別れ ~決戦前~
次回、”決戦”で終わると思います。
もう少しお付き合いをお願いします。
~クリスティン家 門前~
武装したカサンドラがこっそり門から出てくる。
武装と言っても、前世での普段着に皮あてと背中の日本刀だけだ。
カサンドラは、クリスティン邸に一礼し、立ち去ろうとしている。
「待て! キャシー!」
どこからともなく現れたアレンがカサンドラを呼び止めた。
振り返るカサンドラ。
「あらアレン。久しぶりね。」
苦渋の表情が浮かぶアレン。
「行くな! キャシー!」
「・・・・。」
悲しそうに表情を崩すカサンドラ。
アレンは、一際低い声で脅す様に言う。
「死ぬぞ。」
「・・・そうね。」
目をつむり呟くように答えた。
「勇者はもういない。
聖女は目覚めない。
聖騎士候補はバラバラで、奥の手の魔道具も使え無い。
もう戦うな!」
アレンは、必死に説得を試みた。
「それでも、私にはこの日本刀があるわ。」
日本刀を見せるカサンドラ。
「そんな物・・・。」
アレンは魔力を軽く放つ。
”パキーン”
破壊音が響く。 日本刀が折られたのだ。
悲しそうにカサンドラは呟く。
「駄目じゃない、物を粗末にしたら。
これ、私の大切な人から貰った物だったのに・・・。」
※アレンがカサンドラの誕生日にプレゼントした物
「くっ!」
「・・・私ね。
言うつもりは無かったのだけれど。
アレン、貴方のこと・・・好きよ。
・・・、他の誰よりも。」
カサンドラの思わぬ言葉に驚くアレン。
「な! だったらなぜ?」
歩み寄ろうとするアレン。
首を振りそれを拒否するカサンドラ。
「お父様とお母様をお願いね。」
カサンドラはきびすを帰し、歩み始めた。
もう振り返ることもない。
アレンは、追いすがる様に手を伸ばしたが、やがて諦めたかのように手を降ろした。
どんな妨害も、どんな説得もカサンドラには通じなかった。
その上、自分の事を好きだと言う。
それだけに彼女の決心の強さを知った。
そして、しばらくカサンドラを見送った後、忽然と姿を消した。
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カサンドラを待つメキド神官
「魔王とお会いしたのですか?」
「ええ、その様ね。」
「クリスティン領、辺境の地に禍々しい魔力が集結しています。
・・・おそらく魔王軍かと。」
「王立軍の動きは?」
「王家、軍部が編成を急いでいますが、まだ常駐軍と近衛のみで、後数日は必要でしょう。」
「そう。・・・厳しいのね。」
「それで、どうされるのですか?」
「私は、私の役目を果たすだけよ。」
ニコリと笑って答えるカサンドラ。
「では、私もお供します。」
「駄目よ、メキド様。
貴方にはマリアをお願いするわ。
それにね。魔王はとても嫉妬深いの。
すぐに誤解して、違う方向へ行ってしまうのよ。」
カサンドラは、あの使い古した消しゴムを思い出していた。
「嫉妬深い・・・ですか。」
苦笑いするメキド。
「じゃあ、もう行くわ。」
カサンドラは、上位転移魔法を唱えた。
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