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248.助言


「その現実的な思考を踏まえて、申し上げます」


「……はい。何でしょうか」


 凛とした表情のまま話す先生の姿は隙が無くしかし安心感が、溢れる。そのえも言われぬ緊張感にジャニスティは気圧されそうだった。


――やはり、今日の私はどうも感情がおかしい。

(しっかりしろ、ジャニスティ! 私が気後れをしていてどうする?!)


「今後、アメジストさんがお母様と同じ(ちから)――ベルメルシア家の方だけが持つ能力に目覚めた場合、ですが」


「……」

(この先生は、一体何者なのだろうか)

――どこまで知っている?


 警戒心の強いジャニスティの疑問は声にはならず内に秘めたままで彼は、顔色一つ変えない。しかし心の中では『たとえ学校の教師だろうと容赦はしない』と思いながら無言で先生を、見つめていた。


「どんなに優れた能力や才能を持っていても、それを始めから上手に操作できるとは限りません。そんな時、気を落とすことがないよう支えになってあげて欲しいのです」


「支え、ですか? それは、どういう――」


 彼の“護り”を構える気迫になぜか安堵の表情を浮かべた先生はにっこりと微笑み「貴方とは今日初めてお会いし、お話させて頂きましたが」と言い友人たちと楽しそうに話すアメジストへ、目を向けた。


「ジャニスティさんの真っ直ぐな心、とても伝わってきました。先程、私は貴方へ『支えて』と言いましたが、これまで通りで――」


(不思議だ。この人の言葉からは邪心どころか、慈愛しか感じない)

「あなたは、一体……」


「ふふ、少しお話が過ぎました。ジャニスティさん、これからもベルメルシア家の大切な御嬢様の事を見守り、お導き下さい。彼女がいつか、相手を想いやるだけではなく『自尊心を持てるよう』に、そう強く願っています」


「解りました。ご助言、感謝いたします」


 ジャニスティの誠意ある姿に黙って笑みを返した先生は、頷く。



 そのすぐ後、強く吹いた風で“サワサワ”と揺れ鳴く木の葉はその枝から離れまいと、しがみつく。それでも風にさらわれていく葉を目で追いかけ遠くを望み見た先生の視界はとある人物を、捉えた。


「あら? もしかして」

「いかがなさいましたか?」


 表情を変えた先生の様子に声をかけるジャニスティであったがすぐにその理由を、知る。


 視線の先――校門出入り口の前から少し離れた場所にはいつものように馬車を着けた、御者の姿。


「まぁ、エデさんね」


(この方、何故エデの事まで)

 ジャニスティの心は戸惑うばかりだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] これは どうなるのかしら??……
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