第9話 <使い魔の卵>
「な、なんだったんだ一体……」
正体不明の骸骨は幻だったのではないか。
そう思いたかったが、首筋に手をやると、たった今つけられた傷から血が出ているのが確認できた。
『もっと強くなれ人間よ。さすれば我が冥界へといざなってやる』
骸骨の言葉が耳から離れない。
あれはどういう意味だったのだろうか……?
俺は少しの間、その場に立ち尽くしていた。
だが、何気なく足元に目線を落とした時、そこに気になる物が落ちていることに気付いた。
「なんだ、これ……?」
地面に落ちていた物を拾い上げ、観察する。
それはカラフルな模様の卵に見えた。
大きさは野球ボールくらいで、表面はつるっとしている。
「もしかして、さっきの骸骨が置いていったのか?」
誰にともなく問いかけるが、当然答えは返ってこない。
そこで、俺はステータス画面を開いて、それがアイテムなのかどうかを確かめてみることにした。
「ステータスオープン」と口にして自分のステータスを表示させると、画面をスクロールし所持アイテム欄を開く。
するとそこには<使い魔の卵>という文字があった。
「使い魔の卵……?」
それは俺が今までネットを駆使してかき集めた情報の中にはないアイテムだった。
俺は使い魔の卵とやらの説明文に目を通す。
それによると、使い魔の卵は12時間所持し続けると何かしらのモンスターが生まれてくるらしい。
そしてその生まれてきたモンスターは使役することが出来るようだった。
「へー、生まれてくるモンスター次第では役に立ちそうなアイテムだな」
感心してそう口にするが、俺の情報網にないアイテムである以上、使い魔の卵はレアアイテムである可能性が高い。
なので俺は、モンスターを孵化させることはせずに国に買い取ってもらうことに決めた。
ただそのためにはまず、このダンジョンを脱出しなくてはならない。
目下のところ俺は迷子状態なので、早いとこ見知った通路をみつけないとレアアイテムを売るうんぬんの前に俺はダンジョン内で遭難してしまう。
もしそうなったら目も当てられない。
「うーん……とりあえず、こっちに行ってみるか」
俺は自分の直感だけを頼りに進む道を定めると、棒のようになっていた足を動かし一歩ずつ歩み始めるのだった。




