045_0000 【短編】灯に暈ける祭の追懐・壱 初発刀
ローカル色強めです。
「祭をないがしろにするとは……キサマらそれでも日本人か!」
八月中旬、総合生活支援部のある夏休みの一日は、顧問・長久手つばめの話から始まった。
「違いますわ」
金髪青瞳、女子大生兼西欧小国ワールブルグ公国第二公女 (暫定)コゼット・ドゥ=シャロンジェが、間髪入れずに否定する。
「いや~……わたしも違いますね~……」
白金髪紫瞳、ロシア共和国連邦から来た女子高生ナージャ・クニッペルも、否定するのもどうかといった曖昧な笑顔で否定する。
「半分オーストラリア人でーす」
栗髪茶瞳、国籍の異なる両親と、二つの名前と国籍を持つハーフの女子中学生堤南十星=アイリーン・N・グラハムは、明るく半端に否定する。
「日本国籍を持ってるでありますが、偽造であります」
赤髪灰瞳、複数の偽造戸籍を活用する正体不明小学生野依崎雫(仮名)が、パソコンを操作しながら冷淡に否定する。
「…………オホン」
神戸市で活動する超法規的準軍事組織。修交館学院のなんでも屋。《魔法使い》たちの部活動は、なかなか国際色も色彩も豊かな事実に、つばめは咳払いで発言をなかったことにしたらしい。
「えー? ダメー? イベント盛り上げようって話なのに?」
改めて話を続けた。
七月八月の夏休み期間は、全国どこでも祭や花火大会といったイベントが行われている。研究都市としてだけではなく、観光地としての顔を持つ神戸市も、例外ではない。
そして今夜、兵庫県で開催されるイベントでは例年最大打ち上げ数を誇る、みなとこうべ海上花火大会が行われる。
それはいい。行政やイベント企画会社、花火業者が時間をかけて計画を作って準備している。天気予報でも今夜は晴天という予報であり、あとは本番で大きなトラブルが起こらないよう対処していけばいい。
問題は前日以前の、別のイベントにあった。
一週間前ほどから台風が次々と日本列島にやって来たため、瀬戸内沿岸で雨天の少ない神戸でも荒天が続いた。
幸いにして台風被害は大したものではなかった。だがその期間中、観光の目玉となっていたイベントは、軒並み中止あるいは順延した。
そして晴天となる今日、本来日時をずらして開催されるはずだった、近隣神社の祭などが順延開催する、ブッキング状態になってしまったのだ。
聞けば台風通過中の時点で、市の観光課だけでなく、警察や露天商協会などを含めて、大揉めに揉めたらしい。
夏休み期間中、連日どこかで行われる祭やイベントは、大金が絡む。露天で販売するものの仕入れや人材派遣、花火業者など、間接的に絡むところまで話は広がる。
そして分散開催の予定だったものを集中させても、なにも変わらないというわけにはいかない。物や人が足りなくなるのはわかりきっているし、見通し通りの収入を得るとは限らない。
更には人出まで集中してしまう。夏らしさを満喫しようとする人々が、各地で日にちを跨いで分散していたはずなのに、一気にイベント目当てで集中することになる。
金銭の問題だけでなく、警察や交通会社も新たな対策を考える必要が出た。
そのお鉢が当日の今日、支援部への協力要請として回ってきた。例年以上の人出が見込まれる、しかも突発的な状態。なにが起こるかわからない予防策として、人数をかき集めるよりも幅広い対応が可能な《魔法使い》に、急遽出動を求められたのだ。
「こういう時にツラ出したがる暴走族とっ捕まえるとか、法律違反ですけど花火作れっつーなら、まだ理解できますわよ?」
それだけならいい。仕方ない事態だと、部員はきっと共通認識として理解している。
コゼットは金髪頭をガリガリかき、しかめ面と疑問形で、オマケで伝えられた依頼について文句を吐く。
「ですけど、なぜわたくしたちを見世物にしようとしやがるんですわよ?」
