入園の日 前編 ~三者三様以上もあり得る~
ジーク殿下は三年生で最終学園
カサンドラ、アレン、ヒロインは新入生です。
なお、オクティビアは卒業したてです。
ついに今日と言う日が来た。
王立学園入園の日
いよいよ、乙女ゲーム『5人の聖騎士と悲愛の魔王』が始まる。
馬車を降りるとアレンがエスコートしてくれる。
私は、ジークフリート王太子に頂いた傘(日傘兼用)を開く。
アレンは嫌そうに
「それ要るの?」
と尋ねて来る。
「それはそう思うよね。
毎日お外で剣や体術の鍛錬しているのだから、
今さらちょっとくらいの日差しなんてね。」
「じゃーなんで?」
「う~ん。雰囲気?」
まさか、ジーク殿下との約束とは言えない。
「ねぇ、それより可愛いと思わない?
私には似合ってないかもだけど。」
「いや、・・・そんな事はないけど・・・、
日傘指している生徒なんていないんじゃないかな?」
「それもそうね。・・・(くそっ、ジーク殿下め)
目立っちゃいそうね。これって悪役令嬢の本領発揮かしら。」
(はぁ↘)
「アクヤクレイジョ?・・・」
アレンには分からなかった様だ。
二人で校門から校舎へ歩いて行く。
うん。めちゃくちゃ目立っている。
只でさえ、超美形、魔獣退治の英雄アレンにエスコートされているのに、、、羞恥心で心が折れそう。
「いたいた! キャシー! 私だ!」
と聞き慣れた声がする。
やはり来るのね。
でも私の所では無く、ヒロインのところへ入って貰わなければ・・・せっかくの出会いイベントが・・・。
「う、ジークフリート・・・さま。
今日は、生徒会の役割で忙しいのでは?」
「少しだけ抜けて来たよ。
だって、今日はキャシーの入園式だろ。
婚約者である私がエスコートしなければね!」
「しー!」小声で(それ、言わない約束ですよね。)
「あゝ、勿論だとも!
さあ、アレンここまでご苦労、ここからは代ろうか?」
「ちっ、どうせ嫌だと言っても聞かないんでしょ!」
ニコニコ顔のジークは言う。
「分かってるじゃないか。ほら、何かと目立っているから早く代りなさい」小声で(でないと大声で”大切な婚約者”と言いますよ。)
「傘を指させたのも?」
とアレンは睨みながら言う。
(いや相手は王太子殿下だからね。)
「もちろんそうだよ。キャシーが僕のものだって目印にね?」
そこで、ふと背後から物凄い圧を感じる。
「ジークフリート殿下。令嬢をもの呼ばわりは感心しませんな。」
アレン
「貴方も来たのですか⤵」
ジーク
「やあ、オクティ、今日は何の用事なのかな?
確か数日前に卒業したのではなかったかな?」
「今日は来賓代表で出席させられるのだ! 知っているだろう!」
「あゝ、そうだったね。」
と、わざとらしく手を叩く。
もう駄目だ。
この三人がいるからめっちゃ目立っている。
登園中の生徒の視線が痛い。痛いわ。
これでは、ヒロインとの劇的な出会いの場面が台無し。
すると、爽やかな風とともに花びらが舞い出した。
(はじまる! 出会いイベント!)
学園の並木道を・・・もぞもぞ歩く主人公!
マリアンナ・・・通称”マリア”!
ん? なぜ、”もぞもぞ”、しかも端っこを歩く?
私は、やかましい三人を放置し、マリアの方へ駆け寄る。
「貴女、駄目よそんな端っこにいては、
それにね、背筋を伸ばして!
ほら、今日は記念すべきオープニング・・・じゃなかった、入園式の日だから!
ね。こっちに行きましょ!」
「あ、あの申し訳ありません。
え~と・・・どちら様ですか?」
「あ、私ったら御免なさい。
まだ名乗って無かったわね。
私は、カサンドラ・クリスティン。キャシーと呼んでね。
それよりね、早くこちらへ!」
私は、少々焦っていた。早く3人の内の誰かと・・・
「え! いえいえそんな。
カサンドラ様。
私は、マリアンナです。
その・・・、苗字はありません。
ですから、高名なクリスティン家のご令嬢に親切にされる様な
者ではありません。」
「もう良いから良いから、そんなことは!
それよりほら、こっちに来て皆に挨拶しましょう!」
私は、順に目を向けながら・・・
王子枠のジーク、宰相枠のオクティ、最強魔術師のアレン・・・、
(もう、早くしないとオープニングイベントが終わってしまう~。
早く誰かを選んで! マリア!)
「え、ええ~。
無理です。無理です。
許してください。」
うう~、これではイベントが・・・。
困ってしまい、固まる私にマリアは
「あの、カサンドラ様は、その”紅炎の戦乙女”なのですよね?」
「「「「「「「「「「「「「「「 え!」」」」」」」」」」」」」」」
”戦乙女”という言葉に、全生徒が一斉にこちらへ振り向く。
私は青くなりながら
「ダメ、それ禁句、言っちゃあ駄目。ね。マリア、良い子だから。」
すると、マリアは急に”パ~”と明るい表情となり”やっぱり!”
「私、憧れていたんです。お会いできて光栄です。
お声も掛けていただいて!とてもとても嬉しいです。」
周りのざわつきが尋常ではなくなって行く。
私は、堪らずマリアの手を取って校舎に逃げるように入って行った。
う~、マリアってばめっちゃ可愛いけど、空気呼んで~。
マリアは子犬の様に飛び跳ねている。
(こんなキャラじゃないよね。ゲームでは?)
可愛いから私は好きだけど。
もう、イベントは諦めて・・・とにかく今は入園式ね。
~マリア目線~
今日は憧れのカサンドラ様とお知り合いになれた。
噂通りとても綺麗な方だ。
想像していたよりも気さくで少し驚いたけれども、平民の私に声をかけて下さるなんて感激!
これから一緒に学園生活を遅れるのかと思うと嬉しくなる。
もっと仲良く成れるかしら? なりたいな。
私の特技、聖なる魔力を示せば身分差も乗り越えられるかしら。
オープニングの出会いイベントは不発ですかね?
いえいえ、ヒロインと悪役令嬢の出会いです。
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