第53話 ミノケンタウロスの最期
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NAME:木崎賢吾
LV:12047
HP:15287/15287
MP:8395/8395
攻撃力:14992
防御力:13641
素早さ:11898
運:999999
スキル:幸運値上昇、獲得経験値増、緊急脱出、ホーリーエッジ、グラビティハント、オーバーリリース
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「さてと、ここからがいよいよ本番だ」
俺は気合いを入れ直すと、黒いホイッスルを口に当て、息を吹き込んだ。
ピーッ。
と甲高い音が辺りに響き渡る。
直後、地面が揺れ始めた。
さらに足元には魔法陣が現れる。
全身がまばゆいばかりの光に包まれていき、光が最高潮に高まった瞬間、俺は裏ダンジョンへといざなわれた。
◆ ◆ ◆
久しぶりに見る石造りのダンジョン。
見上げれば、天井ははるか上の方にある。
感慨深い気分に浸っているとそこへ声を降らせてくる者がいた。
『貴様は、あの時の人間か?』
振り向くとそこにいたのは体長10メートルはあるモンスター、ミノケンタウロスだった。
『逃げたと思ったら、オレ様に殺されにわざわざ戻ってきたわけか? ふんっ、馬鹿な人間だ』
大きなヤリを手にしたミノケンタウロスが、嘲笑を浮かべ、こっちを見下ろしている。
「殺されに戻ってきたわけじゃないさ。今の俺はあの時の俺とは違うからな」
『ははははっ。どこが違うというんだ。どこも変わっていないではないか』
「そう見えるんなら、お前はその程度のモンスターってことだ」
『貴様、調子に乗っていると、あとで苦しむことになるぞっ』
ギロリとにらみつけてくるミノケンタウロス。
その目には明らかに殺意が宿って見えた。
そして次の瞬間、手に持っていた大きなヤリを俺めがけ一気に振り下ろしてきた。
あれ?
遅い……?
俺はその攻撃を横に移動して難なくかわす。
するとその俺の動きをとらえきれなかったようで、ミノケンタウロスは、
『な、なんだっ!? き、貴様、今どうやって避けたっ……?』
驚愕の表情を浮かべる。
そこで俺は気付いてしまった。
大幅なレベルアップにより、俺の身体能力はミノケンタウロスのそれよりはるか上を行くものになっている、と。
「おい、お前っ。悪いことは言わない。今の俺の動きが見えていなかったんなら、お前に勝ち目はない。さっさと逃げるんだな」
『な、なにをっ、人間の分際で偉そうにっ!』
ミノケンタウロスは歯茎をむき出しにして激怒する。
その様子を見つつ、俺は「はぁ」とため息をついた。
「一応忠告はしたぞ。それでもやるって言うなら容赦はしないからな」
『馬鹿な人間め、オレ様が今まで本気だったと思うのかっ。手加減してやっていたことにも気付かないくせに吠えおって! だが、もう許さんぞ! 貴様は跡形も残らないほど粉微塵にしてやるわっ!』
そう叫ぶとミノケンタウロスはヤリの連続攻撃を繰り出してくる。
その迫力はすさまじいものではあったが、俺の目には襲い来るヤリの動きがよく見えていた。
なので俺はそれらを最低限の動きでかわしつつ、ミノケンタウロスに近付いていく。
『く、くそがぁっ! なんで当たらねぇんだぁぁっ!!』
ミノケンタウロスの足元まで移動した俺は、地面を強く蹴りそこから真上にジャンプ。
そして、強烈なアッパーカットをミノケンタウロスのあごに命中させた。
『ぐがぁぁっ……!』
体長10メートルの巨体が仰向けにズドーンと倒れ、地面が大きく揺れる。
『……ぐ、くっ……』
勝負あった。
今の俺の一撃でミノケンタウロスはヤリを手放していて、目の焦点も定まってはいない。
足にも力が入らず、身動きが取れない状態に陥っていた。
もうしばらくすれば勝手に塵となって消えゆく運命だろう。
そんなミノケンタウロスの顔のそばまで近寄っていくと、俺はミノケンタウロスに話しかけた。
「なあ、お前。死んで消えていく前に俺にこの裏ダンジョンについて、お前が知っていることを教えてくれないか?」
『……ぅぐぐ……ま、前にも言ったが、が、骸骨のようなモンスターなど……し、知らない……』
最後の力を振り絞り俺の問いかけに反応するミノケンタウロス。
自分でも死期を悟っているようだった。
「じゃあこの裏ダンジョンには、お前のほかにどんなモンスターがいる? どんなアイテムがあるんだ?」
『……ふ、ふふっ……こ、ここは全部で、5つのフロアで成り立っている……モ、モンスターは、そのそれぞれの階層に、1体、ずつしかいない……このオレ様のようにな……』
息も絶え絶え口にする。
「全員人間の言葉を喋れるのか?」
『……そ、そうだ……い、言っておくが、そ、そいつらはおれより、ずっと、強いぜ……』
「アイテムは? どんなアイテムがあるんだ? ……ん? おい、聞いてるのか?」
『……ど、どうやら……こ、ここまでのよう……だ……に、人間よ、せいぜい……あ、あがくんだ……な……』
そう言い残すとミノケンタウロスは黒い粒子となって宙に舞い散った。
俺はただそれをじっと見届けていた。




