第117話 きっと神様は俺のことが好きなんだなー
ミレイさんは自信を取り戻し、オークを倒すことが出来た。
翌日、調子に乗っているミレイさんを9階層のゴブリンの群れに放り込み、薄い本みたいにしてやろうかと思ったが、ミレイさんは何かを察したのか、お仕事でお休みとなった。
正直、ミレイさんにも、ちゃんと仕事があるんだと安心した。
今回の依頼はミレイさんと言うより、≪ダンジョン攻略し隊≫だからだ。
なのに、俺が鍛えているのはミレイさんのみ。
他のメンバーは仕事が入っているらしく、依頼期間である1週間の間には来られないらしい。
別に俺は構わないのだが、あのポンコツミレイさんが他のメンバーに教えることが出来るのか、疑問ではある。
とにかく、依頼がなくなった俺は素晴らしい我が配下……ではなく、仲間達を誘い、ダンジョンに行くことにした。
「依頼の調子はどうだ?」
放課後、協会に着き、仲間達と合流すると、瀬能が依頼の進捗を聞いてくる。
「うーん。一応、順調かな…………なあ?」
俺は前日についてきたカナタとアカネちゃんに振った。
「ええ。色々とありましたが、やはり強い人ですよね」
「まあ、ファンにはあまり見せられない感じではありましたねー」
やっぱり2人もミレイさんのポンコツ具合には思うところがあったようだ。
「中学生にすらバカにされる25歳アイドル、か……」
フッ……
「言葉にすると、なかなかの破壊力ですねー。私はバカになんかしてませんけど」
「僕もしてませんよ。ちょっと抜けたところがあるなーと思ったくらいです」
お前らがいくら言いつくろおうと、昨日のお前らの表情がすべてを語ってるわ。
「1週間で終わりそうか?」
「まあ、そこは大丈夫だと思う。ポンコツリンゴ女だが、やっぱり実力自体は高いわ。お前らは? 受かりそう?」
俺は瀬能とちーちゃんに試験勉強の具合を聞いてみる。
「やっぱり難しいね。神条はよく受かったな。小学生だったんだろ?」
「俺の時はたいした試験じゃなかったからな。今みたいにダンジョン法も多くないし、基礎的なことばっかで、むしろ実技の方がメインだった」
実技の方も成人男性並みの体力や能力があるかを計る程度だ。
当時はまだ、エクスプローラの数が少なく、エクスプローラの数を増やすことに躍起になっていた時期である。
じゃなきゃ、小学生の俺は受かるどころか、受験すらできなかったであろう。
「ボクも資格だけでも取っておけばよかったなー」
瀬能がうらやましそうに言う。
「そんなに難しいのか?」
「さすがにね…………学生が試験を受けない理由がわかるよ」
優秀な瀬能がそうなら、俺は絶対に受からんな。
協会はエクスプローラの数が未だに少ないことを気にしているが、それって、試験が難しいからじゃねーの?
ダンジョン学園に入れば、楽に免許を貰えるが、成人した大人は無理じゃん。
「大変なんだなー。ちーちゃんは?」
「……そんなに難しいかな?」
ちーちゃんは余裕そうだ。
さすが≪学者≫だな。
「お前、もうしゃべんな」
「ひで」
「あー、ちーちゃんは落ちねーかなー」
こいつに人生の厳しさを教えてやりたいわ。
俺じゃない誰かが…………
俺は無理。
「ひど。あんたのために受けてやるのに」
「それはわかってるし、感謝はしてるけど、俺の中の天使と悪魔が葛藤してるんだ」
「なにそれ? あんたの中に天使っているの? 頭に”堕”が付かない?」
誰が堕天使と悪魔じゃい!
