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渚さんはガベージダンプを猫と歩む。  作者: 紫炎
第2章 ルーキーズライフ
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第064話 渚さんとワーカーホリック

「さて、仕事だ」


 VRシアターから家に戻ってきた渚とリンダに対し、待ち構えていたルークがそう口にした。対しての渚の反応は「は?」であった。

 先ほど別れたルークはビークルをリンダの家に置いたら帰ると言っていたのだ。それが何故かまだ家で待っていた。


「お前、帰るんじゃなかったのかよ?」


 首を傾げる渚に、ルークは肩をすくめて笑い返す。


「はっは、帰る途中で捕まってな。で、仕事の話を振られたんで戻ってきたんだよ」

「ハァ、熱心なこった。けど急ぎなのか? また巣を潰せとか?そういう」


 渚とて、それが必要だというのならば嫌と言うつもりはない。だがルークは首を横に振る。


「いんや、そこまでのもんじゃない。お前たちがクキシティに来る途中で掃討したアーマードベアの巣があったろう。あれの探索だ」

「となるともしかしてダン隊長からですの?」


 リンダの言葉にルークが頷く。


「そういうことだ。明日にダンが探索に向かうらしくてな。で、一緒にどうかってお誘いをもらったわけだ」

「なるほど」

「あの場所、新しい天遺物でしたものね」


 渚とリンダが納得した顔をする。

 アゲオ村からクキシティへの道中に掃討したアーマードベアの巣は、まだ探索されていない最近落下してきた天遺物だ。前回は結局クキシティへの帰還を優先したために、あの天遺物内部の探索はまだほとんどされていないはずであった。


「前回の探索メンバーで手が空いてるのに声かけたってことらしいが、スケイルドッグの巣の討伐の疲労でパス組も多くて集まりはよくないようだな」


 ルークがそう言う。

 ダンがクキシティ周辺のスケイルドッグの巣の探索と討伐を依頼されていたのは渚たちも聞いていたし、そうでなくともアーマードベア戦で共に戦った狩猟者ハンターたちは負傷しているメンバーも多かった。


「ま、ダンのおっちゃんからの仕事なら受けるのは問題ねえよな」

「そうですわね。アゲオ村にも立ち寄りたいですし」


 天遺物の位置を考えれば、アゲオ村に立ち寄ることも問題はない場所である。それには渚も笑顔で頷いた。


「ああ、リミナさんたちとも会いたいしな」

「よし、それじゃあ明日の朝に、管理局の前に集合で頼むわ。俺もダンに伝えとく」

「オッケー」

「分かりましたわ」


 ルークの言葉に渚とリンダが頷いて別れて家に入ると、その翌日の朝にはビークルに乗ってダン率いる天遺物探索隊と合流し、渚たちは街を出て元アーマードベアの巣に向かうことになったのである。




  **********




『少し見ないうちに随分と変わったなあ』


 そしてクキシティを出ての移動の道中、ビークルの横を歩いているダンがそんなことを口にしてきた。ダンの視線は渚たちの乗るビークルに向けられており、その言葉にはダン以外の狩猟者ハンターたちも頷いていた。

 今回はルークをのぞけば狩猟者ハンターの全員が以前にアーマードベアのネスト掃討戦に参加したメンバーだ。だからこそ彼らは以前のビークルを知っていたし、その変わり様に驚いてもいた。

 左右に付いているベアアームはともかく、その後に装着された強化装甲機アームドワーカー用センサーヘッドや二本の補助腕サブアームが装着されているし、何よりも全身の装甲が電磁流体装甲に改装されていて、その姿は彼らの知っていたものとは大きく違っていたのだ。

 そしてダンの驚きように、ビークルの上で警戒に当たっている渚が自慢げな顔をして『どうよ』と口にする。


『ダンのオッちゃん。このグレートキャッツ号、随分強そうになったろ?』

『ぐ、グレー……と?』


 奇妙な名前にダンが戸惑いの顔を見せると、リンダが少しだけため息をつきながら「ナギサがそう名前を決めてしまいましたの」と答えた。


『管理局にビークルも登録すると盗難防止になりますでしょ。で、名前の登録もすることになって、渚がそう名付けたんですのよ』

『なるほど。しかしなぜ猫?』


 ダンが眉をひそめたが、それには渚もリンダもルークもスルーした。ダンはミケのことを知らないし、今のところ知らせる予定もなかったのだ。


『ま、いいさ。で、ナギサ。狩猟者ハンターになってみてどうだ? 初っぱなからエラい活躍したって聞いたが?』


 テクノゲーターの巣の掃討はダンたちの耳にも当然入ってきている。

 もっとも渚たちも活躍したくてしたわけではない。渚たちの目的は本来、巣の探索であって掃討ではなかったのだ。


『オスカーが無茶しなけりゃあな』

『ああ、そりゃあ災難だったな。アイツも悪いヤツじゃあないんだが……』


 渚の言葉にダンから乾いた笑いが出る。オスカーに苦労をさせられているのは渚たちばかりではなかったということだ。


『二連続で機械獣の、それも大物の巣を破壊したお前らには今回は大した仕事じゃあないだろうがな。ま、終わったらアゲオ村にも立ち寄るから、そっちで休みも取れるぞ』

『リミナさんとミミカに狩猟者ハンターになれたって報告もしたいしな。ちょうど良かったっちゃあ、良かったよ』


 そう言って、渚は嬉しそうな顔で道の先を見る。

 目が覚めて最初に出会った人間リミナとミミカ。彼女らとの再会も、渚にとっては楽しみなことであった。

【解説】

カスタムビークル:

 電磁流体装甲によりある程度の銃弾を無効化でき、内部から一方的に攻撃も可能。

 ベアアームのブースターとビークル下部にも装備している電磁流体装甲を地面に接触させることで、タイヤを使わずとも短時間ならば高速で滑ることができる。

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