表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された侯爵令嬢は、元敵国の人質になったかと思ったら、獣人騎士に溺愛されているようです  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/114

46

 目の前がチカチカする。折角思い出した記憶が全部どこかへ飛んでいくかと思った。頭をぶつけた衝撃で舌を噛んだみたいで、口の中に血の味が滲む。

 わたしの方はこんなにもダメージを負っているのに、シオンハイトの方はあまり痛がっていないようだ。獣人の頭蓋骨、強い……。


「ご、ごめん、ララ……ッ! まさかここにいるとは思わなくて、頭は? 大丈夫?」


「……大丈夫」


 わたしは額を押さえながら、シオンハイトから目をそらした。

 目を覚ましたら、一番に、シオンハイトへ謝りたいと思っていた。全部忘れていてごめんなさい、今思い出した、と、言おうと、思っていた。

 それなのに、考えていた文言は全部どこかへ消えてしまった。別に、今、頭を打ったからではない。


 ごめん、と、一言伝えて済むような問題ではないと、気が付いてしまったのである。

 言う前に気が付いてよかった、と思う半面、彼になんと言っていいか分からなくなってしまって、わたしは口ごもる。

 それを、わたしの体調が悪いのだと勘違いしたのか、シオンハイトが余計に慌てだすものだから、余計にいたたまれなくなった。


「本当に大丈夫なの? もう一週間も起きなかったんだよ?」


「い、一週間?」


 わたしが無理やり部屋を連れ出されたのが昼過ぎ。そこからごたごたして、倒れて、意識を失ったとしても半日くらい寝てしまったか、と思っていたのに。そんなに意識がなかったとは思わず、わたしは思わず聞き返してしまった。


「……ねえ、あの日――」


 シオンハイトが口を開きかけて、首を横に振る。


「なんでもない。今はもう夜だから、寝たらいいよ。今から起きてもしょうがないし、まだ目が覚めたばかりなんだから」


 「起きたら話を聞かせて」と言いながら、シオンハイトはわたしの手を引っ張った。……シオンハイトも寝起きのはずなのに、手は冷たい。あんな場所で、そんな恰好では休めないのも当然だ。

 ……まさかとは思うが、わたしが一週間眠り続けていたというのなら、彼はあのソファで一週間睡眠を取っていた、ということだろうか。


 王族御用達のソファだから、そりゃあ、その辺の下手なベッドよりは寝心地はマシかもしれないが、ソファはソファ。寝るためのものじゃない。体格的にもあまり合っていないように見えるし。

 わたしを寝かせようとするシオンハイトの手を、わたしは引っ張った。


「……シオンハイトは、こっちで寝ないの」


「――え」


 わたしと手を繋ぐ、シオンハイトの手が、わたしの手の中でぴくりと動いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