キチガイフレンドその2
「…これ…犯罪だろ…」
「いや、両方犬だからセーフ」
「いや、鬼の女性プレイヤーさんの精神状況は?」
「ログを確認されなきゃセーフ」
「あそこで呆然としてる女性は?」
「きっと黄昏れてるんだろ」
うん。プレイヤー名もたんぽぽと、何処かで見たことが有るような名前だが、知らない。
「いや、頭おかしいだろ。同じことやろうとしてホモに走ったやつも気になるけど…」
「いや、両方犬だから!どこもおかしくないだろ?ホモは流石におかしいけど」
「いや、ホモにしろノンケにしろどっちもおかしいわ」
「いや、ノンケはおかしくないだろ!?」
「…ならレースで勝負をつけようじゃねえか」
「…いいぜやってやるよ」
これレースをガチでやる理由が欲しかっただけだな。
「コースタイプは選ばせてやる」
「んじゃ、Fで」
「大丈夫か?Fって最近追加されたコースだからお前やったことねえだろ?」
「目が見えない状態で飛びながら戦うよりは楽」
「…お、おう。…あ、【Death World Online】でバット引いたのか」
「よく分かったな」
「いや、あれ一部だと有名だぞ?運営のサイトで種族ごとの体数とか見れるけど、盲目状態で飛ばなきゃいけない鬼畜種族で2回も進化し…お前かよ」
「俺だな」
そんなのがあるのか。後で見てみよう。龍とかそういう系が何種類ぐらい有るのかとか、グールとバット以外で吸血鬼になれそうな種族を探すか。
「やっぱお前頭おかしいよ。それ以外3人もコウモリ引いてるけど、全員が運営にリセット申請してるからな?」
「俺は研究所のVRシステムで研究者の人と一緒に練習したからな」
「ちょっと何言ってんのか分からん」
「ひっど。この恨みはレースで晴らすわ」
「んじゃ、俺も日々の鬱憤をぶつけますかね!」
『DOG RACE!』
『PLAYER
ソウ
タイガ 』
コースFの構造は、くねくねと曲がりくねって坂などが有る上級者向けのコースだ。因みに、これは一人ひとりでやってタイムを競うような競技だ。道のりにして100mまあ、全速力で終わらせる。
『ソウ 12:89
タイガ 14:07』
『WINNER ソウ』
「本当に意味が分からん。お前、絶対にリアルで100m直線を走るより早いだろ」
「当たり前だ。足の本数が増えてるし、道の中央の道のりが100mなわけだから、一番短い場所を走れば100m未満だろ」
「いや、ちょっとその理論は意味が分からん…カーブとか減速するだろ…」
「いや、お前もそんなに減速してねえじゃん。お前もリアルより早いだろ」
「いや、リアルの方が早い」
「…は?いや、早くね?」
え?100mって14秒切れるものだっけ…?
「…まあ良いや。俺の勝ち」
「はぁ…いや、まじでソウに勝てねえ」
「【Death World Online】なら勝てるんじゃねえの?俺確実に龍の人より弱いよ」
「大抵の奴等がそうだわ。で、俺が勝つのは無理が有るな」
「なんで?」
「今、ウィンドウルフ」
「いや、なんで?てか、お前ブラッドウルフとかあったらそっち目指せよ。仲良く吸血鬼ルート入ろーぜ」
少なくとも、俺は入れているし、凛も入るだろう。どうせなら、吸血鬼の派閥を身内で固めて魔王を目指したい。
「…一応食肉っていうスキルは有るけど、それ使ってもブラッドウルフは表示されなかったぞ」
「んー、じゃやっぱ吸血鬼の血肉を喰う必要が有るのか?」
「そうじゃね?多分プレイヤーのは駄目だろ」
「だろうな」
「因みに、何故吸血鬼?」
「俺が吸血鬼ルートに入ってるから。あと、妹も多分吸血鬼になれる」
「あー、知り合いで固めたいと」
「そゆこと。理解が早くて助かる」
ほんと、ゲーマーは言葉が少なくても通じたりするのは助かる。
「まあ、めざしては見るよ」
「ありがと。じゃあ、俺は無理ゲー攻略のために落ちるわ。又いつか」
「ああ。おつかれ」
「んじゃ」
取り敢えず、ログアウトして、快斗に貰ったソフトを使って戦う練習を開始した。
…と言っても初撃すら避けられないが…。結局、昼になるまでやり続けても進展はなかった。




