020_2600 抗う獣たちは銘々の所以にてⅤ~Recovery~
「痛だだだだ!? 治療が終わったならもういいだろ!?」
「もぉ~! 大人しくしててください!」
「……?」
気を失っていた。
男女の怒鳴り声で目を覚ましたために、ロジェは改めて自分の状態を把握した。
すれば意識を失う直前のことも思い出す。
(そうでした……私は負けたのでしたね)
最後に見たのは、消火器の底面だった。直後に固い衝撃を受けて以降、覚えていない。
瞼を開くと、視界の半分を黒いアスファルトが埋め尽くしている。体を動かそうとしたが、ほんのわずかしか動かない。
手首と足を拘束されて、固い地面で横になっていた。縄抜けなど無理な縛り方だったため、ロジェは抵抗を早々に諦める。
辛うじて自由になる首を動かし、辺りを確認する。
ロジェが寝かされていたのは、ホテル正面玄関のすぐ側だった。
やや離れた場所には、迷彩服を来た男たちが多数、彼女同様に拘束されて転がされている。一時的に彼女が指示を出していた、欧州陸軍連合戦闘団の面々だ。
首を巡らし、可能な限りの視界を確保すると、町並みが異様に綺麗なことに気付く。十路の即席爆弾で破壊され、ロジェ自身も内側から破壊した建物も、新築のような佇まいだ。
目覚ましとなった声の主たちは、一八〇度回転しないと見えない。すぐ後方の路端、駐車したオートバイの側に座り込んでいた。
嫌がる十路を押さえつけて、顔をガシガシ削る勢いで樹里がハンカチで血を拭っている。
「また先輩はまた体当たりでまた捨て身してまたボロボロになってぇ~」
「木次も相当ムチャやっただろ……一瞬本気で死んだと思ったぞ」
「…………や! 私はすぐ治療できるからいいんです! でも先輩は違うんですから!」
「その理屈なんか卑怯だ!?」
記憶にある人型戦略兵器から一転、今や外見相応の高校生にしか見えない《魔法使い》たちに、複雑な感情が芽生える。
「なんだ。目が覚めてたのか」
寝返りを打てば当然、十路たちも覚醒に気づく。
「傷、どうですか? まだ痛みます?」
「……そういえば」
樹里に問われて今更気づいた。戦闘で結構な重傷を負っていた。
寝転んだまま見下ろせば、ボロボロのメイド服はさすがにそのままだが、その下の体に異常はなさそうだった。硬い路面に寝かされたため痺れて痛覚は麻痺しているが、路面が血だまりになってる、なんて惨事にはなっていない。
敵だった相手に治療を施した理由を、少女相手に訊こうとした。
しかしロジェの口から出てきたのは、別の人物に一番先に明らかにしたい疑問だった。
「ムッシュ・ツツミ……貴方は《魔法》を使えないのでは……?」
「やっぱり……アンタ、支援部の部室に来た時、俺が《魔法》を使えないって話してたから、なんか変だと思ったけど……」
血が拭われた顔で、十路は野良犬のように首筋をかきながら、ため息をついた。
「俺は《魔法》を使えるぞ?」
「…………?」
なにを言ってるのか理解できないと、無表情を空白にしたロジェに、十路が側に置いた黒い追加収納ケースを叩いてみせる。
「でなければ、コイツを使えるわけないだろ?」
空間制御コンテアは、内部の空間を作為的に操作して本体寸法以上の容量を作りだし、重力制御で宙に浮かせた状態で保管する、常動型の《魔法》が実行されている。
そして考えるだけで出し入れできる。そのプロセスは術式実行時と同じなので、当然《魔法使い》にしか扱えない。
つまり空間制御コンテナとは、機能が特化された簡易的な《魔法使いの杖》だ。
仕切られた内部のみに、単体の《魔法》を安定させるだけならば、世界最高のコンピュータである《魔法使い》の脳と常時接続せずとも、通常の処理装置でなんとか処理可能な規模の。
「こんな形だし、まだまだ試作段階で正式な公表はされていないから、誤解があっても不思議ないけどな」
