033
「ふぁぁ……」
夜も明け討伐予定の当日、早朝に起床して準備を済ませた私達は借りていた宿の部屋を引き払い、国と外を繋いでいる門を通って、魔物の巣の討伐者達が集まる集合地点へと向かっていた。
国外は森となっておりまともな道が無かったので、生い茂ってひしめきあう木々の間を縫って移動をしている。
そんな道中、可愛らしい声が聞こえてきた隣を見ると、あーちゃんが大きく口を開いてあくびをして、私と繋いでいない手で目を擦っていた。朝が早かったのでまだ目が覚めていないのだろう。
「あーちゃん眠そうね」
「うん、ちょっとぼーっとする……」
「これから魔物の巣へ向かうのですから、そろそろ気合を入れて貰わなければ困ります」
「はーい」
先導をしているテスラが振り返りそう言うと、あーちゃんは頬を膨らませながらも頷く。
そうしてしばらく歩き進め、そろそろあーちゃんも完全に目が覚めたように見えた頃、テスラは足を止めて口を開いた。
「さて、この辺りで良いでしょう」
「どうしたの?」
「私達は今回、この案件が城へ持ち込まれたので参加する事になったのですが、だからこそあまり顔を見られることは良ろしくありません」
今回の仕事は、テスラの言う通り国側で処理すべき案件となっていた。
その為、その要請として仕事に来ている以上、国側の戦力として参加する事になる。
私はまだここでの立ち位置を分かっていないので何とも言えないのだが、もし国への印象が悪ければ私達は嫌われ者の仲間という事になるし、他にも国が用意した戦力は化物だなんて吹聴されていれば、やっぱり一緒に行動する上で好意的な目で見られないだろう。そうなってしまえば、普段の外での生活で苦労する事は想像に難しくない。
……悪い方へ考えすぎか?
でも顔を隠さなければならない時点で、あまり良くない事だと感じてしまうのは仕方がないだろう。
そう思いテスラを見てみると、彼女は私の態度から疑問を読み取ったかの様にして答えてくれた。
「すみません、少し説明が悪かったようです。……私達の所属している部隊は少々特殊でして、その性質上顔を隠す必要があるのです」
「そうなの?」
「はい、実は私達がいる部隊は少数精鋭でして、限られた人数で仕事を回す必要があるのですが……その人数を正確に把握されるのは、避けなければなりません」
「んん?」
だから顔を隠す、というのは分かるが……そもそも何故部隊の人数を確認されるのが良くないのだろうか。むしろ国の戦力として数えられている以上は、積極的に管理しなければならないのではないかと思うのだが。
「えぇ、分かってます。納得が出来ませんよね? ですがこの話は、国内の別部隊との関わりも関係してきますので、今ここで全てを説明するのは難しいのです。あえて言えば、別部隊の牽制の意味があると思って下さい」
む、表情に出ていたか。
けど今の説明で何となくだが分かった。
どうやらうちの部隊は、他の部隊とあまり友好的では無いらしい。そんな状態である程度の人数が出払ってしまえば、良く思っていない部隊が何かしら仕掛けてくるという事だろう。
まぁ友好関係でない事はよくわかる。
なぜなら城から出る時に見た兵士の表情……あれはどう見ても怯えていた。
……って、あれ?
「そういえば兵士には顔見られてたのだけれど……」
「それは問題ありません」
??