「市のお偉いさんに頼まれたのだよ~。なんか盛り上がるコトやってくれないかってさ~」
「充分盛り上がる見込みなんですから、客寄せパンダは必要ねーでしょうが。しかも宴会芸みたいに当日言うな」
「いやぁ、《魔法使い》を振興事業の一環に組み込めないかって、前々から会議開いて真面目に考えてたらしいよ」
「もっと別のことに時間使えっつーの……」
「神戸サンボーホールで少年マンガ的武闘会をリアル開催とか」
「プロレスで頭ぶつけるくらい天井低い場所で?」
「ノエビアスタジアムで某児童小説の魔法使い学校でやってた箒に乗った玉入れ競技を完全再現とか」
「名前がコロコロ変わるサッカー場はともかく、人数足りてねーですわよ。あと版権の関係で、出版社か大阪のテーマパークから苦情が来ません?」
「三宮の知名度アップ」
「兵庫県民以外、神戸の中心が三宮って認識すらねーですわよ」
「新開地の活性化」
「風俗街がダメなら聖地として売れ。ファミコン黎明期、連続殺人事件の舞台になったんでしょう?」
「ミネラルウォーターとして販売している六甲の水を各家庭に」
「淀川の水が飲めない人がそれ買ってんでしょう」
「全国ご当地ヒーローショーとカレーサミットの定期開催」
「やりたきゃ予算確保してやれ。しかもそれ確か、長田区で開催したサブカル地域振興イベントの一部だったでしょう」
「神戸市環境局のPRキャラクター・ワケトンの全国展開」
「ゆるキャラブームの流れに逆らってるブタをどうする気ですわよ? つーかほとんど《魔法》関係ねーじゃねーですの」
神戸市民以外は置いてけぼりなローカルネタはさておいて、気を取り直してコゼットは話を続ける。
「そもそもわたくしたちの部活動に、見世物なんて含まれてねーでしょう?」
「いや、関係なくはないでしょ? この部は社会実験チームだよ? 一般人の前にこういう形で《魔法使い》が出て、どういう反応があるか。立派に社会実験の一環でしょ?」
「警察に借り出されて犯罪者とっ捕まえたりしてますし、《魔法使い》嫌う連中だって居やがりますし、そうでなくてもどっかの国やら軍事組織やらから命と身柄を狙われてますのよ? そんな表舞台に出たら、なにが起こるものやら」
「その時は返り討ちすればいいだけでしょ?」
「イベントまっ最中に戦えるか!?」
「それを見世物だと言い張れば万事おっけー」
「巻き添えの責任持てねーですわよ!」
顧問と部長の言い争いが始まった。
外部からの圧力があっただろう、つばめの言い分もわからなくもない。しかし現場判断は、どう考えてもコゼットの方が正しい。
結論は見えているが、これでは話がまとまるまで長引きそうだと判断すると、黒髪黒瞳純日本人なので先ほど反応しなかった堤十路は、ナージャに目配せする。
そして投げ出していた鞄を手に、やはり反応しなかった木次樹里に声をかける。
「俺たち今日も夏期講座に出るから。部活のことで進展があったら連絡くれ」
「あ、はい。わかりました」
連絡のために顔を出した部室を出て、学生鞄と手提げ袋を持ったナージャと共に、高等部校舎へと足を向けた。
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「お弁当、今日も十路くんの分も一応作ってきましたけど、どうします?」
「さんきゅ。悪いな。ありがたくご馳走になる」
十路もナージャも高等部三年生――受験生だ。そして二人とも成績そのものは悪くない。
というより、一般平均より求められる立場だった。現代の《魔法》とはオカルトではなく科学。その力を行使するのに、《魔法使い》は高等教育レベル以上の理数系知識が必須となる。
更には前職は、十路は陸上自衛隊の非公式特殊隊員。ナージャはスパイ組織に所属していた非合法諜報員。国際的な活動を行っていたため、語学もそこそこには堪能している。
