医務室にて ~王子と聖女の思惑~
2人あるいは3人の思惑が全く違う方向へ行ってしまいます。
しばしカサンドラはお休み・・・。
~学園内の医務室付近~
ジークフリート目線
医務室でカサンドラを医師に託したジークは、側用人達にテキパキと指示を出す。
その中に、カサンドラを王宮へ迎える準備をするというものもあった。
ピグマン家は、子爵家と言えど古くからの貴族であり、突然あのような事をする者ではない。
すると、答えは見えて来る。・・・魔人と言われる者達。
そうであるなら、奴はカサンドラに執着する可能性が高い。
誇り高いとされる奴等は、己の顔に傷をつけた者を放っておく訳がない。
婚約発表を先延ばしにしたのは失敗だった。
今のままでは、カサンドラを王家で保護する理由がない。
ジークは、自分の判断ミスを悔いた。
直ぐにでも公表しなければ・・・。
カサンドラには事後報告となってしまうが止むを得ない。
ジークは、もう一度医務室に入り、眠るカサンドラを見つめる。
「約束を破る私を、貴女は許してくれるだろうか?」
そっとカサンドラの手を握る。
「・・・殿下?」
うっすらと瞳をあけ、呟くカサンドラ。
妙に色気を感じドキリとする。
「すまない、起こしてしまったね。」
そして、カサンドラの髪を優しくなでる。
「マリアは無事ですか?」
「あゝ、無事ですよ。貴女が守り通したのです。」
「そう、それは良かった。」
と満面の笑みを浮かべるカサンドラ。
「・・・っ」
愛おしくて自制することができない。
ジークは、”ぎゅっ”とカサンドラを抱きしめた。
「殿下? どうしました?」
「キャシー、君は魔力が枯渇していたんだろ?なぜだ?」
「なぜ? ・・・。」
「なぜ、その様な状態で戦ったんだ?」
「なぜでしょうね? 私にも分かりませんわ。
それより殿下、少し苦しいです。」
「す、すまない。
ところで、キャシー。そろそろ家(王宮)に来ない(住まない)か?
いや、この話は今度にしよう。今は眠ると良い。」
カサンドラは、その言葉を聞き終えると瞼を閉じて再び眠りについた。
~翌日 医務室~
ベッドで静かに眠るカサンドラ。
その傍らには、カサンドラを見つめるマリアがいる。
私は何も出来なかった。
初めて見た白兵戦がこんなに恐いものだとは思わなかった。
カサンドラ様は、かつて魔獣と戦ったと言う。
人ならざるモノとの戦いは、如何に恐ろしいものか想像するだけで身震いする。
どうして、カサンドラ様は立ち向かうのだろう?
目の前のおない歳の娘に問いかける。
・・・返事は無い。
分かってるわ。
何か恐ろしい事が起こるって。
だから、せめて今は目の前の彼女を・・・守りたい。
マリアは、カサンドラの手を握り祈りを捧げる。
”コン、コン”
ドアが開き、アレンが入って来る。
マリアを睨みつけるアレン。
きつい目線におそろおそろ声を発するマリア。
「アレン・クリスティン様?」
「あゝ、すまない。
カサンドラを診ていてくれてありがとう。マリアさん。」
マリアの様子を察し表情を和らげるアレン。
「すまないが、カサンドラはクリスティン家に連れて帰るよ。」
「え、この状態で?お休みになっていますのに。」
抵抗するマリア。なぜかこの男にカサンドラを渡したくないと思う。
「我が家の方が安全だからね。
また奴が襲って来るかもしれない。」
「そうですか。
私もついて行って良いですか?」
「・・・ダメだ。
心配しなくても我がクリスティン家の護衛団は戦闘には慣れている。」
予想はしていたが、落胆を隠せないマリア
「分かりました。
では、メギド神官にもお伝えしてよろしいですか?」
「あゝ、もちろんだ。
神官にも世話になった様だしね。」
アレンは、カサンドラを愛おしそうに見つめている。
意を決したアレンはカサンドラを抱き上げ、さっさと連れ去ってしまった。
マリアは、メキド神官の元へ急いだ。
なぜか、激しく胸騒ぎがする。
マリアは、カサンドラが将来誰かと愛を育み、家庭を築き、幸せに暮らしていくことが想像できなかった。
それはアレンだけではない。
どんな殿方でも同じだった。
女の子なら誰もが見る夢、願う幸せ、
カサンドラには、最初からそんなものは無かったのではないか?
そんな風に感じている。
マリアは、公園に咲く”槿花”を思い浮かべていた。
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