いや、今の説明では兵士にこそ見られたら不味いだろう。
「城には部隊長の一番に加えて二番もいますので、大丈夫です」
「あぁ、記憶を操作するのね」
「さすが主様、その通りです。あの部屋にいる兵士が交代するまでに、具体的な特徴に繋がる記憶を一番が封印し、もし他で漏れていれば二番が探り当てます」
「へぇ……あ、けれど門番をしてた兵士は?」
「一日に城に出入りする人は大勢います。あの場所から出たのを見られていなければ、武装でもしない限り怪しまれる事も無いでしょう」
なるほど、ツヴァイの魔法はわからないが、憎たらしいアインスの固有魔法は身を持って経験している真っ最中だ。もしこれを漏れなく施術する事が出来れば、まず問題無いとも言える。
「でもそれなら、最初から常にお面を着けるようにしていればいいと思うのだけど……それに、あの場所に兵士を配置するのも危険が増えるだけじゃない」
「それはそうなのですが……基本的に一つの部隊だけで固まるのは禁止されておりまして……監視役? とでも言いましょうか。どの部隊でもそれぞれ別部隊の人が交代で見張る決まりがあるのです」
「色々と面倒そうね」
「はい。そんな理由から、顔以外にも身体的特徴は、結局記憶から封じる必要がありますし、それなら顔を見られるのをあまり気にする必意味はありませんから」
うーん、今更ながらわかったのもおかしいが、実はとても面倒な所に入ってしまったのではないだろうか。
とりあえず諸々の事情は簡単にだが理解出来たので、テスラには納得の意を返しておく。
「ご理解頂けて嬉しいです。では早速このローブに着替えて貰えますか?」
「わかったわ」
「はーい」
私とあーちゃんはテスラからローブを受け取ると、早速今着ているものを脱ぐ。周りには木々以外に視線を遮るものが無い場所なので、何だか開放的な気分になってくる。
受け取ったローブを広げて見てみると、全身真っ黒なもので、大きさは体型よりも幅に余裕があり、体の線が見えなくなっている。構造的に見ると、上からすっぽりと被って着るもののようだ。
早速着込んでみるとフードも付いていた様で、被ってみれば私の獣耳を出す穴も開けられており、テスラの細かい気配りを感じられる。
「それではお召し物を預からせて頂きます」
「悪いわね、はい」
テスラが預かってくれるみたいなので、私は脱いだワンピースをテスラへ渡そうと顔を上げると、既にテスラも着替え終えて全身真っ黒だった。
いつの間に着替えたのかわからなかったが、これも能力の応用かと考えローブを渡した。私が衣服を渡し終えると、あーちゃんも着替え終わって待っていたらしく、着ていた服を投げつけるようにして渡していた。
「中々良い感じね」
「大っきいー、だぼだぼー」
「あとはこちらのお面ですね、どうぞ」
そう言ってテスラが渡してきたものは、昨日あーちゃんが選んで購入した狐のお面だ。
手渡されたお面をひっくり返すと、昨日には無かった模様が掘り込まれていた。
「私の『情報伝達』で、能力の一部を付与しております」
「それがこの模様? どんな力をくっつけたのかしら?」
「大した物ではありませんが……お面の中で少量の魔力を篭めて呟いた言葉を、同じお面を付けている人に飛ばすことが出来ます。簡単に言いますと、離れていても会話で意思疎通が出来ると言う事ですね」
「なるほど。それで買うときに厚めのものを選んでいたのね」
「はい。これでもし離れてしまった場合ても、ある程度の距離まででしたら連絡を取り合えます」
なるほど、いつの間にか中々に便利なお面になっていたようだ。
そんな感想を抱きつつ、受け取った狐のお面を付けてみる。ふむ、これで声が聞こえるのだろうか。
「これで聞こえているのかしら」
「……あっ、その……申し訳ありません、魔力をのせないとその陣は発動しませんので、もし有用時は魔力をのせて使ってみて下さい」
テスラは私の言葉に対し、ばつの悪そうな表情で訂正を入れる。……お面があって良かった、今の表情はとてもでは無いがみせられない。
