11:初めてのギルド
第11話です。
王様の下へはディア様をはじめ、ロデオ様、クルス様が向かいます。
私は、レド様とメアリ様と一緒にお留守番です。
「さて、あたしらどうしようねえ」
「とりあえず、ギルドに顔出すか?」
お二人はギルドへ行くみたいです。この城下町にもギルドがあるのですね。
「リズちゃんもギルドに行く?」
「いいのですか?」
「まぁ、あそこなら食べる処もあるし……一緒に連れてくか」
ギルドという所に興味がありましたので、連れて行っていただけるのは嬉しいです。
きっと、メアリ様やレド様のような凄い方々が大勢いらっしゃるのでしょうね。
メアリ様が手を差し伸べてくださりましたので、手を繋いで歩きます。
「ついでにリズちゃんもギルドに登録しちゃう?」
「まだ早いんじゃないか?リズ、お前何歳なんだ?」
「私ですか?十歳になったばかりですけど」
「あら、あと三年足りないねぇ……」
この国では、十三歳からギルドへの登録が可能になるそうです。
これに関しては、ほとんどの国で年齢は統一されているそうですので、特例などは無いそうです。
「ほらリズちゃん、ここがコルン城下町のギルドだよ」
「わー、大きい建物ですね!」
沢山の冒険者様が集まることもあって、ギルド内部は大きな集会所のようになっていました。
お食事をしたり、治療をしたり、武器を鍛えたりといったいろいろな施設が入っています。
「お、歩合のいい依頼は出てるかな?」
メアリ様が掲示物が沢山ある場所で止まりました。
ここに依頼が出ている他、受付の方でも簡単な依頼を受けたりできるそうです。
「何これ、“リオン盗賊団”?城下町で盗難被害が発生中だって」
「ああ、そういえばここら一帯にはそんな奴らも居たっけかな」
「あいつら数だけは多いからね。こういうのはそれこそ騎士団様にお任せだわ」
メアリ様とレド様に連れられ、お食事ができる施設に入りました。
「よおメアリ、お前ガキが居たのか?」
「残念、この子は可愛いけど私の子じゃありませーん」
「こんにちは。リズと言います」
この方も冒険者様なのでしょうか?魔道士様にも傭兵様にも見えませんけど。
「これは丁寧にどうも。俺はリトル、狩人をやって生計を立てている者だ」
狩人というのは、弓を使って動物を狩る職業だそうです。
たまに魔物を狩ったりすることもあるそうですが、基本的にはギルドで請け負った動物を狩り、お肉を依頼のあったお店へお届けするのだそうです。
「これが、俺の武器の弓だ。ここの弦に矢を合わせ、三本の指で引いて飛ばすんだ。
嬢ちゃん見るのは初めてかい?」
「はい、剣や斧以外にもこのような武器があるのですね!これなら私にもできるでしょうか?」
「んー、でも意外と力要るんだぞ?嬢ちゃんにはまだ無理じゃないかな」
リトル様に弓を貸していただいて引いてみます。私が引くと、リトル様の時と違ってうまく引っ張れないみたいです。
「意外と難しいだろ?」
「そうですね。でも、いつか私も使えるようになりたいです」
たぶん、私には剣や斧は向いていないと思います。
弓でしたら、がんばって練習すれば何とかなりそうです。
「リトルがそんなに子供の相手になってあげるなんて珍しいね」
「あー、リズちゃんだっけ?妙に子供らしくないというか、大人びてないか?」
「女の子はそういうもんなんだよ」
メアリ様とリトル様は楽しそうに話しています。
レド様は、そんなお二人の様子を見ながらお酒を飲んでます。お父さんもよく飲んでいましたけど、男の人はお酒が好きなのでしょうか?
「さて、あたしも飲もうかね!リズちゃんはお子様だから駄目よ?」
そうでもないみたいです。メアリ様はお酒が大好きだそうで、レド様よりも豪快に飲んでらっしゃいます。リトル様はあまりお酒は飲まないそうです。なんでも飲むと気持ち悪くなってしまうのだとか。
「ああいう大人になってはいけないよ、リズちゃん」
「え?メアリ様は素敵ですよ?」
「リズちゃんよくわかってるじゃない。お姉さんと結婚しようか?」
結婚ってお父さんとお母さんになるということですよね。私とメアリ様だとお母さんとお母さんになってしまいますよ?
「それにしても、こんなチビっ子があれだけの魔法を使えるなんて大したもんだ。あれ、何て言ったっけ?エクソシスト?」
「エプリクスのことですか?実は私もよくわからないんですけど、盟約というものによって、この指輪から私を助けに出て来てくれるみたいなんです」
「何それ何それ?あら、綺麗な指輪じゃない?」
そういえばメアリ様は知らないんでしたね。
「リズが使役する精霊魔法ってやつらしい。大きな炎を纏ったトカゲが出現するんだ」
「精霊……魔法ですって!? リズちゃんただのヒーラーじゃ無かったの!?」
メアリ様が驚いてます。精霊魔法?というのは珍しいものなのでしょうか?
◆◇◆◇
その後、リトル様は狩りの仕事があると出て行かれました。
メアリ様はお酒を飲み過ぎたせいか気持ち悪くなってしまったようで、レド様が付き添いに出ています。
私は一人で蜂蜜入りのミルクを飲んで待っていました。
「君一人かい?」
知らない男性が私に声を掛けてきました。メアリ様達のお知り合いの方でしょうか?
「メアリ様とレド様を待っているんです」
「あ、そうなんだ。その二人なら先に宿に行ってるって、伝言預かってるんだよ」
「そうなんですか?」
お二人とも酷いです!ずっと待っていたのに宿屋に行ってらっしゃるなんて!
それにしても宿屋ってどこの宿屋なんでしょう?
ロデオ様には時間が来たら馬車に戻ってるように言われてたような気がするんですけど……
「おいで、案内してあげよう」
「ありがとうございます。お願いします」
その男性に手を引かれ、私はギルドを後にしました。
お読みいただきましてありがとうございます。がんばります。