「しかし私との交戦で、最後の最後まで《魔法》を使用しなかったのは……」
「俺の《魔法使いの杖》は修理中だ。なのに基盤丸出しで入ってた。動作確認する暇もなかったから、ギリギリまで使う気なかった」
使えないものが入ってるとは思わずとも、実際に起動してみるまで安心はできないだろう。ならば十路が矢を《魔法》で迎撃したのは、ほとんど賭けだったはず。
「では、貴方が『出来損ない』というのは……」
「誰から聞いたか知らないけど、《魔法》が使えないって意味じゃない。まぁ、《魔法使いの杖》が修理中だから、使えないといえば使えない」
ロジェたちが手に入れた情報に誤りがあった。
(やはり『あの方』を信用するべきではありませんね……)
後悔とは異なるため息を小さく吐いた。
そして彼女は続けて、今さら問う。
「なぜわたしを治療したのですか?」
「俺たちは学生。これは部活動。戦争する義務も、人殺ししなければいけない立場でもない」
「詭弁ですね」
「同感。だけどこの部活にとっては、大事なことらしい」
「…………」
吐き捨てるような言葉で、ロジェは解釈した。
堤十路が『出来損ない』を自称するのは、冷酷残虐な作戦遂行を行えなくなった、欠陥品の軍事兵器という意味なのだと。
△▼△▼△▼△▼
「これでクロエちゃんも言い訳が立つね」
「先生、なんのことですか?」
ホテルのロイヤルスウィートルームでは、新たに淹れた紅茶を飲みつつ、つばめとクロエが閑談していた。今度はチェステーブルを挟まずに、普通に応接セットに腰掛けて。
「下手にコゼットちゃんに手出ししようとしたら、今夜以上の大騒動が公国で起こる可能性がある。しかもその時《魔法使い》を止められないって、この一件でよーく理解できるだろうし」
悪魔のものではない、ごく普通の微笑を浮かべながら、つばめはクロエに指摘する。
実際に参加した人数はもっと多いが、実質的にはたった三人の《魔法使い》が、軍隊を退けたのだ。
それもワールブルグ公国において、禁忌とも言える存在の姫の、ごく普通の暮らしを守るために。
他人から見れば取るに足りない理由だろう。しかしワケありの《魔法使い》にとっては、万金にも値する。そしてそれを侵そうとすれば、彼らは抵抗を厭わない。
縄張りを守るためには死に物狂いで暴れる獣のような本性を、知らしめてみせたのだ。銃を持ち出しても止められないという実証付きで。
「だから脅迫された通りにして、コゼットちゃんを別の国で幸せにさせる準備ができた」
しかし近づかなければ、獣たちは大人しく暮らしている。彼女たちはわざわざ縄張りの外で狩りを行い、人の脅威になろうとは思っていない。
ならばどうこうしようなどと考えるべきではない。手出しするなら容赦なく引き裂くと、彼女は爪を向けて言い放ったのだ。
獅子身中の虫どころではない。捨てることもできず、仕方なく檻で飼うしかなかったライオンそのものを解き放つには、これ以上ない切っ掛けになる。
「あのコは公式行事には全く参加していないし、いなくなっても国許での混乱も少ない」
半ば幽閉されて育ったのだから、大衆の目に触れて愛想を振りまいた、国民に愛されている王女ではない。
「この近隣だと、あのコが《魔法使い》で王女サマって情報は広まってるけど、他の場所だとそうでもない」
顔写真はない。詳しい経歴もない。ネット上にはコゼットが西欧小国の王女だと関係付ける証拠がない。
もちろん詳しく調べれば、それなりの証拠が出てくる。しかし一般市民を欺くなら、その程度でも充分だろう。
「一〇年間コゼットちゃんの敵を演じて、あのコを殺さないように殺そうとするのは、大変だったでしょ? 嫌われ者の妹を幸せにしようとした、家族想いのお姉ちゃん?」