……さて、気を取り直して
「……"これで聞こえるかしら?"」
「はい、完璧です! エリス様」
「わっ!? エリスちゃんの声が響いてきた!?」
魔力を僅かに篭めて呟いてみると、今度はしっかりと聞こえているようだ。
話に入っていなかったあーちゃんは突然の私の声にびっくりした声を上げていたので、間違いないだろう。
そうして準備を終えた私達は、改めて集合地点へと向かう為に移動する事にした。
その間の道中、気になる事があったのでテスラに聞いてみる。
「体や顔を隠したのはいいのだけれど、昨日買った武器はグスタに見られたのよね……気づかれないかしら?」
「そうですね……アリスの方は袖や裾の長いローブを選びましたので、恐らくは大丈夫かと思いますが。ただ問題は……」
「私、よね」
テスラに選んで貰って購入した剣……アメジストブレイドというらしいのだが、大きさの都合上まず隠す事は出来ないだろう。ちなみにあーちゃんが付けている手袋みたいな武器は、メタルジェルハンドとそのままの名称だった。
「仕方がありませんので、今の内に渡しておきますね。それで戦うとき以外は別の場所に保管しておいて頂き、必要な時だけ『情報伝達』を使って引き寄せて使って下さい」
「そうなるとグスタと別行動の時以外には、あまり戦わない方が良さそうね」
「または、以前に扱ってました武器を使ってみますか?」
「以前? ……あっ」
武器を受け取りながら、続くテスラの言葉で私は気が付いた。
そういえば記憶の無い私にとっては初仕事になるのだが、あーちゃんやテスラは以前も仕事をしていた筈だ。
そうであれば、この仕事をする前から必要なものはほとんど揃っていたワケで……。
「だったらわざわざ、街で買い物をする必要なんてあったのかしら?」
「……」
私の言葉は間違いなく聞こえているはずなのだが、テスラは突然無言になり、そのまま歩き続ける。お面で表情は見えないが、心なしか視線をそらされているような気もする。
私はあーちゃんと一緒にテスラの横まで駆け寄ると、お面の下にあるテスラの瞳を覗き込むようにして、じーっと見続けてみた。
「…………あの、ですね」
「えぇ、何かしら」
「とても久しぶりでしたので……ご一緒にお買い物をしたく思いまして……」
「ふふっ、素直な子は好きよ」
やっぱり買い足す必要はあまりなかったみたいだ。
まぁそれもまた良いだろう。私もそれなりに楽しかったのだし、あーちゃんやテスラも楽しそうだったので、必要が無くてもしたい事があればやるべきだ。
話が逸れてしまったが、とりあえず武器については変更せずにアメジストブレイドを二つに分けて使う事にした。せっかく選んで貰って買ったのなので、浅くとも思い入れがあるのだ。
買う前にもテスラが説明していたが、この剣は二つの曲刀に分離させる事が出来る。恐らく分離前なら気づかれる可能性もあるが、分離させて片方だけを使えば感づくのも難しいだろう。
ただこのまま持ったままいくのは面倒だったので、分離させた状態でテスラの倉庫を一部使わせて貰い、そこに保管することにした。
それからまたしばらくは木々の間を歩いていき、特に問題が起こる事も無く、無事に集合地点へと到着する事が出来た。
集合地点は魔物の巣の前……では無く、その近くの開けた場所だった。
既にほとんどの人数が先にきていたみたいで、私達が来たのがわかると鋭い視線を寄越してきた。これから危険な場所へと向かうので気が立っているのか、幾つかの視線に殺気なども含まれている気がする。
「"何だか凄く睨まれているわね……"」
「"やはり冒険者ですからね。国が用意した戦力が、どの程度のものかを見定めようとしているのでしょう"」
「"へぇ、それで彼はいるかしら"」
「"あ、いたよ! あっち!"」
「"あぁっ、ダメよあーちゃん! 指差してしまっては、探している事に気づかれてしまうでしょう?"」
「"ご、ごめんっ"」
お面に刻まれた陣により『情報伝達』で会話をしていると、あーちゃんが指を差し出したので慌てて止める。そして指を向けれた男……グスタは確かにそこにいた。
