父と娘 ~悪役令嬢は先導者~
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~クリスティン家~
クリスティン侯爵は、帰って来るなりやや興奮した面持ちで愛娘を呼んだ。
「はい、お父様どうかなさいましたか?」
「とても良い話が3つある。」
「はい、お聞かせ下さい。」
とニッコリ笑って答える。
「ジークフリート殿下から御前を婚約者にしたいとの打診があった!」
父は得意満面だ。
(げっ!)
カサンドラは見る見る青ざめていく。
そんなカサンドラの思いはつゆ知らず捲し立てる侯爵
「二つ目は、アレンを我が侯爵家の養子に迎える許可が下りた。」
「はい。それは良かったです。お喜び申し上げます。」
(ほっ、良かった。これでアレンもクリスティン家も安泰だわ。)
「最後は・・・ふふっ、驚くなよ。
お前は、聖女に認定されるかもしれないぞ!」
・・・・・・・・。
気を失うところだった。
あれほど釘を刺して置いたのに何という誤解。
どこをどう見ればそうなるんだ。悪役令嬢は対極に居るんだよ。
「お、お父様、何かの間違いでは?」
「陛下から直接打診があったのだ、間違いは無い」
「陛下から・・・。」
息を吸うのも忘れてた私は、少し気を取り直し
「直ぐにお断りを!」
この際、婚約者でも何でもなってやるさ。
けれど、聖女は駄目だ。
1~2年後にはヒロインが王立学園に入学してくる。
私は、必死に断るように訴える。
「キャシー、私も親だ。親の欲目が無いとは言わないが、私にも思い当たる節がある。お前には聖女だと思わせる何かがある。」
「おおよその事は察しがつきますわ。けれど、本当に違うのです。
お父様やお母様、皆様を失望させたくありませんが・・・。」
私は、涙を堪え続ける。
「全く違うのです。
私は、敢えて言うなら、そう、”先導者”、聖女の先導者でしかありません。
あるいは露払いと申しますか。」
侯爵は、やっと状況を飲み込み始めた。
「露払いとは?」
「その言葉の通りでございますわ。」
「つまり、聖女の為に先頭に立って、雨露を振り払う役目だと。
だから、鍛錬を重ね魔獣退治を・・・。」
カサンドラは黙って頷いた。
その愛娘の姿を見て、侯爵はやるせない思いを滲ませる。
「馬鹿な。数ある聖女の文献に先導者など出て来ないよ。」
「当然ですわ。聖女の話を残さなければなりませんから。
余分な記述は要りません。」
すがる様に侯爵は呟く。
「それでも名誉な事には変わりない。」
「ですが、このまま間違われて本物の聖女が現れた時、皆さまはどう思われるでしょうか?」
「・・・・そうだな。・・・偽物と。 ・・・ そう思うかもしれない。
期待が大きければ大きい程誹謗中傷が激しくなるものだ。
分かった。この話は丁重にお断りしよう。
しかし、もし聖女が現れ無かったら?」
「そんな事は絶対あり得ません。
なぜなら、”先導者”である私が既に存在しているのですから。」
「うむ。」
侯爵は、浮かれた父の顔から厳しい家長の顔に変わっていた。
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先導者、彼女達は表の歴史に現れることはない。
ある者は、悪役令嬢として断罪・国外追放、魔獣と戦い命を落とす。またある者は処刑されその役目を終える。
それは必然であり定石。
魔王軍と戦うには取るに足らない事象の一つとカサンドラは思う。
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