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悪役令嬢は氷結の戦乙女  作者: marumarumary
第一部 氷結の戦乙女
12/34

父と娘 ~悪役令嬢は先導者~

いつも閲覧いただきありがとうございます。


~クリスティン家~


クリスティン侯爵は、帰って来るなりやや興奮した面持ちで愛娘を呼んだ。


「はい、お父様どうかなさいましたか?」


「とても良い話が3つある。」


「はい、お聞かせ下さい。」

とニッコリ笑って答える。


「ジークフリート殿下から御前を婚約者にしたいとの打診があった!」

父は得意満面だ。


(げっ!)

カサンドラは見る見る青ざめていく。


そんなカサンドラの思いはつゆ知らず捲し立てる侯爵

「二つ目は、アレンを我が侯爵家の養子に迎える許可が下りた。」


「はい。それは良かったです。お喜び申し上げます。」

(ほっ、良かった。これでアレンもクリスティン家も安泰だわ。)


「最後は・・・ふふっ、驚くなよ。

 お前は、聖女に認定されるかもしれないぞ!」

 

 ・・・・・・・・。


 気を失うところだった。


 

あれほど釘を刺して置いたのに何という誤解。

どこをどう見ればそうなるんだ。悪役令嬢は対極に居るんだよ。


「お、お父様、何かの間違いでは?」


「陛下から直接打診があったのだ、間違いは無い」


「陛下から・・・。」


息を吸うのも忘れてた私は、少し気を取り直し

「直ぐにお断りを!」

この際、婚約者でも何でもなってやるさ。

けれど、聖女は駄目だ。

1~2年後にはヒロインが王立学園に入学してくる。

私は、必死に断るように訴える。

 

「キャシー、私も親だ。親の欲目が無いとは言わないが、私にも思い当たる節がある。お前には聖女だと思わせる何かがある。」


「おおよその事は察しがつきますわ。けれど、本当に違うのです。

 お父様やお母様、皆様を失望させたくありませんが・・・。」

私は、涙を堪え続ける。

「全く違うのです。 

 私は、敢えて言うなら、そう、”先導者”、聖女の先導者でしかありません。

 あるいは露払いと申しますか。」


侯爵は、やっと状況を飲み込み始めた。

「露払いとは?」


「その言葉の通りでございますわ。」


「つまり、聖女の為に先頭に立って、雨露を振り払う役目だと。

 だから、鍛錬を重ね魔獣退治を・・・。」


カサンドラは黙って頷いた。


その愛娘の姿を見て、侯爵はやるせない思いを滲ませる。

「馬鹿な。数ある聖女の文献に先導者など出て来ないよ。」


「当然ですわ。聖女の話を残さなければなりませんから。

 余分な記述は要りません。」


すがる様に侯爵は呟く。

「それでも名誉な事には変わりない。」


「ですが、このまま間違われて本物の聖女が現れた時、皆さまはどう思われるでしょうか?」


「・・・・そうだな。・・・偽物と。 ・・・ そう思うかもしれない。

 期待が大きければ大きい程誹謗中傷が激しくなるものだ。

 分かった。この話は丁重にお断りしよう。

 しかし、もし聖女が現れ無かったら?」


「そんな事は絶対あり得ません。

 なぜなら、”先導者”である私が既に存在しているのですから。」


「うむ。」

侯爵は、浮かれた父の顔から厳しい家長の顔に変わっていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


先導者、彼女達は表の歴史に現れることはない。

ある者は、悪役令嬢として断罪・国外追放、魔獣と戦い命を落とす。またある者は処刑されその役目を終える。

それは必然であり定石。

魔王軍と戦うには取るに足らない事象の一つとカサンドラは思う。

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