447.紅潮
“むぎゅ~!”
「はにゅあ! お姉様かわいーの」
「んぇ?」
「ネェ~エデおじちゃまぁ♪」
「ふへぇ!? にゃふぇえで?(なんでエデ?)」
クォーツに頬をむにゅーっとされているアメジストは上手く話せない。
と、妹はそんなのお構いなしでキャッキャと笑い、はしゃいでいる。
「ぅんあ、クォーツ!」
(落ちちゃう!!)
バタバタと動くクォーツを抱きかかえたまま彼女は困惑しつつもチラッとエデの方へ、顔を向けた。すると清々しく笑むエデと目が合いアメジストは困りながら笑う。宝石のようにキラキラ輝く大きな瞳は自然と潤み瞬きが、増える。
「おやおや、はっはは。アメジスト様がお困りのようですな。はて……小さな御嬢様は、皆に何を伝えようとお思いですかな?」
エデは姉妹二人の仲睦まじい光景を眺めながらもアメジストの「少し困っています」な視線に気付きクォーツへと優しく、尋ねる。
すると今度は自分の頬を両手で包むとクォーツはにっこりとはにかみ、答えた。
「えーとえーとあのねです。お姉様のほっほぺが、とぉーってもぽかぽかしているの!」
「ほぇっ!? そんなクォーツ! 私は全然、ぽかぽかなんて……」
クォーツは自身が解る言葉でアメジストの頬が熱く紅潮していることを伝える。さらに恥ずかしくなった彼女は全力で否定をしていると一瞬、ジャニスティと目が合ってしまい火が出るほどに熱くなる。
(なんでだろう……とても恥ずかしくて)
「ほぉほぉ、なるほどですな……ふふ」
「えッ、エデぇまで、そんなに笑わないでぇ……」
そんな御嬢様の年相応な姿に微笑みながら話すエデの言葉に再度焦ったのはアメジスト。クォーツは「はゅ?」と不思議~と首を傾げ抱かれる胸にコトンと頭を預け彼女の顔を、見上げた。その興味津々なキラキラ期待の眼差しにアメジストはあたふた笑顔の表情を、返した。
その時エデの目線は真横に立つジャニスティへと向けられてゆく。
いつも通り、というよりは平静を装うように目を瞑り黙って立つジャニスティにエデはくすっと笑み、声をかける。
「いや、しかしですな。ジャニスティ様もアメジスト御嬢様と一緒で、赤く頬を染めていらっしゃる」
「お、おぃっ、エデ!!」
「ぽかぽか? わぁー本当ですの~お兄様もほっほぺが、あかいですー」
「赤くなどない! ほら、クォーツ? 少し暑いんだよ……私はいたって普通だが」
「ウーン? あつい~の……」
またまた不思議そうに首を傾げたクォーツが次にとった行動は――?