その周りには彼のパーティメンバーなのか、三人の冒険者と談笑していてこちらに注意を向けていなかったらしく、あーちゃんの奇行については気づかれていないみたいだ。ビックリしたけれど、良かった……。
私達がこっそりとそんなやり取りをしていると、一人の男がこちらに近寄り、声をかけてきた。
「ご足労頂きありがとうございました。私は冒険者ギルドで職員をしておりますアドルフと申します」
この中で唯一武装をしていない男、アドルフと言うらしい。彼は青髪青目で優しそうな顔立ちをしており、物腰もすごく柔らかそうだ。
「"えぇと、声を出してしまったらグスタに気づかれないかしら"」
「"どうでしょうね……ではアリス、アナタに受け答えをお任せします"」
「"うん、わかった!"」
「"え、大丈夫なの?"」
「"問題ありません。見ていればきっとおわかりになると思います"」
見ていればわかると言われたが、正直な感想を言わせて貰えばとても心配だ。
何たってあーちゃんである。
やっほー! あーちゃんだよ! とか言い出しかねないので、もしそうなってしまったら全力で止めようと思う。
「もう人は集まっているの?」
「はい、あともう二パーティが来れば揃います」
「なら私たちは少し休ませてもらうわ」
「はい、揃いましたらまたお呼びしますので、宜しくお願いします」
「わかっ――」
「やほー! キミ達が助っ人だね!? ふふっ、ボクはヘルムトラウトって言うんだ! ヘルって呼んでね!」
あぁ、やっぱりやってしまった! 早く止めなければ!
そう思いすぐにテスラに視線を向けるが、何故か動く気配は無い。
こうなったら仕方が無い、私が止める!
そう考えた所で、ようやく少し違和感を感じた。
そこにはいつの間にか小柄で短髪栗色のクセっ毛少女が話に加わっていた。
見たところ年齢はテスラやゼクスに近いように思う。また、その特徴的な髪の間からのぞく長い耳から、どうやら彼女は森人のようだ。
「ボクね? 今日をすっごくすっごく、すぅんっごく楽しみにしてたんだ!」
「それは良かったわね」
ヘルと名乗った少女ははちきれんばかりの笑顔を携え、大きな身振りで気持ちを表しながら飛び跳ねていた。
そうしてヘルが動くたび、ふわふわと毛も軽やかに動いており、見ているだけでちょっと面白い……では無くて!
あーちゃんがまともに喋れている!? 声自体は変わっていないものの、以前見た心蝕魔法を使っている時と同じように抑揚の無い声色で返事をしていたので、一瞬別の人が対応をしているのかと思ってしまった。
むしろいつの間にかいたヘルの方が平時のあーちゃんに近かったので、勘違いしてしまっていたみたいだった。
「"ふふー! エリスちゃんびっくりした? あーちゃんは結構、人の喋り方を真似するの上手なんだよ!"」
「"え? 真似?"」
「"……エリス様の話し方を真似しているようです"」
あぁ、どっちかと言うと声の方に意識がいっており喋り方まではあまり聞いていなかったのだが、あーちゃんが得意顔をしていたので合わせておく。
「"さ、さすがは私のあーちゃんね! 似すぎていて驚いたわ"」
「"そうかな? えへへ……"」
私がそう誤魔化してみると、あーちゃんはそのまま受け取ってくれたようで照れていた。うん、あーちゃんはそのまま可愛いあーちゃんのままでいてね。後ろでじーっと見ているテスラみたいに、察しがよくなってはダメよ。
ところで今更だが、何でここにヘルみたいな女の子がいるのだろうか。今日は四級冒険者の中でも腕利きを集めるという話だった筈なのだが……。
そう私が自分の事を棚上げして考えていると、ヘルはいつの間にやらどこかに移動していなくなっており、代わりにアドルフがメンバーが揃った事を告げていた。
「本日は五パーティと単独が二人、加えて国からの助力で来て頂いた方で討伐任務を行います。私はこの先へ同行は出来ませんので、ここからは三級冒険者の方の指示に従って下さい」
