪』があるからマジックアイテムか何かを使ったのだろうけどね。ユカもそれをもとにその人物の所へ向かったよ」


「ちょっと待って、じゃあ犯人は誰だか分かったの!?」


 エリリアさんのその言葉にソルミナ教授は驚き、そしてエリリアさんの肩に手を置いてガクガクと揺さぶりながら聞く。



「お、落ちつきたまえ! そんなに揺らされては話も出来ないよ」


「あ、ごめん、それで誰なの!?」


 揺らされて眼鏡のずれを直しながらエリリアさんは言う。


「まず、講義が終わってからすぐ動いていた者は全部で教員含め三十名。そのうち職員室へ向かっていた者が七名。校舎から出て行ったのが六名。となると校舎内に残ったのは学生だけだった。残り十七名が対象になるけど、その時間姿が見えていたのは十五名。そして僕の千里眼の水晶で追えなかったのは二名だ」


 エリリアさんは指を折りながら二本だけ残してそう言う。


 

「つまり、残りの二人が怪しいって事だよ。ユカは早速そこへ行ったよ」


「二人ね…… 外部からの可能性は?」


 ソルミナ教授は外部の可能性について聞く。 

 するとエリリアさんは首を振って言う。



「この学園の結界は知っているだろう? 過去に襲撃を受けたためにその後にエルハイミたちの協力のもと強力な結界を張っている。もし無理矢理に出入り口以外から入ろうとしてもそうそうは入れるものじゃない。それに……」



 エリリアさんは私たちを見まわしてから言う。


「この研究が完成したのを知っているのは関係者とごく一部の者、出来上がってすぐに行動をとれるだなんて君たちの身近な人物が一番怪しくなるよね?」


 そう言うエリリアさんに私たちは一瞬息が止まる。

 そうだ、この研究自体極秘にしている。

 私たちだってそうそう外でべらべら完成したなんて話は……



「アリーリヤさん……」



 ルラがぽつりとつぶやいた。

 そしてそれを聞いたエリリアさんは静かに首を縦に振る。


「その名前は先ほどの二人のうちの一人だよ。もう一人はホリゾンのハイリスだね。もっとも、ハイリスはミラーナに聞けばすぐに何していたか分かるだろう」


 私は思わず血の気が引ける。

 


「なんでアリーリヤさんが……」





 私のそのつぶやきに答えられる者はいなかったのだった。



面白かったらブックマークや評価、ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

誤字脱字等ございましたらご指摘いただけますようお願い致します。


<業務連絡>

*申し訳ございませんが、海外出張が確定となりました。

2023年9月15日から24日まで上海に行く事となってしまいました。

こちらなろう様は中国からのアクセスが出来ませんので、その間更新はお休みさせていただきます。

不便な国ですよね~中国って……

こんな物語を読んでいただいている読者様には申し訳ございませんが、どうぞご理解の上よろしくお願い致します。

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