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448.素敵


――タタタ~ぴょん!


「おぉっと、クォーツ」


「ウフ~♪ お姉様とお兄様は、ぽかぽか~の仲良しさんですのね♪」


「「――っ!」」


「んにぅ?」


「「…………」」


「おにぃーさま……おねぇさまぁ~?」


 しばしの沈黙が続く。

 その時間、何も分からないクォーツは一体どうしたのだろうかと二人の顔を交互にキョロキョロと眺める。


「ふむ」

(ここは坊ちゃまに、助け舟が必要ですかな)

 見守るエデが少しだけ心配し始めた、その時。


「クォーツ」


 雰囲気を変化させようと先に顔を上げたのは、ジャニスティだ。


 意を決した彼は敬愛するアメジストを真っ直ぐに見つめ、口を開く。



「言う通り……私達は仲良く、そしてとても素敵な家族だ」


 “にこっ”


――ドキッ!!


(ジャニスがとても嬉しそうに笑ってくれている? そんな風に私の事を、話してくれるだなんて)


「嬉しぃ……」



 アメジストの腕からするすると抜けすぐ満面の笑みでジャニスティに飛びついた、クォーツ。その愛らしい小さな身体から溢れる幸せの波動はアメジスト、ジャニスティ、クォーツ、三人の中で流れる微かな血の繋がりをより濃く強固に、結びつけていった。





 人族(ひとぞく)より成長が三倍遅いとされるサンヴァル種族純血の末裔、ジャニスティ。


 過去の話だがオニキスから声がかかるまではあの“終幕村”でただ生きるだけという長い期間を、過ごしていた。


 その過去は(すさ)んでおり、酷いもの。


 朝昼晩関係なく何かをする必要はない。

 誰にも縛られず淀んだ変化のない毎日。


 それ以上でも、以下でもない。


 ただ息をしているだけとの印象しかない“終幕村の者たち”の生活は、自由であり、不自由でもある。


 そこに【後悔】の言葉は、無いに等しい。


 楽しいだけを好む者たちばかりで何も考えていないようにも見える。しかしただ一つ、越えてはいけない一線がある。それは一歩踏み間違えれば何が起こるか分からないような虚空の水溜まりが潜んでいるということだ。


 皆、誤って足を踏み入れないように気を付けている。


 笑う【悪魔】の囁きが、聴こえようとも。


 誰の心にも必ず眠るとされる――“闇世界”。悪魔の手に落ち善悪も判らなくなった荒くれ者も、“終幕村”には居るのだ。


 ジャニー(現在のジャニスティ)はどんなに時が経とうともそのような者たちに染まることは無く、それどころかいつまで経っても会話はまともにしない、誰とも深く関わろうともしない、行動も常に独りで集会にも来ないと、ある意味有名な存在であった。


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― 新着の感想 ―
ジャニスティ様は孤高の人だったのですね!
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