『 カバーイラスト & 短編「夜陰」 』
書籍のみ読まれている読者様へ。
三巻のネタバレがありますのでご注意下さい。
もしよろしければ、三巻を読まれてから、
お時間のあるときに、覗いていただけると嬉しいです。
Web(アネモネ : 貴方を信じて待つ:僕とアルトの休息)までを、
読んでいただいている読者様は大丈夫です。
【 書籍:カバーイラスト & 短編「夜陰」 】
sime様に描いていただいた、書籍のカバーイラストです。
転記・転載は禁止です。
よろしくお願いします。
目にするたびに惹かれます。
厳かな雰囲気に、その静謐な空気に息を飲んでしまいます。
短編どうしようかとかなり悩みました。
sime様のイラストから、インスピレーションをいただき、
スランプを抜け出せました。
なので、今回……本編に描きたいことを、
すべて描いてしまったので。
これ以上は蛇足かなと、薄浅黄と話していたんです。
それでも何か……本編の邪魔にならないような、
短編を綴りたいと考えた結果、本当に短い文章ですが、
これなら大丈夫じゃないかと思うものが紡げたので、
読んでいただけると幸いです。
【リヴァイル】
夜何かが動く気配を感じて目を開ける。
周りを見渡し確認すると、
アルトとサイラスは眠っていたのだが、セツナがいない。
どこにいったのかとその気配を探ると、
どうやら洞窟の外にいるようだ。
こんな夜更けに何をしているのか気になり、
気配を消して移動する。
わざわざ気配を消したというのに、
この男はたやすく私を見つけ声をかけてきた。
「あれ? 起こしてしまいましたか?」
「……こんなところで何をしている?」
「寝付けなかったので、お酒を飲んでいました。
リヴァイルさんも飲みますか?」
飲むと口に出しかけるがやめた。
「いらん」
「弟と親睦を深めようと思わないんですか?」
私の思考を読んだかのようないらえに、内心で舌打ちをした。
「お前と親睦を深める理由がない」
「そうですか」
セツナはそれ以上何もいうことなく私から視線を外し、
どこかを見つめながら酒を口に含んでいた。
その方向に何かあるのかと目をこらして見るが何も見当たらない。
そしてふと……ひらめくように私の脳裏に妹の姿が浮かんだ。
「……お前が見ている方向に妹がいるのだな」
それは確信だった。
「……」
なのにこの男は何も答えない。
私がここから離れられなくなるかもしれないと、
警戒しているのかもしれない。
「今更……妹に会いにいく愚かなことはしない。
それが、妹の望みなのだろう?」
「竜族はみな、貴方達みたいに意思が強いのでしょうか」
「どういう意味だ」
「僕は、逢いにいきたくて仕方がない」
「……」
ああそうか。
明日別の大陸へと移動するから、
こいつは一人で別れを惜しんでいたのか。
妹の姿が見えずとも……その気配を感じなくとも、
存在する方向をただ見つめ酒を飲みながら。
「お前は二度と会わなくてもいい」
私の言葉にセツナがチラリとこちらを見たが、
すぐに視線を元へ戻す。
「お兄さんはそろそろ寝たらどうですか?
そのヘロヘロの魔力では竜国まで飛べませんよ」
「ヘロヘロではない。
そして……お前に心配されるいわれはない。
私はここに立っているだけだ」
別に戻ってもよかったのだが、なんとなく立ち去りがたかった。
もしかしたら、セツナにあいつの姿を重ねてしまった一瞬が、
あったからかもしれない。
セツナの背に背を向けるようにその場に座る。
私のここから離れる気がないという意思表示に、
セツナは軽くため息をついてからこちらを見ることなく、
グラスを私の横に置いた。
「竜水です」
竜水ならばと思い飲んでいるとセツナが
「いつか酒を酌み交わせるといいですね」と宣った。
私の答えなど知っているだろうにと、
鼻で笑いながらそれでもあえて答えてやる。
「お前が妹と別れたときに酌み交わしてやろう」
「……」
それからは時々会話を交わし、時折憎まれ口を利きながら、
私達は朝焼けが訪れるまでの短くない時間を過ごしたのだった……。
-End-
ありがとうございました!





