表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/471

74.初見


「もう結構よ! 好きにしなさいよッ」


 バターン、バンッ! カッカッカッ――コツ、コツ……。


 スピナは目に鬼火を燃やすかのように怒り、言葉を吐き捨てる。そして急ぎ足で外へ向かうと壁に当たり開いたままだった扉を激しく閉め、オニキスの部屋から出て行った。


「はぁ、まったく。いつも嫌な思いをさせてしまってすまない、ジャニス」

「いえ、私は――お気になさらないで下さい」

「そういうわけには……ただ、なぜあんなに短気ですぐに激高するのか」

「旦那様の方こそ、大変なご苦労をされていることと存じます」


 いつもであればスピナの行動をそう重く考える事のないオニキスであるがこの日は奇妙な胸騒ぎがし、無性に気がかりであったのだ。が、しかしすぐに気を取り直しジャニスティに気さくに笑いかけ、向き直る。


「はっはっは、君に心配されては大変だ! さて、朝食まで時間もない。本題といこう、()()()()?」

 そう言うとオニキスは部屋の奥にある応接ソファに手を向け、案内する。いつかの名で呼ばれたジャニスティは少し、驚いていた。


「……旦那、様?」

「すぐに分かったさ。その黒の美しい上着(マント)はエデ、であろう?」

「――?!」

「ははっ! そう驚くな、ジャニー。此処には私たちだけだ、普通に話して良い。さぁ、座りなさい」

 お茶は出せないがねと冗談を言い場を和ませるオニキスは笑いながら、先にソファに座る。


 その様子を見たジャニスティは驚きの顔から「そうだ、当たり前の事なのだ」とすぐに、安堵の表情になる。オニキスとエデ。自分よりも長い付き合いの二人である。まだまだ知らない事や理解していない事は山のようにあるのだなと改めて、気付かされた。


「ではオニキス。貴方がそう言って下さるのであれば、仰せのままに」

 そう返事をしたジャニスティは着けていた漆黒色のシルクマントを、外す。


――ぶわぁっ!!

「……うっふふ」


「な、何という? これはこれは――私の予想を遥かに超えるような、案件だったようだね」

 さすがのオニキスもジャニスティの腕から降ろされる可愛らしい()()を見て、笑いながらも驚きを隠せない。


 それを確認しつつジャニスティは若干の緊張を悟られぬよう平静を装いながら、話し始めた。


「クォーツ、ご挨拶を」

「ハイッ! お兄様」

 変わらぬ満面の笑みで答えるクォーツには、見上げたものである。


「お兄……? 今、なんと――」

 オニキスの顔から笑顔が消える。真剣な眼差しでクォーツの高い声に、聞き入り始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 又もや、ここで、四宮楓先生との感想文のダブりです。 この物語は、確かに、非常に上手く計算されて書かれています。極普通のラノベのような、行き当たりばったりの作品で無い事だけは確かです。 なの…
[気になる点] どうして、オニキスはスピナなんてヒステリックな女に好き放題させているんだろう。 少し、いやかなり腹が立っています。 アメジストさんをはじめ使用人にまでやりたい放題。 主としての自覚はな…
[一言] おお!! 「クォーツ」のお披露目だ!!(#^.^#) 続きが楽しみです♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