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338.弁明


「ジャニー、一つ質問だが。君は隠し扉の中に――(はい)れた、ということかな?」


 オニキスは地下の部屋扉に寄りかかった体勢で腕を組みそう、問いかける。


「……」

(隠す必要はない。だって、そうだろう? 私は、自分の取った行動を間違っていたとは思っていない)


――後悔は……ないのだから。


 それでも彼の心には許可なく入ったことへの、後ろめたさがある。理由があろうともちろんその勝手な行動は褒められたものではないと反省していた。そう心から思っていたジャニスティは、少しの沈黙の後――。


「……はい。扉の存在に気付いたのが数ヶ月前です。それから数日後、安全確認をする為に中へ」


「なるほど」

 一言だけ呟きエデと顔を見合わせたオニキスは変わらず穏やかな顔をしている。それが逆に怖くも感じたジャニスティであったがきちんと自分の言葉で話そうと隠し扉の中へ入った理由を、説明した。


「旦那様……そしてエデも。誤解しないでほしい。私は、興味本意で隠し扉の先へ足を踏み入れたのではなく、あくまでベルメルシア家の屋敷を警備することが目的で行動したということを」


 彼は切に「どうかその思いだけはご理解下さい」と、頭を下げる。


「ジャニス、案ずるな。その考えは重々解っている」


 笑いながら言ったオニキスの答えに、ホッとしたのか。肩の力が抜け目を瞑ると彼は思わず心臓へと手を当て、安堵する。


「ありがとうございます。しかしそれでも、許可は得るべきだったと自らの行動を省察(せいさつ)します」


(ジャニス、君は本当に誠実なのだな) 

 ふわっと微笑んだオニキスはそのまま、沈黙。


 そして数分後――。


「いや、ジャニー……君があの隠し扉に入れたという事実は、責められることではない。むしろ、嬉しい知らせだと思うがね」


「……?」

(まただ……今夜のオニキスは、いつもと違う。含みのある言い方をする)


 そうジャニスティが思案している矢先、エデが会合の場所を此処へ変えた理由。そして様子の違うベルメルシア家当主の想いが、判明する。



 エデのテーブル回りの準備が整い最地下の部屋へと入った、ジャニスティ。


「これから話すことは一部、アメジストにも伝えたことなのだが」


 二人は椅子に腰掛けエデの入れた温かい緑茶が並べられるとオニキスは、話し始めた。



 オニキスは夕方に愛娘アメジストとも話した内容である妻、ベリルの事について。そして突然の別れとなったあの夜、その時に起こった出来事の詳細とスピナとの関係を、話した。


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― 新着の感想 ―
[一言] ここへ繋がってゆくのですね! 物語を支えているこの緻密な構成にはいつも頭が下がります!!
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