傲慢・我儘令嬢倒れる
両親の思いは娘に届くのでしょうか?
届いていたとしても・・・。
私は14歳になった。
15歳になる頃、王立学園に入学することになる。
桜の舞う美しい景色の中、主人公である聖女マリアと出会う。
そして、そこからゲーム『5人の聖騎士と悲愛の魔王』が始まるのだ。
・・・・・もう私が自由に動ける時間は少ない。
入学すれば、私はほぼ聖女マリアに付きっ切りとなってしまうだろう。
彼女を聖女へと目覚めさせる。
シナリオが悪役令嬢を望むならそれをやりきるしかない。
~~~~~~
私の日課は、魔道具の小瓶に魔力を注ぎ込むことからはじまる。
前世には魔法が無かったから、魔力が枯渇しても大丈夫だと思っていた。
が、その考えはめちゃめちゃ甘かった。(体はこの世界で産まれたものだものね)
頭がフラフラして真っすぐに立っていられない。
一人で着替えも出来なくなってしまった。
着替えだけではなく髪もそうだ・・・とけない。
侍女たちに迷惑をかけてしまっている。
申し訳なく思うが仕方が無い。傲慢・我儘令嬢に逆戻りね。
事情を知っているお父様は特に何もおしゃらない。
娘を溺愛する馬鹿な父親を演じてくれているのだろう。ごめんなさい。
それでも、止めるわけにはいかない。
さあ、朝の鍛錬を始めるわ。
体が言うことを聞かないが、これってテレビやコミックの主人公が良くやってることよね?
ふふっ、こんなにしんどいものなのね。
そして朝食。
鍛錬は満足に出来ないけれど、食事だけはしっかり取らないと・・・、
吐き気をもよおすが、無理にでも胃へ流し込む。
料理長に無理を言って、流動食をお願いしようかしら。
ここでも我儘が炸裂ね。
でも、食べなければ魔力も回復しないの。
座学も講師先生にお願いして、ペースを緩くして貰っている。
今、アレンはお父様の仕事に従事しているので、別カリキュラムとなっている。
そこだけは良かった。
アレン・・・頑張って。
昼食を流し込み午後の鍛錬を始めた頃。
ふっと目の前が暗くなった。
そう、私は意識を失っていたのだ。
それでも、昨日より1時間は長く持ったのかな・・・・・。
夕方
目が覚めると、ベッドの傍らで泣く人がいる。
「お母様? どうして泣いているのですか?」
私は、まだおぼろげな意識の中で、ひょっとすると失礼な質問をしていた。
「キャシー。
私は、貴女の性格がガラッと変わったのを分かっていました。
それも良い方に変わったと、神の啓示ではと喜んでいました。
けれど、今、それが間違いであったと気付きました。」
「え、どうして、・・・なのですか? お母様。」
母は、私の髪を撫でながら言う。
「もうこんな事はお止めなさい。貴女が一人で背負う必要はありません。
国防の事はお国に、お家のことはお父様、それにアレンやみな様に任せれば良いのです。
貴女は一人ではないのですよ。」
私は、この時はじめてお母様の気持ちを知った。
母が我が子を案ずるのはすごく自然なこと。
それなのに・・・失礼な質問までして、心がえぐられる様だった。
「キャシー。」
「お父様・・・」
「まさか、魔道具をこんな風に使うとは思わなかった。
私のミスだ。許してほしい。
そして、もう止めなさい。魔力は多少なりとも溜まっているはずだよ。
お前は、充分に良くやった。」
「お父様、まだ足りないの。
この程度では魔王の傍に近づく事も出来ないわ。」
「ま、魔王だと。魔王が復活すると言うのか。
いやいや、まさか魔王と対峙するつもりなのか。」
侯爵の顔には、信じられないと言う表情がありありと現れている。
そして、母はさめざめと泣き崩れる。
「大丈夫、そんなことは決してしません。
ただ、この魔力はきっと何かの役に立つはずです。
聖女様や聖騎士様に持たせて差し上げれれば・・・。
お願い。私に最後までやり遂げさせて。」
「本当だな。決して魔王と対峙する為では無いと。」
「もちろんです。私にそこまでの力はありません。」
「・・・・・。」
ふと、壁の方を見ると、私の日本刀が厳重に飾られてあった。
アレンの仕業ね。
アレンも私に”戦うな!”と言っているのね。
~~~~~~
数か月後
私が、魔力枯渇に慣れて来た頃、いよいよ王立学園の入学の日がやって来た。
この間、国内にちらほら魔獣が現れていたが、ケリー率いるクリスティン家の討伐隊、グレイス公爵家の護衛団がことごとく討伐に成功していた。
当然、これらが私に知らされる事は無かった。
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