「いやね、もちろん、お前らに受かってほしいと思ってるよ。ホントにホント。でもね、お前らが受かったら、あっという間に俺のランクを抜いていきそうで…………」
俺はずーっとCランクだ。
Bには何故かなれない。
スタンピードを止めたのに…………
『クーフーリンと同じことを言ってんな』
だよね…………
やっぱり原因はそれだな。
「ちっちゃいヤツだねー。別にあたしらが抜いてもいいじゃん」
「そもそも、簡単にBランクにはなれないだろ」
「お前らには、同期や後輩に抜かれてきた俺の気持ちはわかんねーよ。長年やってると、何となくわかるんだ。あ、こいつ、数年でBランクになるな。俺、また、抜かれるなって」
お前らからもその感じがする。
「神条は年齢とかを考慮してるんじゃないか? マイさんも心配なんだろう」
瀬能はうんうんと頷いているが…………
「お前、マジでそう思ってる?」
「いや、自業自得だろうなーって思ってる」
はっきりと言われた。
「それ以外ないじゃん。あんた、よく実力はあるが、素行が悪いだの、実力はあるが、ポンコツだのって、他人の悪口を言ってるけど、全部、あんたのことじゃん」
え?
俺、ポンコツ?
ミレイさんの所に嫁いで、リンゴ園を継いだ方がいい?
「またまた。素行があんまし良くなかったのは認めるけど、ポンコツはないわ」
「ポンコツは皆、そう言うよ」
こいつ、嫌い。
ちーちゃんこそ、勉強しか出来ないポンコツのくせに。
「まあ、ちーちゃんはどうでもいいや。どうせ勝手に受かるだろ。瀬能、頑張れよ」
「ああ。何とか受かるようにするよ」
頑張ってくれ。
俺の未来と栄光のためにな。
「今日はどうするの?」
慈愛の笑みを浮かべるシズルが今日の予定を聞いてきた。
どうでもいいが、お前、いい加減、その聖母みたいな顔をやめろ。
「どうすっかねー。20階層まで行く?」
「といっても、明日も学校だし、泊まりは無理でしょ」
今日も明日も平日なので、泊まりは無理か。
「申請すれば、行けるんじゃなかったっけ? そんなことを前に先生が言ってなかった?」
ダンジョン学園には、特別休暇がある。
要はダンジョンに泊まりで行く場合は実習扱いになり、欠席にはならないのだ。
「カナタ君とアカネちゃんがいるから無理だよ。中等部はダメだから」
そうなんだ。
まあ、義務教育だし、無理か。
「私は別に休みでも構いませんけどね」
さすがアカネちゃん。
サボることに躊躇しない。
「ダメだよ。補習は嫌でしょ?」
良い子ちゃんのシズルが悪い子ちゃんのアカネちゃんを止める。
「嫌です! センパイみたいにはなりたくありません!」
ねえ?
君らって、いちいち俺を引き合いに出さないと気が済まないの?
「しゃーねーか。奥に行くのは週末で、今日は行ける所まで行って、レベル上げかねー」
「それでいいんじゃない? 私達のレベルはまだ低いし」
スタンピードの時にレベルが上がったとはいえ、こいつらはまだ20階層以降に行けるレベルじゃない。
焦らず、安全にマージンを取った方がいいか。
「じゃあ、それで行くか。メタルなスライムでもいないかねー」
はぐれでも、キングでもいいぞ。
俺達はマイちんに申請してもらい、ダンジョンへと向かった。
◆◇◆
ダンジョンに着いた俺達は10階層程度ではやることもないので、一気に14階層までやってきた。
14階層はウルフ、スケルトン、メイジアント、飛びクラゲといった多彩なモンスターが多く出現する階層だ。
最初に来た時は苦労したが、レベルが上がり、成長した俺達にとっては、レベル上げには好都合な階層である。
「しかし、ここまで来るのが時間の無駄だわ。今、何時?」
俺は隣にいるシズルに現在時刻を聞く。
「7時半。1時間出来るかだね」
なるべくモンスターを避け、最短距離で来たのに、ここまでかかる。
実に無駄だ。
「転移の魔法はないのかねー」
「空間魔法にはないんだっけ?」
「ないな。空間魔法の最後に覚えるのがリターンって魔法。その階層の帰還の魔方陣まで飛べる」
便利だが、空間魔法のスキルレベルを10にしてまで、覚える魔法としてはショボい。
空間魔法だけは最後まで覚える魔法が分かっている。
どこぞの生贄が頑張ったのだ。
まあ、空間魔法と言えば、めっちゃ強そうだし、上げてみようと思う気持ちはわかる。
「私達は学生だからね。プロの人は毎日でも行けるんだろうけど」
毎日は行かないけど、これが学生とプロの大きな違いである。
俺はレアジョブばっか経験してるし、天才だからスキルも多く、めっちゃ強いが、同期の連中と比べると、レベルが低い。
あいつらがダンジョンに行っている間も俺は真面目に授業を聞いているのだ。
