帰路 ~オクティビア2~
穏やかな様子の3人
たまには良いかもです。
翌朝
庭先には、剣を舞うカサンドラの姿があった。
現世での半袖、半パンの軽装は、こちらの世界ではあられも無い服装であり、令嬢とはとても思えない。
そして、その剣技は踊り子の舞の様でもあり、東洋の武術の様でもある。
アランは、その美しい姿に目を離す事が出来ない。
「あら、アレン様、おはよう御座います。昨日は、楽しめました?」
屈託ない笑顔を向けられ、アレンは嬉しくなる。
「ええ、まあ。」
アレンは、少しはにかみながら答えた。
「それよりお嬢、いつもその様な出立ちで?」
「まさか。こんなのお父様に見つかったら幽閉されちゃうわ。」
「・・・。」
ごもっとも。充分承知の上ですね。
「お嬢、その剣技と体術を足した様な舞は誰から教わったのですか?」
「誰も居ないわ、独学よ。」
現世のアクションゲームや映画とは言えないよね。
「俺にも教えて下さい。」
「え、こんなの役に立つかしら?」
「良いんです。少しでも貴女の側に近づきたい。」
「? 、ふふっ、熱心ね。じゃあ、剣を回すところから。」
アレン(つ、伝わらなかった。昨日の酒の手伝いもあって、結構勇気を持って言ったのにー!)
〜〜〜〜
邸の入り口で仁王立ちするオクティビア。
「そろそろ朝食だそうだ。」
「ところで、カサンドラ嬢。いつもその様なカッコで?」
「いえ、もちろん違いますわ。本日だけですの。」(同じ様なやり取りね。)
カサンドラの出立ちは、男どもに昨日の事を思い出させるのに充分刺激的であった。
「では、以後その様なカッコは私の前以外ではなさらないように!」
「は、、、い?」
「アレンはちょっと残れ、話がある。な〜に、心配には及びませんよ。男同士の話ですから。な、アレン!」
「はい、別に良いですよ。お嬢は、とにかく早く着替えて下さい。」
「分かってるじゃないか!アレン。」
と、後の方で聞こえてきたが、本当に男同士の話の様なので私は邸内に入った。
~~~~~~~~~~~~~~
朝食後、王都へ戻る為馬車へ向かう。
使用人達に感謝の言葉をかけ、執事に礼を言う。(突然迷惑かけました。)
クリスティン領は、広く、自然豊だ。ここが全てでは無いが良いところだ。
さて、馬車に乗り込むと…。
どうしてこうなった?
「オクティビア様?」
「あゝ、気にする必要はない。さすがクリスティン家。良い馬車だ。」
いや、そこじゃない。
オクティビアにエスコートされ席に座る。
そして、なぜか隣へ。
(居心地悪いわ~。私、この人苦手かも。)
「なんなら公爵家の馬車へ移ろうか?」
「はい。ではそうして下・・・」
すると、再びオクティビアは私の手を掴んで、ニッコリと笑った。
(あゝ、私も連れて行かれるんだ。)
「あ、いえ、こちらで結構です。」
慌てて手を引っ込めた。
アレンは、何をしているかと言うと、、、、憮然として見てる。
打合せ済と言う事かしら。
程なく馬車は出発したが、
(、、、き、気まずいわ。)
何か近いし、と思っていたらオクティビアと目が合った。
「カサンドラ嬢、今朝のような鍛練はいつもアレンと?」
「いえ、いつもは私一人ですわ。アレンは、朝食以後からですね。」
「うむ。では、詠唱の短縮はどのような鍛練を?」
「特に何も必要ありませんよ。」
「え?」
「ちょっと、やってみますね。」
「古の光の聖霊よ、我に従い魔力を供与せしめ光をともせ。」
すると、ピカっとカサンドラの人差し指が小さく光った。
これが通常の詠唱ですね。
と言いながら”ふっ”と息を吐き光を消す。
「次に、同じ感覚で、、、慣れるまでは心の中で詠唱したつもりで。
そして、”LIGHT!”と唱えるのです。」
ピカっと指先が光る。
「だから、別に”ライト”でなくても良いですけどね。」
「ほうー、分かった。やってみる。」
”ライト”
しかし、オクティビアの指先に変化はない。
”ライト!”
”ライト!!!”
「はい、分かりました。う~ん、 オクティビア様、お手を貸していただいてもよろしいですか?」
「どうぞ」
私は、いつもの探知魔法を使ってオクティビアの魔力を探る。
なんだろう?魔力に混ざって淀んだ気が流れている。
おそらく、これが何か障害となっているのではないだろうか?
「オクティビア様、失礼ですが御歳をお聞きしても?」
「ん?17だが。」
アランが、”プっ”と噴き出した!
それを見てオクティビアがジロリと睨み返す。
「すみません。もっとおっさんかと思ってました。」
(・・・私もよ。)
オクティビアが私の方を覗いてきたので、思わず目線を逸らす。
「オクティビア様、今度は楽にして私の方へ頭を傾げて下さい。」
そう言うと、カサンドラはオクティビアの頭を包み込み、頭を優しく撫で始めた。
オクティビアは、真っ赤になりながらも素直に従い目を閉じた。
そして、カサンドラは優しく語り出す。
「オクティビア様は、あまりに困難な問題を抱え込んでいますね。
私には政は分かりませんが、たまには失敗しても良いのでよ。自分を許してあげて下さいませ。」
そう言うと、続けてカサンドラは魔法を唱えた。
「~ライトニング・メンタルヒール~(精神治癒魔法)」
優しい光がオクティビアを包み込み、灰色の蒸気が霧散していく。
アレンが呟いた。
「・・・聖女・・・様?」
オクティビアは、頭を上げて目を見開く。
その表情から、うっすらと剣が取れていた。
「聖女?」
「まさか! 私が聖女な訳ありませんよ。単なる回復魔法ですよー。
それよりも、もう一度やってみて下さい。オクティビア様」
「あ、ああ、そうだな。
”LIGHT!”」
すると、オクティビアの指先がピカっと光出す。
「「「おおー!」」」
オクティビア、アレン、カサンドラの3人は顔を見合わせ、、、、急に笑いだす。
ビックリしたのか、嬉しいのか、はたまたつられたのか、3者3様理由は分からないがその笑い声は中々止まらなかった。
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