からかうような口調のつばめに、クロエは悠然とカップを傾けてから、口を開く。
「……なにか勘違いしてるようですね、先生」
彼女の静かな声には、敗北の悔しさも、日頃の腹黒さも感じられない。
「わたくしはコゼットの敵で、《魔法使い》のことは大嫌いですよ」
ただクロエの瞳には、言葉とは裏腹な、優しげな光が湛えられていた。
「このためにスカウトされて、クロエちゃんの策に付き合わされたメイドさんも大変だ」
「ロジェにはなにかの形で償いますよ。彼女も公的には《魔法使い》ではありませんし、公国で保障しても問題にはなりません」
「『《魔法使い》をぶつけても駄目だった』って説得力はあるけど、あのコのせいでコゼットちゃんが死んでたら、どうするつもりだったの?」
「この程度の窮地で倒れるようでは、あの娘もその程度の人間というだけです」
「妹相手に厳しいことで」
「立場ある者は、身内にこそ厳しく接しろと教えられるものです」
つばめとクロエの間に、緊迫した空気は微塵もない。
しかし、いつまでもほのぼのとした空気を続けているわけにもいかない。彼女たちは戦ったそれぞれの組織の責任者でもあるのだから。
口調はそのままに、話の内容は真剣に、戦後交渉へと移る。
「今回は戦闘を非公式にするためにも、欧州陸軍連合戦闘団の兵力は、即刻国外退去してもらわないとならない」
「支援部の《治癒術師》が治療してくださったことですし、チャーター機も空港で待っていますし、すぐにできます」
「事後処理に使った費用は、賠償金として払ってもらう」
「《魔法》で建物を修復しなければ、何倍にもなったでしょうし、仕方ないでしょう」
「完全には無理だけど、今回の戦闘で表立った証拠は残らない」
「だから先生のところの学生たちを、法的に訴える理由もありません」
つばめが並べられる条件を、クロエは渋ることなく全て飲んでいく。
他国軍から借り受けた兵力は、欠ける事なく全員揃っているから、どこから文句をつけられる事はない。消耗した兵器類は補填が必要になるが、取り返しがつく物だから交渉はスムーズに終わるだろう。
ワールブルグ公国や欧州陸軍連合戦闘団が、日本国内で戦闘行動をした事実は、残らない。
そして長年公国で懸念材料だった王女について、解決の道が開けた。
巨額であるが、決して小さくない外交的・内政的要素を、金銭で買うことができる。王女たるクロエが飲まない理由はない。そして今回の来日において、彼女はそれだけの権限を有している。
「それから――」
一番重要な条件をつばめが出そうとしたが、それはクロエが先んじる。
「真相は秘密裏に、安全に事を進めるとして、二年後を目処に、コゼットを国から追い出す準備を進めましょう」
「あれ? 帰化申請するの、二年じゃ足りないでしょ?」
帰化とは、他国人が国籍を取得し、その国民になること。
コゼットのワールブルグ公国での籍が抹消されるということは、新たな国籍を得ないと社会生活を営むことができなくなる。
それを防ぐためには、このまま日本で生活を続けて、国籍を取得する流れが普通だろう。
日本国籍取得には素行や能力など、いくつか条件があるが、そのひとつに五年以上の居住というものがある。
コゼットの場合は、既に一年間居住しているが、計三年間では条件を満たさない。
「先生。緩和措置があるでしょう?」
「……あー。そういうこと」
ただしある条件を満たしていれば、三年間でも国籍取得の資格を得ることができる。
「無関係の外国人相手でも降嫁って呼ぶのか知らないけど……今回の責任取らせる気?」
「わたくしからはなにも。準備だけはしておきますけど、それ以上は本人たちの問題です」
その条件とは、日本と特別な関係を有すること。
一番わかりやすいのは、日本人との婚姻だ。
