14-15試作
故郷のエルフの村へとやっと帰って来たリルとルラ。
しかしその特有のチートスキルが危険視されてエルフの村の長老から修行してくることを言い渡される?
さあ、魔法学園ボヘーミャに留学する事になっちゃったけどこの後どうなるか?
そんなエルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。
新型の連結型魔晶石核についての構想は理解した。
そうなって来ると次はいよいよ試作品の作成になる。
「取りあえず試作は各一個ずつの魔晶石核を使いますわ」
アニシス様はそう言って原石となる魔晶石をあの羊皮紙に書かれた魔法陣の真ん中に置く。
そして各精霊の入った魔晶石核を準備する。
この羊皮紙に書かれている多重魔法陣はティナの国の秘伝の技術らしい。
ソルミナ教授も唸るほどに複雑化されたそれは私たちのようなレベルの者には何が書かれているかさえ分からないレベルだ。
「始めますわ」
アニシス様はそう言って呪文を唱える。
途端に羊皮紙に書かれた魔法陣が輝き出し、一つ、二つとその魔法陣が輝き出す。
多重に書かれた魔法陣らしいので一つ一つ起動しているのだろう、それ等が全部輝き出した頃には膨大な魔力が感じられるうねりがそこにあった。
きゅうぅぅ~
「凄いわね! 空間に空間を作り、そしてそれを大もとの魔晶石に部屋を作りそこへ閉じ込めるのね!」
ソルミナ教授は目の前で起こっている事に興奮気味でそう言う。
「その通りですわ! 既にこの魔晶石には四つの空間と部屋を作りましたわ。さあ、魔晶石核たちよ、自分の部屋へと行くのですわ!!」
アニシス様はそう言って最後に力ある言葉を唱える。
すると近くに並べられていた各精霊の魔晶石核は吸い込まれるように原石の魔晶石に吸い込まれてゆく。
しゅ~……
すぽん!
すぽぽぽんっ!!
そして程無くその光は消えて行き、アニシス様の手元には楕円の表面が艶やかではあるものの
鼓動のように時折血管のような各精霊たちの色をしたものが浮いたり消えたりしていた。
「成功した……の?」
ヤリスがおずおずとそう聞いてみる。
するとアニシスさんは額の汗をぬぐいながら言う。
「うまく行きましたわ。この大もととなる魔晶石に四つの異空間の部屋を作り、そこへ各魔晶石を封じ込める事が出来ましたわ」
そう言って近くにある椅子によろよろと座る。
慌ててスィーフの皆さんがアニシス様に近づきアニシス様をねぎらう。
「アニシス様、大丈夫かい?」
「アニシス様、無理なさらないで」
「何か飲む? アニシス様??」
「おつかれさまです……」
私たちはそんなアニシス様を見てから新型の連結型魔晶石核を見る。
それは鼓動するかのように様々な色の血管のような模様を浮かび上がらせては消していた。
「凄いわね…… 各精霊は同じ魔晶石に閉じ込められたというのに安定しているわ。ただ、この感じお互いにかなり警戒した感じね……」
ソルミナ教授は新たに出来た連結型魔晶石核を見ながらそう言う。
「精霊が安定して警戒してるんですか?」
「目に魔力を宿してみなさい。脅威となる精霊に対して警戒しているのが分かるわよ?」
ソルミナ教授にそう言われ、精霊を見る時みたいに魔力を瞳に回す。
すると、あの血管のように点滅している光が精霊の動きで、どれもこれも動いている速度は同じでもある一定の精霊に対してはもの凄くその距離をしっかりと保っている。
何と言うか、その様子はソルミナ教授の言う通り警戒していると言ってもいいかもしれない。
「へぇ~、魔晶石の中をぐるぐる回っているけど、なんか鬼ごっこみたい~」
ルラも流石に精霊を見れる位にはなっていて、その様子が分かるようだ。
魔術の勉強はまだまだ苦手だけど、流石にエルフなので精霊の方は感覚的にその操作が上手くなっている。
だから基本となる精霊を見る事はルラもだいぶうまくなっていた。
「はぁ~流石に疲れますわね。ヤリス、魔力供給してもらえますかしら?」
「え? ああ、いいけど……」
ヤリスはアニシス様にそう言われ、ぴょこんと左右のこめかみの上に三つずつトゲのような癖っ気を生やし、体をうっすらと輝かせ、瞳を金色に変える。
これが本来の覚醒したヤリスの姿。
いつもは普通の姿に力をさえているけど、本来はこの姿が本当なんだよね。
「それじゃぁ、アニシス様魔力入れるね。 力を抜いて、開いて」
言いながらヤリスはアニシス様の胸の前に手を持ってくる。
あ、胸には触れていないわよ?
念のために言っておくけど。
「いいですわ、来てくださいですわ…… んっ!」
「ぅうぅん、相変わらずアニシス様の中きつい~、無理矢理入っているけど大丈夫? 痛くない??」
「だ、大丈夫ですわ、もっと奥に…… 良いですわよ……」
いや、だから言い方ぁっ!!
なんで毎回魔力供給する時に変な言い回しするかな!?
なにも見ないで聞いてたら変な事想像しちゃうじゃない!!
「なんかさ、やっぱり魔力供給すると気持ちよさそうだよね~。あたしもお姉ちゃんとしたいかなぁ~」
「ル、ルラぁっ! な、なんて事言い出すの///////」
いや、確かに魔力供給は気持ちいのだけど、その、そう言う気持ち良さじゃなくて……
「何魔力供給なんかで顔赤くしてるのよ? まさかリル変な事考えていない?」
「か、考えていません!!!!」
ソルミナ教授のその突っ込みに私は思わず叫ぶように答えるのだった。
* * *
「ふぅ~、効きましたわぁ~。やはりヤリスの魔力はねっとりと熱く、どっぷりと奥深くに放たれるのがとても気持ちいいですわねぇ~」
「はぁ~、あたしもアニシス様の中に出すのスッキリする~」
「いや、だから言い方ぁっ!!」
魔力供給が終わって二人ともすっきりした顔になる。
何故かお肌てかてかにもなっているのでまるで事後のようだ。
「はいはい、お疲れ様。で、アニシスこれからどうするの?」
「そうですわね、魔力も回復しましたし、起動テストに移りましょうですわ」
アニシス様はそう言って新型の連結型魔晶石核を手に取るのだった。
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