ウェルラントの秘密
サーヴァレットで刺されて消えなかった?
スバルの言葉に俺と親父は目を丸くし、ウェルラントはため息を吐いた。
「……残念ながら私は普通の人間だ。ただ少し特殊な術を受けているおかげで、サーヴァレットに抗える立場にある」
「サーヴァレットに抗える?」
俺が訊ねると、彼は小さくひとつ頷いた。
「サーヴァレットが魂のエネルギーを食らう話は今した通りだ。しかし、魂が無ければ食らわれることはない。……つまりそういうことだ」
「お前は魂が無い存在だっていうことです?」
スバルが目を瞬く。
「ここに無い、身体の中にない、ということだ。私の魂は別の場所にある。肉体から離れた魂は傷付くことがなく、身体へのダメージの影響を受けつけない。逆に身体は魂に干渉されているから、怪我などの変化はすぐに修正されて正常な状態に戻される。当然死ぬこともない」
そう言えば昼間に腕から流血していたのに、ウェルラントはすでに包帯をしていない。傷も見当たらない。
「……ウェルラントが不死身って言われるのは、そのせいだったのか」
「どうせ死なないなら、お前がメインで戦う方が早くないです?」
「できるならしている。しかし、私では何もできない。サーヴァレットには刺されても死なないというだけだし、再生師の力を得ることもできないのだ」
「だったら、その魂を別の場所に移すっていう術をターロイにも掛けたらいいんじゃないか?」
横から親父が提案すると、彼はあっさり首を振った。
「残念だがそれはできない。この術には発動の条件があり、おまけに術の解除方法が未だに分かっていないんだ。……術などと言っているが、これを呪いだと言うものもいる」
そう言ってウェルラントが眉間にしわを寄せる。彼自身、不死であることを疎んじているようだった。
「そもそも、アカツキの祠を早く開けたかったのも、前時代の書物などが出てくるのを期待したからだ。この術……コネクトは前時代にかなり研究されていたらしいからな。術を解くヒントがあるかもしれない」
なるほど、だから俺が初めてミシガルを訪れた時、大金を払ってまで俺を祠に連れて行ったのか。
ここまでお読み下さった方、ありがとうございます。
さて、大変勝手ではございますが、この話は一度ここで切り上げさせて頂きます。
設定や登場人物が多すぎて話が散漫になり、1章があと更に八十話くらい続きそうなので……。
そんなわけで、設定や登場人物をざっくり削って練り直し、ここと別で同じ話を一から書き直したいと思います。ターロイの性格なども改変します。
今までよりも話がサクサク進む予定(多分)。
メインのタイトルは変わりません。副題は変えます。
9/13から再連載を始めたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。




