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第10話 TS(トランスセクシャル)

帰路、一息ついているとそれは突然襲って来た。

動悸が激しくなり、頭がくらくらする。

・・・・体が軋む。

・・・・熱い。

馬車の中にはラインハルトと二人だけだ。

あまりの苦しさにラインハルトを見るが・・・。

ラインハルトは、やけに落ち着いて俺を見守ってくれている。

「始まりましたね。」

と、予想通りだったかの様に優しく話した。

ラインハルトは、医者ではないしどうしようもないのかもしれないが・・・、くそ、苦しい。体が焼ける様だ。

何だか下腹部が捥ぎ取られる様に痛む。

「 痛い 」

苦し過ぎて声が漏れる。

イタイ、イタイ、イタイ、イタイ。

こ、股間に激痛が走る。不安になって股間にそっと手を伸ばす。

「 ・・・・! 」

お,俺、いや”私”の考えが相当甘かったことを思い知らされた。

”朝起きたら女の子になっていた”なんて話ではない。

イタイ、イタイ、イタイ、イタイ。

この世界に召喚された時も苦しかったが、どうしてこうも痛い目に遭わされるのか? 理不尽過ぎる。

いや、正直に言うと覚悟はしていた。

マックスに口付けする時には覚悟していた・・・のよ。

だって、ラインハルトやオズワルド、クローディア王女も簡単に言うのだもの。

朦朧としていると、突然、体から汗が噴き出した。

それは、TSの終了を示唆するに充分なのものであった。

「終わりましたね。」

と、またもやラインハルトが優しく微笑み、「良く頑張りましたね」と汗を拭ってくれる。

そう、ラインハルトは経験者なのだ。

だから、こんなに落ち着いていられるのね。

「うう、気持ち悪い・・・。」

すると、ラインハルトは私を優しく抱きしめ、頭を撫でてくれる。

汗みどろで恥ずかしいけれど、今はラインハルトに身をゆだねてしまおう。

私は、ラインハルトの腕の中で意識を手放した。



□□□□sideジーク


私は、シン様一行が帰還するとの先触れを受け、出迎えに向かっている。

驚いたことに、シン様達はあの”死の軍団”を殲滅したとのことであった。

そう、期待していなかった訳ではない。

シン様の身を案じながらもどこか打算的な考えを持っていた。

天子の力なら・・・・と。

「我ながら偽善者だな・・・。」

自虐的に独り言をこぼしていると、ツカツカト近づいて来る者がいる。


「兄上!」


くそ、こんな時にミハエル(第2王子)か! 

おおよそ何処かから漏れ伝わったのだろう。

シン様に憧れるだけなら勿論構わない。

だが、奴はそれ以上に”天子”に対して何か良からぬ心を抱いている。


「兄上、お待ちください。天子様が不死者どもを打ち滅ぼしたと言うのは本当ですか?」

「・・・事実だ。」

「まさか! 信じられない。」

「・・・。」

「いったい、どうやって?」

「知らん! 詳しくは報告を待て。」

この不埒者め、己の見識でしか考えられないのか?

自分の事を棚に上げていることに気付き、さらに苛立ちがつのる。

早くシン様の無事な姿を見たい。


「ジークフリード殿下お待ちを!」

今度は誰だ?

急いでいると言うのに・・・、振り返ると聖女エアリスが凄い形相でこちらに駆けて来ていた。

「シン様のお出迎えですね? お供させてください。」

「どうぞ、お好きになさってください。」

さすがは聖女様だ。良く分かっている。邪険に扱わなくて良かった。

しかし、最近の聖女様はシン様とやたら距離が近い。

シン様がそう簡単に篭絡されるとは思わないが、用心するに越したことはないな・・・。


◇◇◇


王宮門まで来ると、既に一行は到着しており、護衛騎士3人が馬車の前で控えていた。

3人とも装備が酷く傷ついており、激しい戦闘があったことを証明していた。

そして、彼等の表情は晴れやかであり、馬車の中にいるだろう彼等のあるじの登場を待ち望む姿は、戦勝を物語っていた。

特にマクシミリアは誇らしげで、右半身の装備がボロボロなのに、むき出しになった右腕がうっすらと光をまとっている。


しばらくすると、おもむろに馬車のドアが開きラインハルトが美しい女性を抱きかかえて降りて来た。

その美女は、儚げではあるがその眼光はしっかりとしており、両腕をラインハルトの首に回している。


「シン・・・様? なのか?」

茫然と見惚れていると、一早くエアリスが駆け寄る。

「シン様! 良くぞ御無事で! しかも、さらに、さらにお美しくなられて!」

エアリスは、聖女とは思えないほどはしゃいでいる。

「キャー、可愛いー、可愛い過ぎですー。」

もう、子犬の様にシン様の前で飛び跳ねている。


「心配かけましたねエアリス様。なんとかなりましたよ。」

「さすがはシン様です!」

「うふふっ。」


美女二人の会話は見ていて微笑ましい。

二人のだけの世界をあっと言う間に構築してしまう。


が、ラインハルトが軽く咳払いし、エアリス様を牽制し、侍従のオスカーとアンナローゼに湯浴みと軽食の用意を指示する。

私は、何か声を掛けなければと思いながらも、声を発する事が出来ない。

そして、茫然としている私を素通りし、ラインハルトは足早に王宮へ進む。


「お、おい、ラインハルト・・・。」

「あ、これはジークフリード殿下、失礼いたしました。ですが何分急いでいますので、報告は後程・・・。」


”はぁ!”と心の中で思ったが、事情は察するに余りある。

仕方が無いので、私はラインハルトと護衛三騎士の後を追うことにした。


傍らを見ると、ミハエルがシン様に見惚れて茫然としていた。

(私もあんな間抜け面だったのだろうな。)

確かにそうではある。

シン様が男性であっても、それは不変の美と言っても良いものだと思う。

しかし、今のお姿は反則だ。

一回り小さくなられて、より愛らしく。また女性らしく丸みを帯びたフォルムはなんとも愛おしい。

ダボダボの服が余計に可愛さを増幅しており、美しさに可愛らしさが加わっているのだ。


どこかに閉じ込めておくことは出来ないだろうか・・・いや、いや、彼女とともに歩む方策を考えるのだ。

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