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壁に穴が開いている部屋で隣人の美少女VTuberが今日も配信をしています  作者: にぃ


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第32話 配信コラボⅣー② 案の定大変なことになる (みどり×ささやきささえ)

 『あ……(察し)』

 『だめそう』

 『うっそだろwwささえww』

 『こんな漫画みたいにベロッベロッになるやつ初めてみた』

 『みどりニキ ささえに何に飲ませたよ?』



「アルコール度数2%のほろ酔い缶だよ」



 『2%wwww』

 『2%の酎ハイなんてあるんかww』



「桃味って書いてある」



 『どうでもっうぃいww』

 『朗報:ささやきささえ 酒にクッソ弱い』



「まだ酔ってなんかにゃぁい!」



 『にゃぁいw』

 『ささえちゃん もうおねむの時間だよ 配信切って寝な?』



「ねにゃい!!」


 まだ1杯目。

 アルコール度数2%というそれはもはや酒なのか怪しいレベルの代物で、ささえは顔が真っ赤になっていた。

 もし翠斗の持っているウイスキーを1滴でもささえが飲んでいたらその場で気絶してしまってもおかしくないレベルだ。

 翠斗はこっそりウイスキーを背中に隠し、ビールに移行した。


「みどりさん、今なに隠したの~!?」


 しかし、ささえは目ざとく発見してしまった。


「ウイスキーだよ。ちょっとささえさんには危険物すぎると思ったから隠したんだ」


「隠すな!」


「これはだめ」


「むぅ~。子ども扱いしやがってぇ」



 『ウイスキーは駄目だよささえ』

 『ささえちゃんは2%のチューハイにしておきなさい』



「ちぇ~。じゃあこっちでいいや」


 ささえは翠斗の手元にあった透明な酒に手を伸ばす。

 それは日本酒の水割りだった。


「そ、それも駄目——」


 翠斗が食い止めも間に合わず、ささえは日本酒を一口飲む。

 顔の赤さは濃さを増し、目が虚ろになっていた。


「にゃかにゃか美味いじゃねーか。ささえお酒つよいこ。つよいこだー!」


 もはや駄目そうだった。


「みどりしゃん。あついー」


「初夏だからね」


「あーつーい!!」


「お酒が血液を巡っているからね」


「脱がせて~!」


「やめなさい」


「みゅぅ……」


 唇を尖らせながらささえは自分で脱ごうとする。

 しかし、上手く脱げず、ブラウスのボタンを数個外した時点で断念したみたいであった。


「…………」


 若干センシティブな姿を見て、翠斗は目のやり場に困ってしまう。

 照れた様子に気づいたささえが更に距離を詰めてくる。

 わざと肩を当て、身体を傾け、胸の下着が見えるような体勢で腕に絡みついてきた。


「ちょ、ちょっと、ささえさん!?」


「にしし。みどりちゃん照れてましゅね。腕を絡めるだけで真っ赤になってか~わいいんだ」


 顔が真っ赤なのはそっちだろう、とか、照れているのは腕を絡められていることだけが理由じゃないと、とか、色々言いたいことがあったのだが、翠斗は上手く言葉を紡げなかった。

 理由はどうであれ、照れていることは事実。

 気になっている人が下着を覗かせながらこれだけ距離が近くしてくると男的に顔を赤くするだけでは済まない状況になってきているのだ。



 『くっそぉぉ! 様子が気になるぅぅ!』

 『接触があるらしいことは分かるけど、こっちはささえのキャラしか見えないんだよぉぉ!』

 『なんでVなんだお前ら 今からでも顔出し配信に切り替えろおぉ!』

 『でもナイスてぇてぇ』



「あー、そっか。みんなに伝えなきゃ……! え、えと、VTuberみどり、ただいまささやきささえさんに腕を絡められて、恋人繋ぎで手を繋がれております」



 Vtuberレイン『抜け駆けずるいですわ!!』



 『あっ、ガチ恋の人だ』

 『ビビったw』

 『主張激しいな』



「い、居たのか、レインさん……」


「にしし。一歩リードしちゃってごめんねレインさん。この男、ささえにデレデレなのだ」



 Vtuberレイン『悔しいぃぃぃぃぃっ!!』



 『www』

 『カオスになってきました』

 『ラブコメやん 三角関係ラブコメやん』

 『みどりニキがラブコメ主人公過ぎる件』



「あ……っ! だ、駄目だよぉみどりちゃん。ささえの唇がそんなに魅力的とはいえ、配信中に唇を奪おうとするのは~、ダ・メ」


「奪おうとしてないからな!? リスナーの皆! してないからね!?」



 『わかっとるって』

 『ささえお得意のASMRだよ』

 『なんか急にちゃん付けで呼ばれ出してて草』



「よ、よかった。さすがささメンだ。ささえさんのことはよくわかって——」



 Vtuberレイン『あふぃおぱhふぇひふぉぱfさいfhさいhp』



「わかってなさそうな人がいる!? レインさん! 本当に何もないからね! キスしようとなんかしていないからね!?」


「みどりちゃん ん~~~」


「唇を尖らせるな!!」


 どんどん収集が付かなくなっていくささえの20歳記念放送。

 絡み酒がこんなに面倒くさいとは知らず、翠斗はつい頭を抱えてしまっていた。

 しかし、本当の地獄はこれからであるのだと、翠斗はまだ知らずにいた。


「喉乾いた。みどりちゃんこれもらうね」


「あっ! そ、それは駄目!!」


 ささえが伸ばしたカップは翠斗が先ほど隠したウイスキーのお茶割だ。

 ささえは本物のお茶と勘違いし、グビグビ飲みこんでしまう。


「…………ひっく」


 酔いからくるシャックリと思いきや、それが泣き声だとすぐ気づく。

 瞳に涙を溜め、ささえは潤んだ瞳を翠斗に向けていた。


「うわぁぁぁん!!」


 ささえが急に大泣きしてしましまう。

 ただ事ではない様子にリスナー達も困惑しているようだった。


「みどり……ちゃんはさ……ひっく……ささえの……ものなんだよ。勝手にさ……他の人とイチャイチャするのはさ……だめぇ……だめなのぉぉ!」


 ささやきささえ第二形態。

 泣き上戸モードのスイッチが入ってしまった。


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