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腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~  作者: さいとう みさき
第十章:港町へ
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10-10大繁盛!?

エルフのマズ飯は鉄板!

ひょんなことからそんなエルフに転生した二人はひょんなことから知らない場所へと転移で飛ばされます。

そして美味しいものを探しながら故郷のエルフの村へと旅を始めるのですが……

エルフの双子姉妹、リルとルラの物語です。


こねこねこね……

う~ん、こねるのはいいけどあたし上手く細切りできないんだよなぁ~(ルラ談)


「へいらっしゃいっ!」



 あれから四日が経った。

 

ハッドさんのお店は名前を変えて「リンガー&ハッド」のお店として目玉商品である「ちゃんぽん」を筆頭に、「皿うどん」などの変わった料理を提供する店として人気が出てきた。



「兄貴、小麦粉がやばい! 何とかならんか?」


「荷馬車を準備してガリーの村に行く準備をしている。一週間くらいで戻って来れるからそれまで何とかならんか?」



 お店の手伝いを何故かしている私はそんな話を聞いて大きくため息をつく。


 食材である野菜やお肉、塩漬けの魚なんかは何とかなっているけど肝心な小麦粉が足らなくなってくる。

 勿論このイーオンの町には穀物を取り扱うお店もあるけど、流石にハッドさんのお店にだけ小麦粉を卸すわけにはいかない。

 パン屋さんだって小麦粉は必要だもんね。



「ハッドさん、今の調子で行けばどのくらい持つんですか、小麦粉って?」


「そうだな、後四日か五日くらいだな。兄貴に頑張ってもらって小麦の調達をしてもらっても二、三日分が足らなくなっちまう」


 お店の中を見ると噂を聞きつけて来たお客さんがたくさんいる。

 たったの四日程度でここまでお客さんが増えるとは。

 でも今お客さんに「ちゃんぽん」を知ってもらって再来してもらえるようにしないといけない。



「ハッドさん、最悪提供数を限定して販売するとかもしくは時間限定で提供するってできませんか?」


「うーん、しかし出来ればそれはしたくないんだ。うちの店のスタンスとしては安くて美味くて腹にたまるがもっとうだからな。この町で働く者たちの胃袋を支えたいんだ」



 言う事は理解できるけど、現実はそうもいかない。

 確かに頑張ってちゃんぽんを一杯銅貨八枚という価格で出すのは相当安いと思う。


 

「だとすると仕方ないですね…… 今回だけですよ?」


 私はそう言って魔法のポーチから小麦粉の袋を取り出す。

 買える時に買っておいたので、結構な量がある。


 

 どん!



「これは小麦粉じゃないか!? しかもイザンカ王国産だと!?」



 前にレッドゲイルでエルフの村ではなかなか手に入らなかった上質の小麦粉を大量に買っておいた。


 なにせエルフの村にある小麦粉は質が悪い。


 それを水で溶いてお湯で茹でただけのものを食べさせられると言うのは拷問に近いものが有った。

 せめてもう少し味付けしてぇっ! と何度エルフのお母さんに懇願した事か。

 しかしそれが普通だと思っているエルフの村の人々はせいぜい塩を振って食べるくらいの事しかしなかった。


 生前のすいとんだってもっといろいろ入っていたと言うのに……



「取りあえずこれを売ってあげますから、これで対処できますよね?」


「ああ、イザンカ産なんて上質な小麦粉なんてなかなかここいらじゃ手に入らない。助かるよ」


 私はもう一度溜息をついて苦笑する。

 ハッドさんのこの町でみんなに美味しい物を食べてもらいたいと言う気持ちを応援するためには仕方ない。



「とにかく助かった。ハッド、俺はこの後ガリーの村に向かう。たくさん小麦粉を買い付けて来るからな!」


「ああ、兄貴頼むぜ! さあ、お客を待たせている。やるぞ!!」



 そう言ってハッドさんはまたちゃんぽんを作り始めるのだった。



 ◇ ◇ ◇



「さてと、『リンガー&ハッド』のお店はもう大丈夫みたいだし、何度か孤児院にもご飯作りに行ったし、そろそろ私たちも出発しましょうか」


「そうだね、もうじきリンガーさんも戻てくるから材料も大丈夫だろうし、もうあたしたちがいなくてもお店は大丈夫みたいだもんね~」


 あれからまた数日。

 リンガーさんは荷馬車を購入してガリーの村に小麦粉の買い付けに行っている。


 ガリーの村は魔鉱石以外にもあのドーナッツを作る為に土地改良をしていてこのイージム大陸という土地柄にもかかわらず小麦の生産が盛んだった。

 

 まあ、それはあのドーナッツを作る為らしいのだけど、どれだけドーナッツ愛が凄いのよ……


 で、「リンガー&ハッド」のお店もその価格と味、そしてハッドさんのお腹いっぱいになってもらいたいという考えから連日お客でにぎわっていた。

 そんな様子を間近で見ていた私たちだけど、そろそろアスラックの港町に行かなければならない。

 冒険者ギルドの支部で先に伝言サービスを飛ばしている。

 だからファイナス長老や村にみんなにも私たちがちゃんとサージム大陸に向かっている事は伝わっていると思う。



「じゃぁ行こうかルラ」


「うん、お姉ちゃん!」


 


 私とルラはまた旅路姿でさらに南にある港町、アスラックを目指すのだった。

 


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