しかしただの学生としては、楽観できるほど優秀でもない。科目によって落差があるため、総合すれば上の下から並の上といった程度だ。
「十路くん、今日テストって話でしたけど、結局勉強しました?」
「いや、特別には」
「おぉー。勇気ありますね」
「そういうナージャは?」
「一夜漬けくらいです」
「実力テストなんだから、急場しのぎの勉強しても意味ないだろ」
加えて、二人とも第一志望は、同じ敷地にある大学部理工学科への繰り上がりにしている。
その偏差値は、とても低いなどと言えない。理学・工学の関連分野においては、《魔法》研究都市・神戸にある学校ということで、国内上位に数えられる水準を持つ。
理工学科在籍のコゼットが、ほぼ毎日支援部に関わっていられるのは、部が特殊で彼女が部長だからだけではない。単位を諦めない限り、普通の学生は課題やレポートに追われてそんな事していられない。
単純に彼女が優秀だからだ。論文博士とはいえ既に学位を持ち、七ヶ国語を操り、一部の講義も免除されている才媛と比べれば、十路もナージャも見劣りする。
いざ入試となれば、学院理事長が責任者の特殊な部活動に参加しているせいで、多少オマケしてもらえるかもしれないが、周囲の目もある。贔屓で進学など言われないためには、最低限実力で合格できる学力は身につけておかなければならない。
「それにしても、この夏は結局、どこへも遊びに行けそうにないですねー……」
「仕方ないだろ。部が特殊ってのもあるし、俺たち受験生だぞ」
だから彼らは部室から離れ、高等部校舎へ足を向けていた。
学校自体は夏季休暇期間で、授業は存在せず、多くの学生たちは各々のために時間を使っている。
なのに二人が校舎に向かっているのは、参加希望者を募って有料で開かれる、学習塾主催の夏期講座に出るためだ。
普通に考えれば、学校で学習塾の授業を行うなど、ありえない。しかし学校の授業で基礎を学び、塾でその理解を深めるのは、個人単位ではずっと行われていたことだ。そのため学校で学習塾の講座が開かれることも、近年では進学校ではある。
修交館学院の特別夏期講座は、自分である程度はカスタマイズできる仕組みだった。夏休み全部を一日中勉強に潰すことも、半日だけにすることも、期間を短期・長期にすることもできる。
十路は神戸で過ごす初めての夏の上に、特殊な部活動の様子が不明であったため、念を入れて時間を作る形にして、八月中旬からの全日短期集中型で申し込んでいた。日頃なにかと依頼が多い運動部は、やはり大会を控えた七月から八月上旬が一番の山場になり、盆を過ぎれば支援部も時間に余裕が生まれるだろうと見込んでいた。
「去年はあんなに遊び倒したのに」
「おい。元ロシア対外情報局非合法諜報員。スパイ活動で潜入したなら仕事しろ」
「いやいやいや。遊びも諜報活動の一環ですよ。学校の皆さんと仲良くなって地盤作りをしておけば、その後の活動が楽になるというものです」
「遊ぶ時、何割仕事の意識があった?」
「すっぱり忘れて遊んで、報告書書く時だけ十割で仕事してました」
「……やっぱり裏稼業は向いてなかったな」
「あはは~……」
ナージャは本来講座に申し込んでいなかったのだが、急に気を変えたらしい。つばめに頼み、申し込みの終わった講座に、理事長強権を発動させて捻じ込んでいた。
やはり考えを変えたのは、激しい戦いの末に国の機関との関わりを捨て、総合生活支援部に入部することになったからだろうか。
とはいえ、十路が前日に『明日から夏期講座で緊急時以外部活できない』と伝えて、次の日『今日からわたしも夏期講座です』と伝えられた即応ぶりだったが。ついでにナージャが弁当を作ってくるので、昼休憩時間に一緒に広げる事態が発生しているが。あと同じマンションで生活するようになり、菓子と勉強道具を持ってたびたび十路の部屋を訪れるようになったが。しかも他愛ない内容のメールが増えたような気もするが。