こればっかりはしょうがない。
「シロー。いい方法ないの?」
「…………言いたくないなー」
ダンジョンに来たから、シロは俺の服から出てきて、肩にいる。
そんなシロが変なことを言ってきた。
「なんでなん? ルールとやら?」
シロはモンスターなので、ルールが課せられている。
ロクロ迷宮でまだ起きてない現象を話すことが出来ないらしい。
このルールも曖昧で、よくわからなかったから、詳しく聞いてみたことがある。
しかし、複雑すぎたうえ、長くなってきたので、途中で聞くのをやめた。
「ルールじゃないなー。お前が怒りそうだから。予言してやる。はよ言えって怒る」
俺はなんとなく察した。
「怒らないから言ってみ? 相棒を信じろよ」
「信じているから言ってるんだ。お前はキレる」
「まさか、≪メルヘンマジック≫にあるとか言わねーよな? しかも、もうちょいで取れるとか言わねーよな?」
な? そうだろ?
「………………」
シロは何も言わず、俺の肩からニョロニョロと降りていく。
そして、地面に降りると、シズルの方に逃げていった。
「よーし、踏みつぶしちゃうぞ~」
俺は片足を上げ、シロを踏もうとする。
「ほら、怒った」
「お前って、いっっつも、肝心なことを言わねーよな!」
「ほら、キレた」
いや、なんでちょっと嬉しそうなんだよ。
「やめなよ。教えてくれたんだから感謝はしても、怒ったらダメでしょ?」
シズルは地面にいたシロを拾って俺に渡してくる。
俺はそれを受け取った。
ねえ、シズルさんや。
君、完全においたをした子供を叱ってる感じで言ってるよね?
はよ、いつものドスケベ女に戻れ。
「で?」
俺は病気になったシズルから目線を切り、手の上にいるシロを見下ろす。
「≪メルヘンマジックlv6≫で覚えられる。名前はマジカルテレポートだ」
魔法名を聞いて、まともだなと思ったが、よく考えると、やっぱ、ダサいネーミングだった。
俺もだいぶ毒されてんな。
「性能は?」
「ダンジョンにいる時限定だが、違う階層に飛べる。発動までに時間がかかるのと、距離にもよるが、精神力をめちゃくちゃ使うのがデメリットだ」
デメリット的に戦闘中は使えそうにない。
戦闘中に危なくなったら逃げるのに使うのは無理だな。
それに、精神力をどれくらい使うかは不明だが、マナポーションは必須そうだ。
しかし、そんなことよりもレベル6って言った?
俺の現在のメルヘンマジックのレベルは5だ。
俺は仲間達と同様に、スタンピードの際にレベルが上がっている。
そして、その時のスキルポイントは使わずに取ってある。
これまでの累積していたポイントと合わせれば、ギリで足りる。
ポイントの貯金がなくなってしまうが、利便性を考えれば、習得一択だろう。
「はよ言え!」
「ほらー、言ったー!」
しかも、嬉しそうでムカつく。
「チッ! まあいい。取るわ」
俺は優しいから許してやるよ。
俺は頭の中で念じ、ステータスを出すと、メルヘンマジックのレベルを上げた。
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名前 神条ルミナ
レベル30
ジョブ 魔女
スキル
≪身体能力向上lv5≫
☆≪自然治癒lv6≫
≪空間魔法lv2≫
≪怪力lv6≫
☆≪斬撃lvー≫
☆≪魅了lvー≫
☆≪気合lvー≫
≪索敵lv3≫
≪罠回避lv2≫
≪冷静lv2≫
≪隠密lv5≫
≪投擲lv1≫
☆≪メルヘンマジックlv5→6≫
≪薬品鑑定lvー≫
☆≪使役~蛇~lvー≫
☆≪魔女の素養lvー≫
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☆≪メルヘンマジックlv6≫
魔女のみが使える魔法。見た目はメルヘンだが、強力な魔法を使えるようになる。
使用可能魔法
ラブリーアロー、パンプキンボム
ラブラブファイヤー、ラブリーストリーム
プリティーガード、ヘルパンプキン
マジカルフライ、マジカルテレポート
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☆≪マジカルテレポート≫
ダンジョンにいる場合に限り、違う階層に移動することが出来る。
ただし、使用者が到達したことがある階層でなければならない。
また、指定の階層における上位10階層単位のボスの討伐経験がないと使用できない。
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ふむふむ。
「ボスのくだりがわからん」
説明下手か!
