異様な一日
今回約1500文字とかなり短めになっております。申し訳ありません。
湿気で頭ガンガンする……こんな時代だし体調だけは整えねば
せめて夜にも出来ればもう一話上げたいと思ってます。
……何かがおかしい。
拭い切れない違和感を抱えながら俺は悶々とする。
一体どうしてこんな事になってしまったと言うのだろうか?
予め前置きしておくと、別に俺自身に異常が起こっている訳では無い。
体調はすこぶる良好。
指だって一晩経てばすっかり本調子に戻った。
精神状態も……まぁ先週よりかはいくらかマシだ。
全くもって今の俺は平常そのものである。
だと言うのに……
「あの、kakitaさんって本物なんすか?チーター相手に無双してた……」
「本物って……まぁうん、猫宮さんの配信には居たけど」
「やっぱそうっすよね!?声一緒だし!うわヤバい、俺昨日の試合見てファンになりました!」
名も知らぬ彼は怒涛の勢いで距離を詰めてくる。
ファンって……本気で言ってるのだろうか?
「あ、ありがとう。とりあえずこのマッチ宜しくね」
「はい!!よっしゃ~後でネコ仲間に自慢しとかなきゃ」
まるで有名人を相手にしている様な態度に首を傾げる。
いや、実際彼の認識的には俺は有名人なのだろう。
だからこそここまで露骨に尊敬の念を露わにしているんだ。
更に言えば、こんな対応をされるのは初めてという訳ではない。
もう今朝から十数戦程マッチを行っているがほぼ毎回ペアを組んだ相手はこうなる。
「嘘、夢じゃ無いよね!?今年入って一番の幸運なんだけど!!私明日死ぬの?」
「今年一番はいくら何でも過言でしょ」
まるでアイドルと対面したかの如く感動し始める女子も居れば……
「よよよよろしくお願いします!おお俺全力尽くすんで、足引っ張ったら本当ごめんなさい!」
「落ち着いて、大丈夫だから。気軽にエンジョイしていこう!ね?」
「はははははい!!くれぐれも粗相のないよう務めさせて頂きますぅ!」
と、尊敬を通り越してすっかりビビりつくしている男すら居た。
いやさすがにこの人に至っては怖がりすぎだ。俺は危険な犯罪者か何かか?
異常なのは総じて周りの反応。
皆俺を見るなり慌てて頭を垂れて崇め始めるのだ。
別に敬意を抱かれる事自体に悪い気はしないが、毎回これでは逆に疲れてしまう。
出来れば早急に何とかしたい所だ。
まず原因を探るべきだが、俺は既に猫宮さんの配信だと確信していた。
そもそもあのマッチは参加者12人。従って試合を見ていた人間はそれだけと言う事になる。
にも拘わらずネオコロシアムのプレイヤーほぼ全員に知れ渡っているのは普通ならあり得ない。
となると多数の人間に広めた存在がいる筈なのだ。
試合を撮影していて、尚且つ大人数の元に晒せる程の知名度を有した者。
条件に合致するのはどう考えても彼女しかいないだろう。
俺は再び猫宮さんのチャンネルにアクセスしてみた。
そして件の動画の再生数を見て、全てを察する。
「はいはい。そう言う事ね」
【今日もネコでアルティメット帯潜るにゃ~】2:38:17
172万回視聴・16時間前に配信済み。
うん、そりゃ知ってたよ。
だって俺のプレイが広がる起点なんてここ位しかないんだし。
話題になってるんだからそれなりに再生数が伸びてるであろうことも予想できてた。
二時間半も40000人以上集めて配信続けてたんだからまあこうなるだろうな。
うんうん、全然予想の範疇だ。
そろそろ正直に言おうか。完全に予想外である。
数字を目の当たりにした瞬間に、全身から滝の様な汗が溢れた。
待て待て、書いてある事おかしくないか?
172万回再生?ひゃくななじゅうにまんかいさいせい?
まだ公開されてから24時間と経っていないにも関わらずアーカイブの再生数は既にミリオンを易々と超えていた。
脳が理解を拒んでいる。
「おかしいだろこれ……17万の間違いじゃないのか?」
思わずそんな疑問を呈してしまうがそれはそれで少なすぎる。
いやでも、せいぜい50万回位だと俺はずっと思っていた。
何度目を擦っても、頬をつねっても、頭を叩いても。
現実と同じように再生数は何も変わりはしない。
異様な数字の伸びように納得できない俺だったが、調べていく内にもう一つの要因を知る事になる。
そう、切り抜き動画の存在だ。
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改めて至らぬ点が多く申し訳ございません。
出来る限り一歩一歩精進していこうと思うので温かい目で見守っていただけると嬉しいです。




