ヤバい病院 (5)
父が死亡した時、
私は、
N病院の談話室で、
途方に暮れていた。
何故か?
疲れ切っていて、
全てをぶん投げて、
そこから、
逃げ出したかった。
でも、
父の遺体を、
病院から、
実家へ、
運ばねば、
ならない。
葬儀屋に電話すると、
基本パックが、
三十万円という事で、
それに、
申し込んだ。
これで、
やらなければならない事は、
終わり。
後は、
霊柩車が来るまで。
若い男の医者から、
説明を受けたり。
その説明の場で、
父の死因は、
誤嚥性肺炎だという事になった。
もちろん、
私は、
その時に、
苦肉の策で、
医者がそう説明しているのを、
理解していたのだが。
後に。
妻が。
知り合いの看護師に、
「喉に、
管を通していたのだから、
誤嚥性肺炎に、
なるわけない」
と、
言われて、
大騒ぎをした。
私は。
「退院が決まって、
死亡したのだから、
誤診は、
間違い無い。
でも、
証拠が無い」
まあ、
父が死亡した時に、
解剖でもして、
死因を特定し、
その死因が、
病院側のミスで起きた事を、
立証してくれる
そんな
医学界の反逆児の様な
専門家が、
いないと。
実際の裁判では、
私が負けるだろう。
話はズレるが。
東大の病院長が、
退任会見で、
生涯誤診率を発表した事が、
有った。
彼は、
『生涯誤診率14パーセント』
という低さを、
自慢したかったようだ。
世の中には、
医者は優秀だ
と、
勘違いしている人が、
居るようだが。
医学部へ行く人の能力なんて、
その程度。
誤診は、
当たり前の様に、
起きる。
ただ、
その責任を問われない
システムが出来上がっているだけで。
日本の司法は、
腐りきっているから。
もし、
日本の司法が、
腐りきっていなかったら、
日本には、
ブラック企業が存在しない。
日本を悪くしたのは、
自民党よりも、
司法関係者だ。
話を戻すと。
霊柩車が到着し、
病院の地下に通された。
そこでは、
死因を創造してくれた
若い男の医者が、
見送ってくれた。
損な役回りだと思う。
その後、
日曜だったので、
救急外来の事務所で、
死亡証明書を受け取ってくれ
と、
言われた。
そこで支払った金額の総計は。
死亡証明書の四千五百円のみ。
実は、
父は、
心臓のペースメーカーを入れていた。
昔の日本には、
難病になると、
『医療費が無料になる』
という制度が、
有った。
ご存知の通り、
そういう共産主義的側面は、
否定され、
毎年、
削られている。
ただ、
ラッキーだったのだ。
父の住んでいた地域は、
田舎で遅れていたので、
昔の制度が、
生き残っていた。
ちなみに、
福祉制度というのは、
地方公共団体ごとに、
異なる。
私は、
透析患者で、
お見舞い金を貰えていた時期が、
有った。
その御見舞い金は、
私の住んでいる市では、
貰えたけど、
隣の市では、
お見舞い金制度そのものが、
無い。
同じ県なのに。
話は、
またズレるが。
父の住んでいた村の村長は、
無能で有名だった。
何もしない!
と、
保守の人達から批判されていたが、
対立候補が、
いなくて。
選挙の時に、
共産党に、
候補を依頼したりして。
その『何もしない』超無能な村長が、
二十年以上、
村に君臨し続けた結果、
村に残された物は、
『お金』
だった。