「例えばだが、20階層のボスを倒さないと、11~20階層は飛べないってこと。お前の場合は25階層まで到達してるが、30階層のボスは討伐してない。だから、飛べるのは20階層まで。それ以降に行きたかったら30階層のボスを討伐する必要がある」
「40階層でお前のお友達を倒したじゃん。40階層までは行けんじゃねーの?」
「そういえば、そうだな…………うーん、わからん。ワープによる偶然だからなー。試してみろよ」
そっか。
やってみればいいのか……
えーっと、どうやんだ?
んー……
おっ! 念じればいいのか!
頭の中に使い方が浮かんできた。
便利なものである。
「うーん、20階層は行けそうな気がするが、40階層は無理だな」
俺が30階層のボスを倒してないからか、39階層まで到達していないからなのか、そもそもワープによる移動はカウントはしないのか…………
「理由はわからんなー」
「そうか。ちなみに、エクストラステージは行けそうか?」
「うーん…………無理かな」
俺の頭の中で、誰かが『ダメです』って言っている気がする。
「ねえねえ。20階層は行けるんでしょ? 行ってみようよ」
シズルがマジカルテレポートを試すように言ってきた。
「えーっと、身体に接触すれば、よさげだな。よーし、お前ら、俺の身体に触れ。あ、変なところを触んなよ。セクハラで訴えるからな!」
「自意識過剰だなー」
シズルはそう言って、俺の右腕を触る。
シロは右肩に移動し、瀬能は左肩に手を置く。
ちーちゃんは背中を触り、カナタは左手を握った。
そして、アカネちゃんは何故か、俺のキュートなお尻を触る。
「…………お前、何してんの?」
「いや、フリなのかなと……」
「…………まあ、いいか。行くぞ! マジカルーテレポ~トー!!」
俺がちょっと時間をかけて魔法を使うと、目の前が一瞬暗くなる。
そして、すぐに視界が変わり、目の前に扉が見えた。
「あれ? 俺はミノタウロスの目の前に飛ぶ予定だったのに」
皆をびっくりさせようと思ってたのに、違うところに飛んだようだ。
「何してんのさ…………って、ルミナちゃん!」
ちーちゃんは俺のちょっとしたイタズラ計画に苦言を言うが、直後、俺が膝をついたので、びっくりしたようだ。
「精神力が尽きただけ。この魔法、めっちゃ精神力を使うわ。キツい……」
「大丈夫? マナポーションを飲んだ方がいいよ」
「そうする」
俺はシズルの提案通り、アイテムボックスからマナポーションを取り出し、飲む。
「ハァァ…………14階層から20階層でこれか…………飛ぶ時は段階を踏んで、その都度、マナポーションを飲まないと、俺の精神力じゃあ、キツいわ」
俺は魔法使用時の精神力を半減できる≪魔女の素養≫というチートなスキルがある。
それでも、これだ。
「まあ、でも、飛べたね。これってすごくない? かなり時間を短縮できるじゃん」
「まあなー。すごいだろー。さすが俺様」
ってか、≪魔女≫って、すごくない?
メルヘンなことと、強制で女になることを除けば、めっちゃ強いじゃん。
「…………ねえ、ルミナちゃん。これを協会に報告する?」
俺とシズルが喜んでいると、ちーちゃんが神妙な面持ちで聞いてきた。
よく見たら、瀬能も神妙な感じだ。
「ん? するよ。義務だし、皆に自慢する」
俺の楽しみを奪う気か?