そういえばアドルフは冒険者ギルド側の人だったか。
それを思うと、よくここまで来たなとも思う。何しろ国から一歩でも外へ出れば、頻度は低いものの魔物と遭遇することもあるのだ。
むしろ参加しないのに何のために来たのかと聞きたくなったが、すぐに想像して納得した。
恐らく国からの援助が来ているのに、全く何の挨拶もなしによろしくとはいかなかったのだろう。私にとってはどうでも良いのだが、そう考えると大変だなぁとも思ってしまう。
それはそうと、三級冒険者まで居たのか。
ただでさえ簡単な任務で過剰戦力と考えていたのだが、これはもはや仕事が無くなるかもしれない。嬉しい誤算だ。
さてさて、どの人が三級冒険者なのかしら……。
「皆さんこんにちわ! ボクは三級冒険者のヘルムトラウトだよ! それじゃ、早速魔物の巣へ向かうよ!」
「え? ……あ」
声を上げてしまってからその事に気がつき、慌てて口を噤む。
だが幸いにも周りでは個々のパーティで話し合いをしていてざわついており、私の声に注目を集めた様子はなかったので、そっと胸を撫で下ろす。
……いや、だってびっくりするでしょう。さっき話かけてきた小さい女の子が、まさかの三級冒険者だと誰が思うのか。
見た目も仕草も、あえて言えば雰囲気からも全く強そうに見えないのだが……周りの人が特になにも言わないので、本当なのだろう。
それにしても、あれがマルギットが目指している三級なのか。あの子を見ていると誰でもなれるのではないかと思ってしまうのだが、それは流石に舐め過ぎか。
って、あれ? あそこにいるのってもしかして……
「"ね、ねぇあーちゃん。あそこにいるのって、もしかしてマルギット?"」
「"んー……あっ! そうみたいだね!"」
マルギットの事を考えていたので、一瞬思考が幻影か何かを見せているのかと思ったのだが、あーちゃんも見えているようなので本物らしい。
うぐぐ、ただでさえグスタがいて邪魔なのに、そこへさらにマルギットまで参加しているとは……
テスラにも一昨日に同席をしたので知っているだろうと目を向けてみるが、テスラはマルギットの方をじっと見たままでこちらに気づいていないようだ。
「どういう事でしょうか……彼女は予定に入っていなかったはず」
「"ちょ、ちょっとテスラ! 何普通に声を出しているのよ!?"」
「あっ! "し、失礼しました。少し予想外な事があって動揺してしまいました"」
突然独り言を呟きだしたので制止の言葉を掛けると、テスラも気づいていなかったようで、慌てて『情報伝達』での会話に切り替える。
「"予想外な事というのは、マルギットの事? それに予定って言ってたけれど、もしかしてこの討伐パーティのメンバーって……"」
「"はい、実は仕事内容で必要でしたので、私が選んで決めております"」
「"そういえばアナタだけ先に出ていて、後から私達と合流したものね"」
そうなると今回の討伐パーティの人選は、単に実力だけで選ばれたわけではなさそうだ。
ヘルに続いて他の冒険者達が移動をし始めたを横目に、テスラとの会話を続ける。
「"このメンバーをテスラが選んだという事は、何かしら判断基準があったのだと思うのだけれど、どうやって選んだの?"」
「"はい。半数は実力で、もう半数は……確認の為ですね"」
「"確認、ねぇ"」
「"それと申し訳ないのですが、その為に一時エリス様の元から離れなければならなかいかもしれません"」
「"別に構わないわ"」
確かにテスラも一緒にいてくれたなら心強いのだが、そこまで危険な討伐になるとも思えないので少し離れるくらいなら問題ないだろう。それにテスラも私達とは別に仕事があるようなので、わがままも言ってられない。
また、テスラが言った確認という言葉の意味についても知りたかったのだが、周りがどんどん先へ進んでしまっていたのでこれ以上は立ち話が出来なさそうだ。
「"そろそろ行かないと置いていかれるわね。行くわよ、あーちゃん、テスラ"」
そうして私達は、先へ行く冒険者達の後を追った。