彼女がなにを目論んで行動しているかは考えない。ただ二人でいる時間が増え、存在感を示すようになった程度だ。警戒の必要もなかろうと、十路は放置している。
「そういえばお盆、下宿とか一人暮らししてる人は大抵帰省してますけど、支援部だとそういうのないんですか?」
思い出したようにナージャが問う。夏休み期間も支援部の面々は、なにか個人的な用事がない限り、いつも部室に集まっていた。
「事件が起これば容赦なく呼び出される部の性質上、長期の旅行はできない。あと《魔法使い》の海外渡航は面倒。国家公務員の《魔法使い》でも手続きが複雑なのに、俺たちみたいな所属なしは出国できるかも不明」
「偽装・ハーフを含めた異人組はともかく、日本人お二人は?」
「木次は市内だから、実家に帰るもなにもないだろ」
盆ともなれば、普段県外で暮らす友人知人との再会ともなる。彼女の実家のレストランバーは期間も開店していたため、そういった場に使われ忙しかったのだろう。呼び出されて手伝っていたくらいだ。
一応は離れて生活していても、きっと帰省という概念が樹里にはない。
「俺の場合、実家がないからな……墓参りも夏休み前に済ませたし、改めて盆に行く必要もなかったし」
十路は何気ない口調を心がけて伝えたが、横目で見るナージャの顔が歪んだ。
「あ……ごめんなさい」
「謝るな。そうやって謝られると、微妙な空気になる」
何気ない口調にした意味はなかった。
その意は遅れて伝わったか、ナージャはわずかな間『へ』の字にして考え、再び口を開く。
「…………失礼ついでに聞くと、十路くんのご家族って、どんな人だったんですか?」
「それくらい調査しただろ?」
「まぁ、そうですし、言いにくいなら聞きませんけど……お話の流れですよ」
映像でもない又聞きの情報では、今は亡き人々への感情など、推測以上のことはできない。当人の口から直接語られる顔色や口調、仕草から察するしかない。
ナージャの意図もそんなところか。非合法諜報員としての考えが抜けないのか。
とはいえ隠すような情報でもないから、十路も応じるが。
「だけど俺、あんまり親の記憶ってないんだよな……小学校に上がる歳で育成校で寮生活始めたし……普通の親だったとしか……」
顔はもちろん思い出せる。ただ、思い出す両親の姿は、本当になんでもない日常の一場面しかない。
台所に立って料理する母親の姿。食卓で新聞を広げる父親の姿。抱え上げられての入浴。頭をなでられた手の大きさ。
冷たい両親ではなかったのは断言できる。長期休暇で寮から実家に帰った際には、温かく出迎えられた。誕生日を祝うのは無理であっても、クリスマスにはプレゼントを手渡された。
だから最低年に一度は墓参りに行く程度には、亡き両親を敬愛している。
ただ、多くの人々ならば経験しているような、ホームドラマでなにげない日常として描かれるような場面ばかりで、『こんな人だった』と説明できる強烈な思い出がない。
更には幼い頃に住んでいた家は、もう存在すらしていない。寮生活で私物は最低限にしていたため、思い出に浸る形見にできる品もほとんど処分してしまった。
「あと話せるのは、親父は弁護士で、お袋はその事務所手伝ってたくらいか?」
「十路くんが妙に法律に詳しいの、だからですか?」
「どこが詳しい?」
「部活で交戦前に、罪状を宣言するじゃないですか」
「ボンヤリ覚えてる程度だから、詳しいとは言わんだろ。刑法何条懲役何年罰金何円なんて細かく覚えてない」
わずかな形見として、六法全書は手元に残しているので、多少は目を通している。しかし非公式特殊隊員の任務で少なからず関わる内容のため、うろ覚えでも記憶してしまった面が強い。
