28.名前
――なんて美しく透き通るような瞳なの。
「まるで本当に……」
アメジストとジャニスティに囲まれ幸せそうな表情で二人を見つめる、その可愛い姿。そして美しく澄んだ瞳に、アメジストの心は惹き込まれて……吸い込まれていくようであった。
「うはぁ〜にゃ!」
「あら? お話しても良いって言ってくれているのかしら?」
レヴシャルメの子が返事をする時の元気いっぱいで微笑ましいその声を聞くと、アメジストは身震いをする程に愛おしく、手放したくないと思ってしまう。
「えぇ、きっとそう言っているのでしょう」
そう答えたジャニスティもまた、心穏やかに癒やされ幸せな気持ちになる。
「さぁ、おいで……」
アメジストはその子を自分の胸に抱きしめると、その柔らかな目元に優しく触れる。そして赤ん坊のようにふわふわとした肌触りの良い桃色の頬にくちびるをよせ、ふわりと軽くキスをした。
――アメジスト様の愛は、とても深い。
窓から射し込む陽の光で輝く二人を見つめるジャニスティは、まだ夢の中にいるようだと笑む。そして彼女を今まで以上に愛おしく感じ、この腕の中へ抱きしめたいという想いが生まれている自分に、気が付く。
「まるで……天使のようだ」
彼は目を細めながら自分の太ももの上で両手を固く握り、呟いた。
「うぅ♪」
頬キスに嬉しそうな顔で、満面の笑みを見せたレヴの子。そしてアメジストもほやっと微笑み、ゆっくりと話しかける。
「私からあなたに、お名前を付けたいと思うの。良いかしら?」
目の前に座るその子は名前と聞くと、りんごのように赤く頬を紅潮させた。そしてアメジストに飛びつくと、全身で喜びを表現していた。
ギューッ♡
「はぅ♪」
「うふ、こんなに可愛くて素敵なあなたに相応しいお名前を、私もう決めているの」
そう言って優しく頭を撫でながら、その小さな身体を大切に抱きしめ返す。
「どんな名前なのですか?」
そう話す彼の表情は柔らかく、アメジストの心をドキッとさせる。
「あ、あの。考えているお名前は“クォーツ”で……どうかしら?」
彼女は恥ずかしそうに名前を伝えた。
「はい、お嬢様。とても素敵かと」
「わふ♡」
「良かったわ、気に入ってくれたのね?」
そしてあの日と同じ言葉を、囁く。
「可愛い子ね。大丈夫、私が助けます、守ります」
「お嬢様、微力ながら私も」
――どこまでも貴女様と共に。
「ジャニス、ありがとう」
この瞬間ジャニスティは改めて、アメジストへの忠誠を心に誓ったのであった。