窓の外を見ると、離れた建物の屋上に建ち、装飾杖を掲げる女性の姿を認めることができる。
「コゼットは彼のことを、憎からず思ってるようですけど」
「しかも今回、白馬の王子様やっちゃったわけだしねー」
「でも、ムッシュ・ツツミは、あの娘をどう思ってるんでしょうね?」
まだ二〇代なので充分若いが、それでも渦中のふたりよりも大人であるクロエとつばめは、意地の悪い笑みで彼女を見て、肩を震わせる。
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「――っくしゅっ!!」
「そんなに寒いですか?」
そろそろ夜も寝苦しくなる夏の空気なのに、盛大なくしゃみをする十路の顔を、樹里が覗き込んでくる。
「血を吸った服って、冷たくなるだろ?」
「同意求められても血まみれになった経験ないです!?」
「また制服ダメになったし、こんな格好じゃ帰ることもできないな……」
血に染まった制服を見下ろし、十路は顔をしかめて首筋をなでる。クリーニングと修繕に使えるような《魔法》を持っていないため、このまま人前に出れば確実に通報されるだろう。
「ほれ、十路。ひとまず羽織ってろ」
「お?」
白い蛍光色の安物ジャケットが放り投げら、頭から被せられた。身代わりを効果的にするために着ていたものだ。
言われたとおりに羽織りながら振り返ると、学生服の和真と白いワンピース姿のナージャがいた。
本土側で役目を終えたふたりは、全て終わったと判断して、ポートアイランドまで様子を見に来たらしい。終わった後の段取りは確かに決めていなかったが、まさか騒動の中心地に来るとは思ってなかった。
「帰ったんじゃないのか」
「ま゛! クニッペルさん、聞きまして!?」
「高遠の奥様、聞きましてよ! 堤さんチの坊っちゃまったら薄情でしてよ!」
「……ツッコむの面倒だから黙レ」
半眼になった十路の言葉に、息の合ったショートコントはすぐに終了させて、ナージャは辺りを見回して真面目に質問する。
「あの紙袋かぶった女の子、いないんですか?」
「あぁ。部長と会ったのが最後みたいだ」
あちこちで部員たちと接触した謎の少女は、結局十路だけは見ていない。
「誰だったんでしょうね?」
「…………」
小首を傾げる樹里の横で、十路は渋い顔で首筋をなでる。
その少女の特徴を聞いた時、ある人物を連想したから。
(まさか、アイツじゃないよな……?)
△▼△▼△▼△▼
「《魔法使いの杖》渡した直後にピンチってたから、どうなるかハラハラしたけど、終わったようだね」
話題になっていたその少女はというと、夜の三宮を歩いていた。
「ミス・グラハム。正体を明かさず去るつもりでありますか?」
隣にはジャージ姿の少女――野依崎もいる。
彼女に預けていた荷物を受け取り、キャスケット帽を調えて被り、ずっと持っていたアタッシェケース型の空間制御コンテナは逆に野依崎へ返却した。
「どーせそのうち顔合わせるんだからさ、今は謎の美少女のままでいーじゃん?」
「紙袋を被って登場しておいて、美少女もなにもないであります」
「仕方ないっしょ? 目出し帽でも、おかめのお面でもよかったけど、駅の売店の紙袋が手っ取り早かったし」
「自分が問題にしているのは、なにで顔を隠すかではなく、顔を隠す行為そのものであります」
夜の街を歩くにはまだ幼い、奇妙な取り合わせの少女たちは、戦闘ヘリが撃墜された場所に近い交差点を渡る。
片側二車線の道路は、警察によって対面通行に整理されていた。機体の周りは封鎖線が敷かれ、更にその周囲には野次馬が集まっている。
今回の騒動を完全になかった事にはできない最大要因だ。
「そういやフォーちんこそ、部員なのにみんなのトコ行かないワケ?」
「面倒であります」
彼女たちは、地面に横たわる機体をチラ見しただけで、大して気にせずに話しながら歩く。