「将来とか、どう考えてるんですか? やっぱり弁護士とか裁判官ですか?」
「俺がそういう仕事を選ぶと思うか?」
「いいえ……自分で訊いてなんですが、問題は裁判で言葉を弄するより、拳で解決する方を選ぶ気がしますね」
十路も否定はしない。ナージャの言葉に釈然としないものを感じても、自覚はある。
それ以上の理由がある――いや、理由がないため、反論はできない。
「将来なぁ……大学進学はまぁいいとして、その先なんて考えてないな」
きっと多くの高校生はそうだろう。
五年後、一〇年後に明確なビジョンを抱き、現在を努力しようと思っても、そう簡単には未来予想図を描くことができない。
だから学校に通っている。多くの者は使わなくなる知識を、これでもかと叩き込むのは、可能性の下準備だ。適性を見極めて、基礎の基礎であろうとも、未来に結びつくなにかを築くための土台作りを行う。
そして受験する。問題の先送りになろうとも、学生という身分と、未来の選択に必要な時間を得るために。
「ナージャは?」
「そうですね……」
考えたと言うより、口を動かし話すか話すまいか迷った様子を見せたが、彼女は小さく頭を振る。
「わたしもそんな感じです。確実なのは、おめおめロシアに帰れる立場じゃないですし、このまま日本で生活することになるでしょうね」
「俺たちの場合、未来は本当に見通せないからな……」
普通の学生は、自分が死ぬ可能性など考えない。それでも未来を描けない。
けれども十路は考えてしまうから、未来を描けない。
のん気に学生生活を送っていても、あらゆる国や組織から命と身柄を狙われるワケあり《魔法使い》なのだから。
今の生活を保障してくれている社会実験チームも、先々ではどうなるかわからない。
ただでさえ『普通』は、異常な《魔法使い》たちであれば、尊いものだと知っている。
だから今の生活は、なにかあれば消えてしまっても不思議ない、儚い時間なのだと理解している。
そんな意味で十路は漏らしたのだが、ナージャは故意にネコ科の笑みで別解釈をした。
「そうですね。十路くんが支援部の女の子を孕ませて、来年あたりお父さんしてるかもしれませんし」
「……ガムテープで目張りしたロッカー用意してやるから、小一時間ほど入っていようか?」
「トラウマを刺激する陰湿はやめてください!?」
「だったら俺を歪ませるな」
暗所恐怖症のナージャに言葉だけで反撃し、軽いため息を吐いた時、十路のスラックスで携帯電話が震えた。
同時にナージャにも着信があったらしい。スカートのポケットから携帯電話を取り出した。
届いたメールの送信先は連名で、樹里から送られたものだった。
「結局、お祭に行くんですね」
「部活だけどな」
「つまんないですね……」
「人手不足の警備に借り出されるだけ、しかも夜だけになったみたいだし、まぁマシな部類じゃないのか?」
小さな息を吐き、携帯電話をポケットに戻し。
そしてナージャを見て、先ほど十路自身が口にした不安要素を思い出した。
「……大丈夫なのか?」
「ほえ? なにがです?」
「だって、夜の部活だぞ?」
「あぁ~。お祭ならどこも明るいでしょうし、花火も上がるんですから、大丈夫ですよ」
ナージャもポケットに携帯電話を戻し、笑顔を向けて。
「それに、最近は少しだけ、暗所恐怖症もマシになってるんですよ」
「ならいいけど……なんでまた?」
「ふふっ。なんででしょうね?」
なぜか空けた左手を、十路の右腕に絡めてきた。露出した腕にカーディガンのごわついた感触と、更にその向こうの柔らかさを惜しげなく伝えてくる。
「くっつくな。暑苦しい」
「まぁまぁ。教室までなんです。いいじゃないですか」
いつもと変わらない、騒がしくも平穏な時間だった。




