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第十三公主ベアトリーチェの奇跡~魔女の嫁入り転生譚外伝~  作者: 坂崎文明


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第五話 公主将軍誕生と嫁入り話

「剣聖様は今日も毒にやられて療養中ですか?」


 エメラルドグリーンの双眸(そうぼう)と髪を持つ、天才軍師ルイ・パルスは、自分の幼馴染でもある剣聖レイ・ダリウスの体調を案じて訊いた。

 そこは「カナール渓谷の奇跡の戦い」により、公主将軍に祀り上げてられてしまった、ベアトリーチェの将軍府の屋敷だった。

 敷地はかなり広大であり、強固な要塞のような造りになっていて、<ピンクの百合の花の紋章>の公主将軍の旗が風ではためいていた。


「そうね。毒見(どくみ)役に任せればいいのに、私の好物をばかりつまみ食いするから、毒にやられてしまうのよ。毒見(どくみ)役はレン・ロン同様に、毒に強い体質になってるので、剣聖殿にもレン・ロンにその辺りを指南してもらうかな」


 ベアトリーチェも流石に、剣聖が自分のために毒に当たってる事に気が(とが)めるのか、何とかしないといけないと思ってるようだ。

 <北狼国>の重騎兵五十万騎と北部騎馬連合の十万騎の騎馬軍の壊滅、残り四十万騎の全軍の撤退は、東の大海に面する<東海国>の水軍や西の強国<西馬国>の騎馬軍との戦況にも影響し、ひとまず、今回の同時侵攻は<央国(オウコク)>の全面勝利という形となった。

 大将軍ログハンは瀕死だったというが、左足を失いつつも、奇跡的に<北狼国>に帰還したいう。

 その戦いから既に半年が過ぎていたが、当分は北方からの軍事侵攻は無いと思われた。


「剣聖様も公主殿下が心配なんですよ。予想してたとはいえ、こう、暗殺者が多いと、そろそろ、抜本的な策を考えないといけませんね。……というか、この前、ワ皇帝陛下に『カナール渓谷の戦い』の真相をご報告した際に、『ベアトリーチェもそろそろ年頃なので、南の辺境国の南風(ナンフウ)国に嫁に行きたいか』訊いてくれと言われました」


 天才軍師は非常に重大な話をさらりと真顔で口にした。

 ちょっと心配そうな表情でベアトリーチェの様子を(うかが)う。


「……南風(ナンフウ)国と言えば、あの<魔帝>が君臨するという南風国ね。古代ムーア王国の聖地とか地下迷宮があるという場所よね。面白いじゃない!」


 ベアトリーチェはむしろ、好反応であった。


「公主殿下、別に断ってもいいのですよ。それゆえ、皇帝陛下も私から内々に訊いてくれという話なので。まだ、聖旨(せいし)が下った訳ではないですし」


 皇帝の聖旨(せいし)が下れば、それには強制力が伴い、拒否する事は最悪、命が亡くなることを意味する。


「それで、一体、どの皇子が候補なのかな? 皇太子は既に南の大国<南州国>の姫君と婚姻してるし、第二、第三皇子が私を(めと)る可能性は低いでしょう? 確か、第七皇子ぐらいまでいたと思ったけど」


 公主将軍にまでなってしまった厄介者である、ベアトリーチェを(めと)ってくれるだけでも有難い話ではある。


「それが、パミール・フェノン殿の妹君が第四皇子に嫁いでいて、公主殿下の数々のエピソードを好意的に披露したらしく、第三皇子の李浩然(リ・ハオレン)殿が大変、お気に()して、是非、正妃(正妻)として迎えたいそうです」


 まあ、世の中には物好きもいるものだと天才軍師は内心、思っていた。

 公主軍副官のパミールの実家の名門フェノン家は南風(ナンフウ)国の更に南の草原の自治領の騎馬氏族の出身であり、ここは央国(オウコク)の飛び地領地でもあるのだ。


「お、パミール、でかした! 皇太子はあれだし、第三皇子ぐらいなら自由が効きそうで、良いポジションじゃん! 南国は気候もいいし、果物も美味しそうだし、古代ムーア王国の遺跡巡りとか暇つぶしにもってこいじゃん」


 公主殿下は婚姻を南国旅行の交通手形と思ってる節がある。

 この<慶安(ケイアン)>と呼ばれる世界には、古来から伝わる七不思議があり、実在は定かではないが、<央国(オウコク)>の星船と<南風(ナンフウ)国>の古代ムーア王国の地下迷宮は双璧だと言われている。

 が、その二国は古来からの同盟国であり、剣聖や魔導騎士などを輩出していた。

 ここに急遽(きゅうきょ)、公主殿下の南風(ナンフウ)国への嫁入りが決まりつつあったのだが、彼女の人生最大の危機が迫りつつもあった。

 が、ひとまず、この物語はここで終わる。

 それはまた、別の話になる。

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