ニュースには『映画撮影中のヘリが墜落』とでも載るだろう。
ついでにポートアイランドでの毒ガス騒ぎで住民が避難した件とも合わせて。映画のストーリーがなにかの手違いで現実の事件と混同され、本当に住民が避難する騒ぎになってしまったと。
こんな大騒動になってしまったために、映画の企画そのものが中止になるまでがセットだろう。
墜落した戦闘ヘリが残っていたら、隠そうとしても隠せない。
ならば王女の誘拐事件が起こり、その延長で戦争を行った事実は、虚偽情報で塗り潰される。
それがわかっているならば、万事関心の薄そうな野依崎が、ヘリに今以上の興味を持ちはしない。
「それよりもミス・グラハム。『フォーちん』などというマヌケな呼称に異議を唱えたいであります」
「だって本名不明で名前が三つあるんしょ? どー呼べばいいのかわかんないし? それに好きに呼べってったじゃん?」
「確かに言ったでありますが……」
少女は、これが部活動なのかと記憶をかみ締めていた。
地面に墜落した今、目立たなくなっているが、あのヘリの装甲をドロップキックでへこまさせたのは、他ならぬ彼女だ。
戦闘ヘリと戦った女子中学生など、果たして何人いるだろうか。『生身で』となると、人類史上初と称していいだろう。
総合生活支援部に関わると、これが最初で最後で終われるとは思えない。もっと苛烈な事をする必要があるかもしれない。
死ぬかもしれないことを。
しかし彼女は決めていた。入部することを。
だから墜落したヘリに感慨など、ない。
「あー、それからさ。あたしをグラハムって呼ぶの、やめてくんない?」
「何故?」
「ここでのあたしは、アイリーン・グラハムじゃないから」
彼女たちは重要な役を担っていたが、メインキャストになりえない。
だからカーテンコールに応じない。幕が下りると同時に舞台を降りる。
「あたしの名前は――」
共にその名をクレジットに残すことなく。
△▼△▼△▼△▼
「なんで高遠さんとクニッペルさんがいますのよ……」
その場の四人が見上げると、装飾杖に横座りして《魔法》で浮遊するコゼットがいた。
そういえば、成り行きで部外者も協力していたのを説明してなかったと、十路は今さら思い出した。
「なんでってヒデェ! 俺たちもお姫様助けるために活躍したのに!?」
「え? 和真くん、いつ活躍したんですか?」
「ちょ、ナージャさん!? 真顔でそれないでしょ!? 俺けっこー頑張ったと思うよ!?」
「いやー……バイクの後ろで悲鳴上げてた印象が強くて。あとその後のヘリ撃墜が、いいとこ全部かっさらってますし」
「そこに至る経緯は一般人レベルで考えれば十分頑張ってない!?」
部外者たちの会話で大よそ理解したらしい。いつものように騒がしい和真とナージャは放置した。
ワンピースをなびかせて、ストンと軽い靴音を立てて、コゼットは部員たちの前に着地する。
そして波打つ金髪をかき上げる姿は、彼らが知る、いつもの彼女だった。
「事後処理、終わりました?」
「えぇ」
軽く頷き、十路に手にした革表紙の本を掲げて見せる。
「島を真っ二つにする勢いで壊してくれやがりましたから、メチャクチャ大変でしたわよ……」
「あぅ……ごめんなさい」
「人がいなかったから、よかったようなものですけど……気をつけてくださいよ?」
また正座で説教なのかと怯える樹里に、コゼットは憂鬱そうに手を振る。さすがに自分を助けようとした結果なのだから、今日ばかりは破壊行為は不問だった。
「それじゃ、部活は終わりですか」
部員が促がす。
「えぇ」
応じて部長が号令をかける。
「お疲れさまでした」
「「お疲れさまでしたー!」」
部員だけでなく、部外者ふたりも頭を下げて。
部活という名の王女奪還作戦は終了した。