「あのさ、これって、ヤバくない?」
「ヤバいな……これまでのダンジョン探索が大きく変わるぞ、これ」
上級生2人がなんか言ってる。
「ヤバいと思うけど、別に良いじゃん。俺様の日ごろの行いが良いからだろ」
「いや、そうじゃなくて、これまでチマチマと1階層ずつ進んでいたのに、あんたは一気に飛べるんだよ。協会や他のエクスプローラが放っておかないよ」
「ふーん。あっそ」
「あっそって…………」
「いや、俺に不利益があんの?」
「いやいや、他のエクスプローラをダンジョンの奥にまで、運ぶように言われるよ」
「そんなめんどくさい事をするわけねーじゃん。拒否だ、拒否」
誰がするか、ボケ!
「いや、強制的にでも……」
「そんなヤツは半殺し」
「いやいや」
「じゃあ、二度とそんなことが出来ないようにしてやるわ」
「………………」
ちーちゃんは沈黙してしまった。
「神条、あのな…………お前のこの魔法はダンジョン攻略を一気に加速するものなんだよ。協会よりも上が放っておかないよ」
ちーちゃんの次は瀬能だ。
「そんなん知るか。いや、待てよ…………」
これは儲けるチャンスではないだろうか…………
「よし! 1階層ごとに1000万を要求してやろう。俺は20階層まで行けるから、2億だ!」
一生、遊んで暮らせるぞ!
夢にまで見た左うちわじゃー!
「そんな高額を協会が許すわけないだろ」
「なんで協会の許可がいるんだよ。嫌なら頼まなきゃいいだろ」
「いや、そんなことしてると、免許を取り上げられるぞ」
「そん時は海外だ。金儲けはどこでも出来る」
「………………」
瀬能も沈黙してしまった。
「でもさ、ルミナ君は男に戻りたいんだよね? ロクロ迷宮を離れても良いの?」
シズルが大事なことに気付いた。
そういえば、そうだな。
他のダンジョンにもトランスバングルってあんのかね?
「シロ」
「すまんが、他の迷宮は知らねー。あるかもしれんし、ないかもしれん」
うーん、ここは高度な交渉だな。
海外に行くぞと脅す感じで大丈夫だろ。
「よし、ノープロブレムだ!」
「センパイって、本当にすごいですねー。きっと、協会の人は、よりによって、何でセンパイが手に入れたんだろうって思いますよ」
「僕達は嬉しいけどね」
神様が俺に早く男に戻って、シズルとヤリなさいとおっしゃっているんだよ。
そして、稼いだお金で一生遊んで暮らしなさい、と。
「うーん、ルミナちゃん。あたしが協会に話すから、あんたは黙ってな」
ちーちゃんはリーダーである俺を差し置いて、協会と話したいらしい。
さすがは出しゃばり。
「なんで?」
「あんたは交渉ごとに向いてないよ。基本、恫喝と挑発だし」
「それで十分だろ」
「神条、チサトさんに任せた方が良い」
瀬能もちーちゃんに賛成のようだ。
「えー……」
「悪いようにしないから。あんたに任せると、絶対にこじれる」
ちーちゃんも人の事を言えなくない?
お前、基本的に辛辣じゃん。
「お前らもそう思う?」
俺はシズルと後輩2人に聞く。
「チサトさんに任せた方が良いよ」
「センパイよりかは良いと思います」
「姉さんかー…………うーん、まあ良いんじゃないでしょうか」
カナタは微妙に姉を信用できないようだが、一応、皆、ちーちゃんに任せた方が良いと思っているようだ。
「じゃあ、ちーちゃんに任せようかなー」
「そうしな」
俺って、信用ないね?
『ある意味、絶大な信用があるぞ』
悲しいねー。
涙が出ちゃうねー。
だって、男の娘だもん。
…………違うか。
攻略のヒント
エクスプローラ資格試験は年に2回ほど開催される。
1次試験では、筆記試験と実技試験があり、両方がある一定の基準に満たされていることで2次試験を受験可能である。
2次試験は面接である。
また、ダンジョン学園の学生の場合は、学園からの推薦がある場合に限り、いつでも受験が可能である。
『エクスプローラ協会HP エクスプローラになるためには』より




